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THE WORLD  作者: SEASONS
4月20日
1520/1564

南東の方角

《サイド:冬月彩花》



「様子はどう?」


「…う~ん?そうね~。」



背後から問い掛けてみた私に、

未来は真剣な表情で答えてくれたのよ。



「二人とも特に外傷はないし、意識を失って眠ってるだけだと思うわ。多分、限界まで魔力を使い果たして力尽きたんじゃない?もうしばらく様子を見ないと何とも言えないけどね〜。」



…そう。



どうやら二人共魔力が底をついて昏倒している状態のようね。



私もベッドに歩み寄って、

あずさと奈々香の二人の様子を眺めてみる。



暗黒迷宮に挑戦して敗北した二人。



あずさは4番。


奈々香は7番。



それぞれの迷宮に挑んで、

二人は攻略に失敗したのよ。



…ふう。



奈々香でさえも失敗となると。


今の私では攻略は難しいでしょうね。



素直に無理だと思うのよ。



闇に関する能力で言えば奈々香は私以上だから。



その奈々香が万全の状態で挑んだのに。


それでも迷宮を攻略出来なかった事実を考えれば、

魔力の低下している今の私では攻略なんて到底無理な話だと思う。



…今はまだ挑めないわね。



素直に認めるしかないのよ。


仮に万全な状態であったとしても、

決して簡単には突破出来ないはず。


その事実は認める必要があるわ。



…さすがに7番目は油断出来ないわね。



以前苦戦していた6番目は思った以上に簡単に進めたけれど。


7番目はそうはいかないということよ。



…残り4つ。



未踏破の迷宮を完全に突破するのは相当な至難の技になるでしょうね。



意識を失ってベッドで眠っている奈々香を見て思ってしまう。



…まだまだ足りないのよ。



私達がウィッチクイーンにたどり着く為にはまだまだ力が足りないの。



もっと強く。


今よりも強く。



二度と敗北しない為に。


二度と乃絵瑠を悲しませない為に。



…もっと強く。



それだけを願いながら、

眠っている奈々香の隣のベッドに腰を下ろしてみる。



…少しでも早く魔力を回復させてから暗黒迷宮へ。



今よりも強くなる為に。


遥かな高みにいるウィッチクイーンを乗り越える為に。



…今は休息を。



そう判断して一息吐く私に、

ベッドの間に立ったままの未来が話しかけてきたわ。



「そう言えば乃絵瑠の姿が見えないんだけど、まだ最初の迷宮にいるの?それとももう2番目?」



…あらあら。



乃絵瑠の姿が見えないことに気付いたようね。


だけどその予測はどちらも正しくないわ。



「乃絵瑠ならここにはいないわよ。乃絵瑠は自分自身の意思で学園を去ったから」


「はあ!?去った…ってどういうこと!?」


「あなた達が暗黒迷宮に挑んでいる間に町と学園が襲撃を受けたのよ。敵の正体は知らないし興味もないけれど、私と乃絵瑠は学園と協力して襲撃者を壊滅させたのよ」



だけど乃絵瑠はその戦いでの経験と暗黒迷宮の挑戦に失敗したことで自分の限界を感じたんでしょうね。



「自分の力に自信をなくした乃絵瑠は一人で学園を出たわ。どこに向かったのかは知らないけれど。しばらくの間は帰ってこないでしょうね」


「………。」



私の説明を聞いた未来は、

何も言わずに黙り込んでいるわ。


目を閉じて意識を集中させる様子から考えれば、

何をしようとしているのかは聞かなくても理解出来るけどね。



…間違いなく。



乃絵瑠の魔力の波動を探るつもりでしょうね。



学園内なら私でも探れるけれど。


それ以上の長距離は難しいわ。


だけど未来は町の内部ならどこでも探知できるはずよ。



もちろん乃絵瑠がまだ町の中にいれば…だけど。


おそらく未来の調査にかかってしまうでしょうね。



「う~ん?」



魔力の波動の捜す未来はホンの数秒の間をおいてから瞳を開いたわ。



「町の中にはいるみたいよ?正確な場所までは何とも言えないけど、南東の方角に気配が在るわ。」



…南東、ね。



その方角なら思い付く場所が一つだけあるわ。



「魔術師ギルドに向かったのかしら?」


「あ~。それが正しいかも?」



私の推測を聞いて、

未来は更に意識を集中させているようね。



「方角と距離を考えれば、確かにギルドがある辺りっぽいわね~。」



…なるほどね。


…どこへ向かったのかと思ったけれど。



ギルドに向かったということは、

まだ諦めたわけじゃないようね。



単純に逃げ出したわけではなくて、

自らの進むべき道を模索しているということよ。



それが分かっただけでも十分だと思えたわ。



…ふふっ。



ここへ帰ってくる日を楽しみにしてるわよ。



乃絵瑠の行方が分かったことで、

ひとまずベッドの上で横になることにしたの。



「少し早いけれど、私はもう寝るわ。」


「乃絵留を探しに行かないの?」



…探す?


…乃絵留を?



そんな行動に何の意味があるのかしら?



「つまらない同情はお互いに嫌な思いをするだけよ。」


「それはまあ…確かに?」


未来がどう思うか知らないけれど。


馴れ合いや妥協なんて私達には必要ないわ。



それは結果的に乃絵留を苦しませるだけなんだから。


上辺だけの仲良しごっこなんて必要ないのよ。



「明日からまたやるべきことが沢山あるから、少しでも長く体を休めさせてもらうわね。」



未来の返事を待たずに瞳を閉じる。



…さあ、乃絵瑠。



あなたが更なる高みへと挑み続けるように。


私も頂点を目指し続けるわよ。



心で誓いながら眠りへと意識を委ねる。



今以上の力を手に入れる為に。



…私も挑み続けるだけよ。



そのために。


今は眠ることにしたの。



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