海軍の派遣
《サイド:米倉宗一郎》
…再び学園に戻ってきたな。
港で御堂君達の出港を見送ったあとで学園まで戻ってきた。
町から戻ってきて校門を通り抜けると。
学園を覆う結界によって土砂降りの雨が嘘のように消え去ってくれた。
…ふう。
ようやく雨から解放されるな。
学園だけではなく、
町の全体を覆えれば楽なんだがな。
そうは思うものの。
それだけの大規模な結界を維持する為には、
それ相応の設備と結界維持の魔力が必要になる。
現状では学園だけで手一杯なのだ。
町全体を覆う結界というのはほぼ実現不可能な願いでしかない。
…まあ、学園内だけでも雨が凌げるだけまだましか。
考え直して周囲に視線を向けてみる。
現在、俺と行動を共にしているのは琴平重郎と桜井由美の二人と、
特風の生徒である長野淳弥君と芹澤里沙君と矢野百花君の3人だけだ。
学園内には木戸祐樹君と須玉聡美君の二人もいるはずだが、
どこにいるかまでは把握していない。
そんな状況だが、
ひとまず俺は校門のすぐ側に集合させていた部隊へと視線を向けることにした。
「集まっているな。」
呟く俺の視線の先には海軍の一部隊が控えている。
数は100名ほどなのだが、
彼等には遂行すべき任務があるのだ。
その為に重郎に話し掛ける。
「重郎。現在の状況では100名しか用意できないが、マールグリナに帰還するまではこの人数で凌いでくれ。」
竜の牙の襲撃がなければもっと数を揃えられたはずだが、
町での戦闘によって死者や重傷者を出してしまったからな。
現状ではこれが精一杯になる。
…とは言え。
すでに連絡船を派遣してマールグリナ近海の海軍の船と連絡を取る段取りは進めているからな。
「重郎が町に着く頃には海軍の別働隊が町に到着するはずだ。」
「無理を言って申し訳ありません。ご協力に感謝いたします。」
軍の派遣に感謝して一礼してくれる重郎だが、
重要なのはこれからどうするかだ。
いくら戦力を集めても運用できなければ意味がない。
「早急にマールグリナに戻って町の復旧作業を行え。いつまた竜の牙が姿を見せるか分からんからな。決して油断はするなよ。」
「はい。十分に心得ております。」
重郎は海軍を率いて即座に行動を開始した。
「馬車を回収してからすぐにマールグリナに戻ります。みなさんも十分にお気を付け下さい。」
「重郎もな。」
「ありがとうございます。」
挨拶もそこそこに走り去る重郎の後を追って海軍も動き出す。
「それでは我々もマールグリナに向かいます!」
「ああ、頼む。」
急いで立ち去る重郎と海軍の部隊を見送ることにした。
そうして重郎達が立ち去ってから、
残る仲間達にも話し掛ける。
「今後の相談をしよう。」
校舎に向かう俺に付き従う仲間達。
彼等と共に学園長室を目指すことにした。




