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THE WORLD  作者: SEASONS
4月20日
1508/1602

参加しなかった理由

「そう言えば一つだけ気になっていたことがあるんだけど…。聞いても良いかな?」



…ん?


…気になることって何?



「別に良いわよ。」



気楽に返事をしてみたらね。


御堂君が質問を続けてきたの。



「えっと…。結果が結果なだけに聞きにくいことでもあるんだけど…。栗原徹君と琴平愛里さんがアストリアに向かうという話になった時に、栗原さんが一緒に行かなかったことには何か理由があるのかい?」



…ああ。


…そのことね。



御堂君に聞かれてしまったことで愛想笑いを浮かべてしまったわ。



一応、理由はあるんだけど。



…どうなのかな?



言葉にしてしまうとね。


理由というほどの理由でもないのかもしれないわ。



「正直に言えば私も兄貴や愛里と一緒にアストリアに行きたかったのよ。だけど兄貴に『命の保証がない危険な場所だから薫は来るな!』って言われて置いて行かれたの。」



兄貴は私の心配をして私をマールグリナに残したの。



私を守る為に。


私の住む町を守る為に。


兄貴はアストリアに向かったのよ。



そんな兄貴を放っておけなくて、

愛里は兄貴と一緒に学園を去ったわ。


必死の思いで学園長を説得して無理矢理許可をとった愛里は最後まで兄貴の傍にいることを選んだの。



まあ、もちろん兄貴は愛里の参加も拒んでいたんだけどね。


愛里は断固として折れなかったのよ。



置いて行かれるくらいなら『一人で行動する!』って言いきった愛里を止められずに、

兄貴は愛里の参加を渋々認めていたの。



そんな愛里の作戦に便乗して私も参加しようと思ったんだけどね。



兄貴と愛里の二人がかりで参加を拒絶された私は、

どうすることも出来なくなって学園に留まったのよ。



…でもね?



もしももう少しだけ時期がズレていたら。


もしも魔術大会と重なっていなければ。


私は無理矢理にでも参加してたと思う。



だけど上手くは行かなかったのよ。



私がグランバニアからマールグリナに戻った時にはもう兄貴と愛里はいなかったの。



…置き去りにされたあの日の絶望は今でも覚えているわ。



グランパレスで天城君を見送ったあの日に、

兄貴と愛里も姿を消したのよ。



…だからもしもあの時。



天城君を見送ったあの時に、

私もマールグリナに向かっていれば間に合っていたと思う。



…だけど、それが出来なかったのよ。



琴平学園長の足止めを受けてしまってグランパレスから出られなかったの。



たぶんだけどね。



学園長は私を守る為に、

あえて私を会場に引き止めたんじゃないかな?



だからマールグリナに帰還するのがいつもよりも遅れたんだと思う。



米倉代表にはグランパレスの整備のためだって言い訳をしていたけれど。



本当は私をマールグリナに帰らせないための理由だったんだと思ってる。



それくらいの気持ちはね。


私も気付いているの。



…でもね?



だけどもしもあの時。



学園長が私を引き止めなかったら、

私は天城君と一緒にマールグリナに戻っていたと思うわ。



そして私も兄貴や愛里と一緒に、

アストリアに向かっていたと思うのよ。



だけどね。


そうはならなかったの。



兄貴や愛里や天城君。


そして学園長の優しさによって、

私はアストリアに向かえなかったのよ。




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