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THE WORLD  作者: SEASONS
4月20日
1502/1600

私は私として

「もう良いのかい?」



優しい笑顔で部屋に入ってきた御堂さんは、

すぐ側にいた栗原さんに視線を向けています。



「可愛い服だね。良く似合っているよ。」


「…あ、あははは…っ。」



服装を褒められたことで、

栗原さんは恥ずかしそうに照れ笑いを見せていました。



「個人的には結構無理してるんだけどね〜。」



恥ずかしそうに微笑む栗原さんですけど。


御堂さんもそんなふうには思わないようです。



「そんなことはないよ。栗原さんに良く似合っているよ。」


「そ…そうかな?」



私と御堂さんがどれだけ褒めても栗原さんは恥ずかしそうですね。



「ま、まあ…でも、どうせ褒めるなら成美ちゃんを褒めてあげたら?」



栗原さんの指先を追って私に視線を向けた御堂さんは、

優しい眼差しで私を見つめてくれています。



「ああ、その服には見覚えがあるよ。まだ沙織と仲良くなる前に着ていた服だけど…翔子も同じ服を持ってるって言ってた気がするかな?」



…はう~。



やっぱり、そうなんですね。



御堂さんの言葉を聞いて、

予想が当たっていたことを知りました。



…やっぱりお姉ちゃんが着てた服なんだ♪



時期も予想通りだったようです。



だから…何となくですけど。


お姉ちゃんのことが分かってきたような気がして、

ちょっぴり幸せな気分になれました。



「普段、制服姿ばかり見てるから私服は何となく印象に残ってて覚えてるんだけどね。良く似合ってると思うよ。こうして成美ちゃんを見ていると昔の沙織を見ているみたいだ。」



何度も褒めてくれた御堂さんですけど。


その表情は何故か寂しそうにも見えました。



「成美ちゃんは沙織と良く似ていると思うよ。だけど…ね。」



御堂さんは真剣な表情で私を見つめながら言葉を続けたんです。



「だけど成美ちゃんは沙織じゃないからね。無理に沙織を追う必要はないと思うよ。」



…えっ?



「成美ちゃんは成美ちゃんとして生きてほしいんだ。そのことだけは忘れないで欲しいかな。」



私は…私として?



御堂さんの言葉を聞いたことで、

今まで何も考えていなかった疑問を感じてしまいました。



…あ、あれ?



もしかして…私って。



…お姉ちゃんを追い掛けていたのかな?



自分でも気付かない内に、

お姉ちゃんになろうとしていたのでしょうか?



…お姉ちゃんの香水を持って。


…お姉ちゃんの服を着て。


…お姉ちゃんの力を受け継いで。



私はお姉ちゃんに近付こうとしていたのかもしれません。



…でも。



それだと私は私ではなくなるのかもしれません。



…お姉ちゃんのことが大好きだけど。


…お姉ちゃんにはなれないんだよね。



…って、あれ?



こんなふうに考えること自体が間違っているのかもしれません。



…そうじゃなくて。



私はお姉ちゃんじゃないんだよね?



お姉ちゃんになろうと思っちゃいけないんだよね?



常盤沙織として生きるんじゃなくて、

常盤成美として生きていかなければいけないんです。



そのことに気付けたような気がしました。



…私はお姉ちゃんの代わりじゃないから。



そう思えたことで、

ホンの少しだけですけど。


強くなれるような気がします。



私は私…なんだよね?



お姉ちゃんと翔子さんは私にとってかけがえのない大切な存在でした。



それは間違いありません。



だけど。


その二人になろうと思ってはいけないんです。



きっとお姉ちゃん達もそんなことの為に私の傍にいてくれるわけじゃないと思います。



…たぶんきっと。



私がちゃんと生きて行けるように。


一人で寂しい思いをしないように。


私に勇気をくれる為に。


力を貸してくれているんだと思うんです。



…だから。



だから私はその期待に応えていかなければいけないと思います。



今の私にはまだ何が出来るのかなんて分かりませんけれど。


これからも続いていくはずの未来に向かって生きていくことが、

お姉ちゃんと翔子さんに出来るたった一つの恩返しだと思えるんです。



…お姉ちゃん。


…翔子さん。



二人の優しさを感じながら願いを込めます。



…私ね。


…頑張るよ。



…これからもちゃんと。



一人でも生きて行けるように頑張ってみるね。



上手くいかないかもしれないけれど。


失敗もするかもしれないけれど。



だけど諦めたくはないから。



お姉ちゃん達に笑って「ありがとう♪」って言いたいから。



私は私として生きることを選びます。



これから先に何があっても、

私は私として笑顔で生きていたいと思うんです。



それが私の恩返しだと思うから。


いつかは何かが出来ると信じて頑張りたいと思います。



…だから、ね。



…お姉ちゃん。


…翔子さん。



…ちゃんと見ていてね♪



絶対に諦めないから。


二人の想いに応えたいから。



…だから頑張るよ♪



ちゃんと出来るかどうかは分かりませんけど。


何もしないで泣き続けることだけは出来ません。



自分に出来る精一杯の努力をして、

一生懸命に生きていこうと思います。



…きっとそれが。


…それがきっと。



私の希望だからです。



…頑張るよっ♪



誰かに依存して生きるんじゃなくて、

自分自身の力で生きること。


それが私に託された想いで、

私が乗り越えるべき試練なんだと思いました。




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