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THE WORLD  作者: SEASONS
4月20日
1498/1574

専門外

…今度は奈々香ね。



開いたままの後方の扉に視線を向けてみる。



ここからだと隣の部屋の様子は分からないけれど。


魔力の波動は微かに移動しているように感じられたわ。



…と言うことは?



奈々香は動けるようね。



だとしたら攻略に成功したのかもしれないわ。



意識があって行動が出来るのなら、

あずさのように失敗したとは言い切れないからよ。



…ふふっ。


…さあ、どちらかしら?



あずさを寝かせてから、

もう一度扉を通り過ぎて周囲の様子を確認してみる。



そして真っ先に出口を確認しようとしたけれど。


その前に奈々香の姿が見えたのよ。



7番目の入口のすぐ側で無言で座り込んでいたの。



「あら?無事に攻略出来たのかと思ったのに…違うようね。」


「………。」



話しかけてみた私に視線を向けた奈々香は、

ボソボソと何かを言葉にしていたわ。



けれどその言葉を聞き取る前に意識を失ってしまったみたい。


奈々香はその場で静かに崩れ落ちてしまったのよ。



…あらあら。



意識を失って倒れた奈々香に歩み寄ってみると。


奈々香の制服の脇腹辺りが出血によって真っ赤に染まっているのが見えたわ。



…っ!?


…これはまずいわね。



急いで傷口を確認して回復魔術を発動させてみるけれど。


私の魔術では治療が追い付かない。



とめどなく溢れる出血。


このままだと致死量に到達するかもしれないわ。



急いで救援を呼ぶべきかしら?



…いえ。



それだと間に合わないかもしれない。



私が上まで奈々香を運んだほうが早いはず。



ひとまず奈々香の体を抱き起してから上の階にある研究所に戻ろうとしたんだけどね。



…その前に。



私の背後から慌てて近付いて来る足音が聞こえてきたのよ。



「彩花っ!!な…奈々香!?」



…あらあら。



丁度良い時に目覚めてくれたわね。



戸惑うような声で呼びかけてきたのは未来よ。



「もう起きたのね。まだ当分目覚めないと思っていたのに。」


「ああ~!もうっ!その辺りに関しては色々と言いたいことがあるけど!とりあえず今はそんな場合じゃないわよね!?」



冷静に話しかけた私の言葉を聞き流した未来は倒れた奈々香に急いで駆け寄ったわ。



「やっぱり怪我をしてるのね!?」



目覚めたばかりで状況の把握が追い付かない様子の未来だけど。


それでも寝ぼけた頭を全力で働かせて傷口の確認を行ってくれたのよ。



「うっわ…結構深いわね〜。だけど今ならまだ間に合うはず…」



ざっくりと切れている脇腹は私から見ても致命傷に思える。


相当鋭い刃物で切り裂かれたと思われる傷口なのよ。



これはもう単なる罠ではなくて、

相当危険な戦闘があったんじゃないかしら?



よほどのことがない限り、

奈々香が罠に嵌ることはないはずよ。



暗黒迷宮の暗闇は奈々香にとって最も相性が良い属性になるから。



どんな迷路も、どんな罠も、奈々香には通用しないはず。



それなのに致命傷を受けてしまったということは、

単なる罠じゃない何かと遭遇してしまったとしか考えられないわ。



「奈々香の治療が出来るの?」


「ま、まあ…ギリギリ?基本的に外科は専門外だから絶対とは言えないけれど…。内臓が無事なら何とかできると思うわ。」



見た目は相当な裂傷だけど。


傷の手当としてはまだそれほど難易度が高い治療ではないようね。



未来は奈々香の傷口に手を当てて魔術を発動させてくれたのよ。



「フルキュア!!」



『フワァァァァ…ッ』と、

真っ白な輝きを放って傷口を包み込む光によって、

奈々香の傷口が徐々に塞がり始める。



少しずつ薄れ行く光が完全に消え去るのとほぼ同時に、

奈々香の脇腹から裂傷が消え去ったみたい。



「お~け~。これで大丈夫だと思う。」



無事に治療を終えたらしいわ。


未来のおかげで奈々香が死なずに済んだということよ。



「ありがとう。」



奈々香の代わりに感謝してあげたんだけど。



「………。」



何故か未来は私に視線を向けてから、

冷ややかな瞳で見つめてきたのよ。



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