体重
「ねえ、ちょっと!私だけ扱いが酷くない?あずさはベッドにいるのに、私は床に放置ってどういうこと!?」
…ああ、そのことね。
私の対応に関して不満を口にする未来だけど。
その理由はもう分かりきってるわよね?
「重いからよ。」
「く…っ!」
さらっと答えた私を未来がきつく睨みつけてくる。
「失礼ねっ!そんなに太ってないわよっ!!」
全力で抗議してくるけれど。
太ってるかどうかは問題じゃないわ。
「あずさより重いのよ。」
「うぐっ…!」
事実を突き付けられて言葉をなくす未来だけど。
一度、言葉にした以上は結果をはっきりさせるべきよね?
反論ついでに、さらに追い打ちをかけておくことにしたわ。
「…さてさて。あずさ、奈々香、乃絵瑠、未来。この中で一番『体重』が重いのは誰かしら?」
「むっか〜〜〜〜!!」
満面の笑みで告げる私を全力で睨みつけてくる未来だけど。
その程度の抵抗で引き下がってあげるほど私は優しくはないわよ?
「さあ…。誰が一番『体重が重い』のかしらね?」
「………。」
微笑む私に未来は何も言えないわ。
それはそうでしょうね。
言えるはずがないからよ。
あずさが一番軽いというのは計らなくても一目で分かるわよね。
私達の中で最も小柄で最年少のお子様だからよ。
次に奈々香かしら?
成長期真っ盛りの奈々香は、
身長も体型も私達には届いていないわ。
あと1、2年経てば良い勝負になるでしょうけど。
現時点で言えば大人と子供の間という曖昧な立ち位置になるでしょうね。
そして私と乃絵瑠はほぼ同じくらいよ。
だけど未来は乃絵瑠と比べると確実に上ね。
「私や乃絵瑠と比べて、数キロ…」
「うるさい!うるさいっ!!うるさ~~~~いっ!!!!」
私の声を遮るかのように大声で叫んでいたわ。
でもね?
決して太っているとは思わないけれど。
数字という現実はごまかせないのよ。
「わかったわよっ!!私が悪いんでしょ!デブで悪かったわねっ!」
喚き散らす未来だけど。
私はそうは思わないわ。
「別に太ってはいないわよ?ただ、私達と比べると少し…」
「ああ~~~!!!!っもう〜〜!!!うるさい!うるさいっ!!うるさ~~~~いっ!!!!」
…ふふっ。
私の言葉を遮って叫ぶ未来に、
優しく微笑んで見せる。
「軽い冗談よ。」
「…モウイチドイッタラコロスワヨ…!!」
気楽に告げる私が気に入らなかったのか、
未来は本気で殺気を込めた瞳を向けてきたわ。
でもね?
私に殺意を抱く前に他にやることがあるわよね?
「悔しかったらダイエットを…」
「うるさ~~~~〜〜〜〜いっ!!!!」
私の声を掻き消す叫び。
そんな未来の叫び声を聞きながら私は微笑み続ける。
「未来もそれなりにからかい甲斐があるわね。」
「くっ!」
「まあ、お遊びはこの程度にしておきましょう。」
無意味に睨みつけてくる未来を放置して、
奈々香の体を抱き起こすことにしたわ。
「さて、と。奈々香もベッドに運ぼうかしら?誰かさんよりも体重が軽くて楽だから助かるわ。」
「むっかっつっくっ!!!!」
立ち去ろろうとする私に全力で憎しみを向ける未来だけど。
私としてはそのくらいのほうが心地好いのよ。
「悔しかったら努力をしなさい。」
「くぬぅぅぅっ!!!絶対に見返してやるんだからっ!!」
…あらあら。
…面白い発言ね。
休憩室に戻る私を悔しさ一杯の表情で睨み付けてくる未来に、
もう一度だけ微笑んであげることにしたわ。
「ふふっ。お好きにどうぞ。」
「ぬああああああああああああああああああああっ!!!!」
余裕の笑みを浮かべる私を見て未来が大声で叫びだす。
「絶対にやりかえすっ!!!!」
復讐を誓う未来だけど。
ひとまず無視してベッドに向かうことにしたのよ。




