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THE WORLD  作者: SEASONS
4月20日
1484/1579

残る問題は

ここからセルビナ編になります。

《サイド:御堂龍馬》



船が港から離れていく。


せっかくジェノスに帰ってこれたのにね。



滞在出来たのはたった一日だけで、

今度はセルビナに向かうことになってしまったんだ。



…また戦争か。



アストリアとの戦いは終わったのに、

何故かまだ戦争は終わらないらしい。



…どうして争い続ける必要があるんだろうか?



僕には理解できないとしても、

各国それぞれに理由があるはずだ。



…だから、もしかしたらね。



アストリアに戦う理由があったように、

セルビナにはセルビナの目的や理由があるのかもしれない。



それが何なのかを聞いてみたい気はするけれど、

それは向こうについてから考えることだ。



今ここで悩んでいても解決する問題じゃないから、

セルビナとの戦闘が始まるまでに気持ちの整理はしておきたいと思う。



…そう思うんだけどね。



アストリアでの経験があるからこそ、

簡単に気持ちを割り切ることが出来なかった。



…生きて帰ってこれる保証なんてないんだ。



今度の戦場はセルビナになる。



アストリアに比べれば半分程度の国土の小国になるんだけど。


だからと言って楽観できる相手じゃない。



…アストリア戦がそうだったように。



戦争に勝てることと、

生きて帰れることは同じじゃないからだ。



例え戦争に勝てても生きて帰れるとは限らない。



…だからね。



ジェノスに帰ってこれない可能性も十分にあるんだ。



…今日が最後の可能性もある。



そう思うからこそ、

離れていく港をずっと眺めていたんだけど。



…もう見えなくなってしまったね。



ぎりぎりまで僕達を見送ってくれていた淳弥達の姿もすでに見えない。



もちろん雨で視界が遮られているという理由もあるんだけど。


町からかなりの距離が離れてしまったから、

今はどれだけ目を凝らしても町も港も見つけることは出来そうになかった。



…淳弥達は大丈夫だろうか?



不安はある。


心配も尽きない。



今更悩んだところでどうしようもないんだけどね。



それでも考えてしまうんだ。



ジェノスを襲撃してきた竜の牙の実力は、

共和国の平均を大きく上回っているように感じられたから。



少なくとも学生や教員の実力でどうにか出来るような相手ではなかったと思う。



…それこそ。



軍に所属する兵士のように、

常に戦闘訓練を行っているような部隊でなければ足止めすらできないんじゃないだろうか?



…部隊としての実力は国境警備隊と同格かもしれない。



アストリア戦で共闘した国境警備隊の人達と同じくらいにね。


命懸けの戦いを経験してきた歴戦の戦士の目をしていたんだ。



…おそらく。



竜の牙も命懸けの戦場を生き抜いてきたんだと思う。



共和国の国外で活動すること。


それ自体が命懸けと言えるからだ。



…だからね。



数では共和国が勝っているとしても、

質という意味では圧倒的に不利になる。



僕や淳弥だから戦えていたけれど。


たぶん並の魔術師なら一方的に蹂躙されていたんじゃないかな?



だからこそ。


町も学園も防衛しきれずに襲撃されてしまっていた。



それほどの相手と戦うことを考えると、

どうしても不安を感じてしまうんだ。



…とは言え。



危険という意味では、

どちらにしても同じになる。



セルビナとの戦争も。


竜の牙との抗争も。


どちらも命掛けなのは変わらないからね。



どちらに向かったとしても、

生き残るための努力を続けるしかないんだ。



そういう意味で考えれば淳弥は大丈夫だと思ってる。


里沙や百花は不安が残るけれど。


淳弥なら不用意な行動はとらないだろうから、

上手く立ち回ってくれるんじゃないかな?



…そうなると。



一番の問題は米倉さんだろうか?



立場的にも体調的にも危険な状況のはず。


竜の牙との戦いで倒れるような事態になってしまわないか不安を感じてしまう。



…どうだろうか?



現在の共和国にどの程度の戦力が集められるのかは分からないけれど。


米倉さん自身を守れる戦力はいるのだろうか?



淳弥と里沙は能力を封じた状態だ。


琴平学園長は戦闘が得意そうに見えない。


そもそも魔術医師だからね。


戦闘は考慮していないと思う。



…かと言って。



桜井学園長は戦闘向きかもしれないけれど、

他の部隊を率いる立場だ。


米倉さんの護衛を続けるのは無理だと思う。



…そうなると?



どうしても米倉さんを守れる戦力がいないように思えてしまう。



研究所で最も頼りになる黒柳所長もジェノスにはいない。


この船に乗って指揮官として行動しているからね。


それに黒柳所長の補佐として、

西園寺さんや藤沢さんも同行している。



ルーン研究所の職員の大多数が、

この船に同乗しているんだ。



そのせいでジェノスの戦力は大きく減少していることになる。



だからこそ余計に米倉さんが心配になってしまうんだけど。


すでにジェノスを離れてしまった僕が悩んでもどうにもならない。



国内の問題は米倉さん達に任せるしかないから。



…僕は僕で、これからの戦いを考えべきだ。



現時点で出来ることは何もないけれど。


セルビナに向かうまでに体調を整えるくらいかな。



…どの程度の時間で目的地に着くんだろうか?



風と波で激しく揺れる船は、

今も西に向かって最速で進んでいる。



本来なら船を出せないほどの悪天候なのかもしれないけれど。


今は平常時ではないからね。



急いで行動しなければ、

国境付近にあるランベリアの町が襲われかねない。



だから今は無謀でも強引に突き進むしかなかった。



…荒波で船が沈まなければ良いけれど。



甲板から眺める景色は一面の雨の海だ。



嵐と呼ぶほどではないから、

風はそこまで強くはないけれど。


雨の勢いは本格的な土砂降りだった。



海軍の船はかなりの大きさがあるから、

多少の波ではびくともしないはずだけどね。


それでもこの大雨と津波で揺れが激しくなってしまっている。



…大丈夫なのかな?



視界が悪いせいで座礁や転覆の不安を感じてしまう。



…だけどね。



今はそれ以上の心配が目の前にあるんだ。




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