表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
THE WORLD  作者: SEASONS
4月20日
1481/1574

淳弥の性格

《サイド:米倉宗一郎》



「それで、里沙と百花はどうするんだ?」


「…う~ん。」



長野君が問い掛けたことで、

芹澤君は矢野君と相談を始めたようだ。



「どうする百花?」


「私は里沙に着いていくから、どちらでも良いわよ。」



矢野君は考える様子もないまま即座に答えている。


どうやら矢野君としてはこれからどこに向かうかよりも、

芹澤君がどうしたいかで対応を変えるつもりのようだな。



「…どうしようかな~?」



矢野君とは相談出来なかったことで悩み始める芹澤君だが、

しばらく考え込んでから今度は御堂君に相談することにしたようだ。



「ねえねえ、どう思う?」


「僕は里沙の好きにすれば良いと思うよ。ただ…米倉さんが言うように、魔術師と戦うほうが里沙の為にはなると思うけどね。」



…そう。


…確かにそれもあるのだ。



セルビナに向かうことで得られる経験もあるとは思うが、

ここに残って竜の牙の魔術師と戦うことで得られる経験もあるだろう。



自らの才能を封印して実力を低下させた芹澤君と長野君の二人の実力と今後の成長を考えれば、

戦争という舞台で戦うよりも、

魔術師としての知識や経験が通じる竜の牙と戦う方が生き残れる可能性が高いのではないだろうか?



…それに、だ。



長野君を野放しには出来ないという理由もある。



共和国に潜む裏切り者の可能性が否定できないからな。



大事な局面で裏切られる可能性が否定できない現状で、

セルビナとの戦いに送り込むのは得策ではない。



長野淳弥という人間を見極める為にも、

俺の傍に置いておくほうが色々と都合が良いのだ。



…それに。



最悪の可能性として俺が長野君に殺されたとしても、

秘宝が長野君の手に渡ることはないからな。



それだけは断言出来る。



秘宝はすでに最も安全な場所にあるからだ。



その事実は本人さえも知らない話になるが、

秘宝はすでにとある人物へと手渡されている。



俺だけがその事実を知っているのだが、

だからこそ秘宝を奪われる心配はない。



それだけは自信を持って言えるのだ。



…秘宝に関して恐れることは何もない。



重要なのは長野淳弥の目的を調べて問い詰めることだ。



…敵なのか味方なのか?



長野淳弥の全てを見極める必要がある。



そんなふうに考える俺の思考を遮るかのように、

話し合いを終えた芹澤君が笑顔で戻ってきた。



「決めましたっ!私も残ります!!淳弥と百花と協力して竜の牙の殲滅のお手伝いをします!」


「はあ?俺も強制か?」


「むっ!」



ぼやく長野君の態度が気に入らなかったのだろうか?


芹澤君は冷たい視線を向けている。



「何か文句でもあるの?さっきはどっちでも良いって言ってたじゃない!?」


「いや…まあ、それはそうなんだけどな。」


「だったらいちいち文句を言うんじゃないわよっ!!」


「はあ…。分かったよ。」



怒り気味に宣言する芹澤君に逆らうつもりはないのか、

長野君はため息交じりに答えていた。



「俺も残る。それで良いんだろ?」


「そうそう!最初から素直にそう言えば良いのよっ!」



長野君の意見に耳を貸す様子がない芹澤君は、

半ば強制的に今後の方針を決定していた。



…ふむ。



二人の関係は良く知らないが、

俺の知る限り長野君は女性に頭が上がらない性格のようだな。



生まれ育った家庭環境の影響だろうか?



事実はどうか知らないが、

長野君の過去の経歴はまだ何も分かっていない状況だ。



…早急に本格的に調べるべきだろうな。



改めて考え直してから芹澤君達に話し掛けることにする。



「ありがとう。協力に感謝する。きみ達がいてくれれば心強いからな。」


「いえいえ♪」


「ふふっ。」


「………。」



笑顔の芹澤君を見て微笑む矢野君だが、

長野君だけは複雑な表情を浮かべている。



…まあ、当然か。



俺の提案に不自然さを感じても仕方がないと思うからな。



実力が低下した生徒に協力を求めるというのは不自然だと俺でも思う。



だが、今は他に思い付く理由がなかったのだ。



…こういう時には美由紀が頼りになるんだがな。



策略や謀略。


言葉の使い方や言い回しなど。


俺では全く敵わないと思うほど、

美由紀は説得や交渉を得意としていた。



…完全に母親譲りだな。



だが、それも今はどうでもいい話だ。



ひとまず長野君を引き止めることには成功した。


今はそれだけで良い。



これからのことはこれから考えるとして、

大悟に指示を出すことにしよう。



「大悟は御堂君達を率いてセルビナに攻め込め。海岸沿いの町を潰してセルビナの海軍を壊滅させろ。」


「分かりました!」



即座に船に駆け出す大悟の後ろ姿を見送ってから御堂君に振り返る。



「またしばらく別れることになるが、再び無事に生還する日を願っている。」


「はい!必ず共和国を守ります!アストリアで倒れていった仲間達の為にも、必ず共和国を守り抜いてみせます!」



御堂君は一礼してから背後の二人に振り返った。



「行こう。成美ちゃん、栗原さん。みんなの想いを叶える為に。みんなの想いに応える為に!」


「はいっ♪」



可愛らしい笑顔で微笑む少女の名前は常盤成美だったか。


ウィッチクイーンから秘宝を受け継いだ少女の隣では栗原君が頷いている。



「兄貴と愛里の為にも頑張るわ!」



セルビナ方面の一員として、

栗原君も旅立ちを宣言してくれたのだ。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ