人手
《サイド:御堂龍馬》
僕と成美ちゃんと栗原さん。
そして里沙と百花の5人で学園を飛び出した。
港に向かって町の中を全力で駆け抜けたんだけどね。
かなり急いだから、
30分もかからなかったんじゃないかな?
栗原さんの支援魔術のおかげもあって、
成美ちゃんの体調も特に問題がなさそうに思える。
ひとまず僕達は無事に港にたどり着くことができたんだ。
…さて、と。
雨で視界が悪いけれど、
それでも周囲を見回してみる。
…もう、結構な人数が集まっている様子だね。
港についてすぐに米倉さん達の姿を見つけることもできた。
「お待たせしました!」
大きな声で呼び掛けたことで、
米倉さんと黒柳所長、
それに琴平さんと桜井さんの4人が振り返ってくれた。
「来たか。」
真っ先に笑顔で出迎えてくれるのは米倉さんだ。
そうして僕達が合流してからすぐに、
船の中から淳弥が出て来た。
その姿に里沙達も気づいたみたいだね。
「あれ?淳弥じゃない。」
みんなも淳弥に視線を向けていた。
「よう!やっと全員揃ったか。」
船を下りて僕達に歩み寄ってくる淳弥に里沙が歩み寄っていく。
「どこにもいないと思ってたら、先に来てたのね~。」
「ん?ああ、まあな。町にいる間に警報が鳴ったから一足先に来てたんだが、よくよく考えると俺は荷物を持ってきてないんだよな。」
「うっわ。着替えがないとか、不潔ぅ。」
「………。」
冷めた視線を向けながらぼそっと呟いた里沙の言葉を聞いた淳弥は笑顔のままで動きを止めて固まっていた。
「い、いや…まあ、そう言われると、そうなんだけどな…。」
「さっさと、取ってきたら?」
「………。」
里沙に急かされて動きだそうとする淳弥だったけど。
「…ふむ。」
その前に米倉さんが僕達に話し掛けてきたんだ。
「御堂君。きみに少し頼みがあるんだが、聞いてもらっても良いだろうか?」
「え?あ、はい。僕に出来ることでしたら…」
戸惑う僕にみんなが視線を向けてくる。
里沙と淳弥も、僕と米倉さんに振り返っていた。
「今後の方針として、ひとまず海軍を黒柳大悟に任せて俺はこの町に留まろうと考えているのだ。」
「セルビナには向かわないということですか?」
「ああ、そうだ。その理由は竜の牙に対抗する為だと考えてくれれば良い。」
…確かに。
セルビナへの対応も問題だけど。
だからと言って全部隊をセルビナに向けてしまうと、
再び国内の防衛力が低下してしまうことになるからね。
「そこで、だ。俺や由美達だけでは少々戦力に不安があるのは確かだ。残党とは言えども竜の牙の実力は侮れないからな。正直な話をいうと、もう少し人手が欲しいと考えている。」
…人手?
それはつまり、
僕が協力するということだろうか?
「僕が残れば良いんですか?」
そういう意味だと思ったんだけど。
どうやら違うらしい。
米倉さんは首を左右に振っていた。
「いや、きみには前線で活躍してもらいたいからな。きみではなく、特風の力を貸してもらいたいのだ。」
…特風?
それはつまり。
淳弥と里沙と百花ということかな?
そしてその言葉の意味に、
淳弥達も気付いた様子だった。




