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THE WORLD  作者: SEASONS
4月20日
1472/1579

現段階の可能性

《サイド:鈴置美春》



「結構みんな集まってるわね~。」



視線の先に広がる港の一画には、

すでに多くの人達が集合していたわ。



「あっちに先生達もいるわよ。」



…ん~?



千夏が指差す方向に視線を向けてみるとね。


前回一緒に船に乗っていた医師や救急班の仲間の姿が見えたのよ。



瑞希みきちゃんもいるようね。



だけど瑞希ちゃんは私達に気付いていないから、

他の子達と会話を続けているわ。



「これって私達が最後っぽくない?」


「あはははっ!かもね~?」



問い掛ける私に千夏が笑顔で答えてくれる。



「でもまあ、良いんじゃない?時間指定があるわけでもないし。」



…まあ、それはそうなんだけどね。



ひとまず船に急ごうとすると。


港の入り口に黒柳所長がいるのが見えたのよ。



…う~ん。



雨の中を待ち続ける姿は、

どことなく寂しそうに見えなくもないわね。



…でもまあ、私が気にする必要はないかな。



とりあえず挨拶のために黒柳所長に歩み寄ってみたんだけど。



「おお!来たか、鈴置君。きみの活躍には期待しているからな。共和国の為にきみの力を貸してほしい。」



妙に期待されてしまったのよ。



…地味に対応に困るわよね?



中の上程度の成績でしかない私に期待されても困るのよ。



「え〜っと?一応、出来る限りのことはしてみます。活躍出来るかどうかは自信がありませんけど…。」


「ははははっ!」



控えめに答える私を見ていた黒柳所長は大きな声で笑っていたわ。



「きみのことは御堂君から聞いているが、原始の瞳に触れて潜在能力を確認したそうだな?」


「え?あ、はい。詳しいことは知りませんけど、水晶玉なら光りました。」


「うむ。そのことに関してだが、きみ達にこれだけは伝えておこうと思ってな。」



…えっと?


…伝えるって?


…何を?



「きみがどう判断しているかは知らないが、『潜在能力とは常に一定ではない』ということだけは覚えておくと良い。」



…え?


…一定じゃない?



ちょっと意味が分からないわね。



「それって、どういう意味ですか~?」



どういう意味なのか疑問を感じる私の隣で、

千夏が黒柳所長に問い掛けていたわ。



「潜在能力って変化するものなんですか〜?」


「ああ…まあ、言葉で説明するのは難しい話になるのだが…。」



言葉に悩みながらもね。


それでも黒柳所長は説明してくれたのよ。



「潜在能力とは言い換えれば未完成の力とも言えるものだ。」



…未完成?



「単純に覚醒していない力とも言えるのだが…これは必ずしも決まった答えにたどり着くわけではない。」



…えっと?



まだ良く分からないわね。



「確かきみの名前は森下千夏君だったかな?」


「はい!そうですよ〜。」


「きみは原始の瞳に触れても反応がなかったらしいが、それは『現段階において』可能性がないという話に過ぎない。」


「現段階…ですか~?」


「ああ、そうだ。」



首を傾げる千夏を見て、

黒柳所長は笑顔で頷いていたわ。



「基本的な特性の定義を覚えているか?」



それって術者ごとによって異なる個人差で、

どういう能力を求めてどんな力を極めたかによって大きく変わるものよね?



翔子は融合?


御堂先輩は支配から変わったみたいだけど。


常盤さんは全属性でしょ?


天城総魔は…良く分からないわね。



「御堂君の例で説明すれば彼は破壊の力を追い求めて実力を高めてきた。その結果として彼は消滅という特性にたどり着いたのだ。」



…消滅ね〜。



言葉だけだと、

どういう能力なのか想像出来ないわ。



「成長してきたのは天城君も同様だが、彼は吸収という能力を極限まで高めることで自らの特性に気付いて独自の才能を成長させてきた。」



………。



色々と説明してくれる黒柳所長だけど。


何が言いたいのかイマイチ分からないのよ。


そのせいで首をかしげてしまう私達の表情を眺めながら、

黒柳所長は説明を続けてくれたの。



「もう少し分かりやすく説明するなら、特性とは知識や経験の積み重ねによってたどり着く一つの結果だということだ。」



…あ〜うん。



それは分かるかも。



「現在のきみ達の成績は調べさせてもらったが、きみ達はまだ自分達の特性に気付いていないようだな。」


「え、ええ、まあ…。」


「美春君に反応したのは特性の可能性かもしれないし別の能力かもしれない。それがどちらなのかは俺には分からんが、天城君の場合は操作という力の先にある構呪という能力にたどり着いた。」



…彼の場合は、ね。



説明を続けてくれる黒柳所長だけど。


やっぱり何が言いたいのか分からなかったのよ。



「結局、どういう意味ですか?」


「まあ、簡潔に言えば…だ。」



ひたすら頭を悩ませる私達を見て、

黒柳所長は最後の説明を始めてくれたのよ。



「これからのきみ達の行動次第で、どのような能力に辿り着くかは分からないという話だ。」



…え〜?


…それってつまり。



現段階で水晶が示す力と、

最終的な結果が同じとは言いきれない…ということよね?



「それと同様に現段階で水晶が反応しないからと言って、この先も一生反応しないとは言いきれない。これがどういう意味か分かるか?」



…えっと?



「水晶が示すのは、あくまでも『現段階』であって、この先の変化までは分からないということですか?」


「うむ。そういうことだ。」



大体あってたみたいで、

黒柳所長は頷いてくれたのよ。



「森下君に反応しなかったと言っても、それは現段階の話に過ぎない…ということだ。」



今後の成長次第で水晶が反応する可能性があるということでしょうね。



「それと同様に美春君の能力が別の方向へ成長する可能性も十分にある。」



あくまでも水晶が示すのは、

現段階においての可能性みたい。



「それじゃあ、私もまだまだ成長出来るということですか〜?」


「もちろんだ。」



千夏の問いかけにも、

黒柳所長は頷いてくれてた。



「可能性は無限大にある。」



…ただし。



その可能性をつかみ取るのは簡単じゃないけどね。



「御堂君や天城君のように自分自身を高められる人物というのはそうそういないものだ。」



…まあね。



誰と出会って、どんな道を歩むのか?



そういう人生経験も大いに関係してくる問題だと思うのよ。



「彼等は特別だと思ったほうがいい。きみ達はきみ達の道を進めば良いのだからな。」



…ですよね。



「まあ、難しい話はともかく、努力の方向性によって結果が変わると思ってくれれば良い。」



一通りの説明を終えた黒柳所長は、

潜在能力に関する話を終えて微笑んでくれたのよ。




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