対の水晶玉
《サイド:竜崎慶太》
…なっ!?
…雪の精霊が消失した!?
預かっていた精霊が突然消えてしまったんだ。
だけどそれは雪の元に戻ったというよりも、
魔力の供給を断たれて消滅したように感じられた。
…雪に何かあったのか!?
そうとしか考えられない事態だった。
だけど遠く離れたミッドガルムの地にいては、
セルビナ方面にいる雪の状況が分からない。
…雪っ!!
死んではいないはずだ。
…いや。
…そう思いたい。
セルビナ軍と戦闘を行っていたはずの雪が戦場で倒れたとは思えないし思いたくもなかった。
…生きていてくれっ!!
心から願いながら手荷物の中から水晶玉を取り出す。
これは手の平にのせて少し大きいと感じる程度の大きさで直径15センチほどなんだけど。
この水晶玉には特別な力がある。
…千里の瞳ほどじゃないけれどね。
それでもこの水晶には一つだけ出来ることがあるんだ。
…常盤成美はまだ学園にいるのか。
千里の瞳の波動に同調して、
所持者の瞳に映る世界を映し出すことが出来る力がある。
だからこの水晶玉がある限り、
千里の瞳がどこにあるのかは常に把握できるんだ。
…彼女が学園にいるということは?
御堂龍馬や米倉宗一郎も学園にいる可能性が高い。
そうなるとセルビナへの援軍は期待できないことになる。
…海軍の到着は期待できないか。
こうなるともうクイーンに願うしかない。
現状で雪を助けられる可能性があるのはクイーンだけだ。
…頼むっ!
水晶玉を鞄に詰め直してからクイーンに願いを込める。
…間に合ってくれっ!!
必死に願うけれど。
クイーンがどこにいるのかは分からないままだ。
だけどそれでも願い続けることしか出来ない。
…雪を救出してくれっ!!
国境を目指して移動しているはずのクイーンに願い続けた。
…頼む!!
空に想いを馳せながら、
ただひたすらに雪とクイーンの無事を祈り続けたんだ。




