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THE WORLD  作者: SEASONS
4月20日
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旅立ちの準備

《サイド:御堂龍馬》



僕と成美ちゃんが検定会場を出るのとほぼ同時に。


僕の姿に気付いた様子の里沙と百花が駆け寄ってきた。



「あっ!御堂君!」


「こんなところにいたのね。」



医務室にいたはずの二人が駆け寄って来てくれたんだ。


そんな二人のすぐ後方には米倉宗一郎さんの姿も見える。



…と言うことは、校舎付近で合流したのかな?



里沙と百花は医務室にいたはずで、

米倉さんは別行動をしていたはず。



その3人が一緒にいるということは、

港から響く警報を耳にして医務室を出た里沙と百花が、

たまたま出会えた米倉さんと合流したのかもしれないね。



そうでなければ二人がここへ来る理由はないと思う。



きっと米倉さんがここへ向かうのに合流したんじゃないかな。



…ただ。



米倉さんの様子が先ほどとは違っているような気がする。



走るのも辛そうに見えるんだ。


現在の医学では治せない病気によって現役を引退した米倉さんが走る姿は、

とても苦しそうに見えてしまった。



…以前の米倉さんならこんなことはなかったのにね。



現役時代を知っているからこそ、

今の米倉さんがどれほど弱っているかが分かってしまうんだ。



…2年前の米倉さんなら竜の牙を一人で殲滅出来たはず。



そう思うからこそ、

今の米倉さんの姿が弱々しく見えてしまっていた。



…病気か。



こればかりは魔術ではどうにもならないからね。



ほぼ万能に近い魔術だけど。


病気に対応できる魔術というのは実はほとんど存在しない。


成美ちゃんの瞳が今まで治らなかったように、

米倉さんの病気を魔術で治すのはとても難しいことなんだ。



もしも病気に対する理論を組み立てられる人がいるとしたら。


それは総魔くらいじゃないかな?



成美ちゃんの瞳を治療する理論を組み立てた総魔なら、

もしかしたら米倉さんの病気に対する治療法も考えられたのかもしれない。



…今となっては無理だけどね。



だけど考えてしまうんだ。


米倉さんの病気を治す方法がないか考えてしまう自分がいる。



それはきっと琴平さんや桜井さんも同じだとは思うけれど。


米倉さんの過去の実力を知っているからこそ、

何か出来ないかと考えてしまうんだ。



黒柳所長や神崎さんも必死な思いで研究を続けているらしいけどね。



どうも上手くいかないらしい。



…僕には何も出来ないけれど。



だけど米倉さんには一日でも早く健康になってほしいと願ってる。


そんなふうに考えている間に、

米倉さんを見ていた僕の傍に里沙と百花がやってきた。



「どこに行ったのかと思ったら、会場にいたのね~。」


「もう用件は済んだの?」



話しかけてきた里沙に続いて、

百花に尋ねられたことで小さく頷いてみせた。



「ああ、やるべきことは全て終えたよ。あとは行動するだけだ。」



ひとまず海軍と合流して

セルビナ方面に向けて出発するつもりでいるんだけど。


少し離れた場所にいる米倉さんは、

琴平さんと桜井さんに合流して何かの打ち合わせを行っている様子だった。



………。



米倉さんは港に向かうとしても、

琴平さんと桜井さんはどうするのかな?



直接話に加わって会話を聞きたい気がするけれど。


今はそれ以上にやるべきことがある。



「里沙、百花。二人にお願いがあるんだけど、聞いてもらっても良いかな?」


「ええ、良いわよ。」


「私達で出来ることなら。」



二人は快く引き受けてくれた。



「それほど難しいことじゃないんだけどね。」



一時的に成美ちゃんを預けたいんだ。



「女子寮に戻って沙織の部屋に案内してあげてくれないかな?これから旅立つ為の準備が必要だと思うからね。」


「あ~。なるほどね~」



僕の言葉の意味を二人はすぐに察してくれたようだ。



「海軍の船に連れていくの?」



…ああ、そうだよ。



「成美ちゃんもすでにこの戦いに巻き込まれているからね。何らかの理由で竜の牙に狙われているのは事実だ。成美ちゃんを一人にするのは危険だから僕達で保護したいと思ってる。」



その準備として成美ちゃんを二人に預けようと考えたんだ。



「僕も寮の部屋に戻って荷物を取りに行こうと思うんだけど、その間だけ成美ちゃんを頼めないかな?」


「ええ、良いわよ~。」



僕の願いを里沙は快く引き受けてくれていた。



「私達も寮に戻る必要があるからそれは良いけど…。集合は港で良いの?」



…いや。



「校門で合流しよう。栗原さんとも合流する予定だからね。」


「おっけ~!」



笑顔で頷いた里沙が成美ちゃんの手を引いて歩き始めた。



「それじゃあ、またあとでね~。」


「すぐに校門に向かうわ。」



里沙と共に行動する百花にも手を引かれる成美ちゃんだけど。



「えっと、すぐに会えますよね?」



一度だけ僕に振り返って問いかけてきた。



「ああ、すぐに会えるよ。」


「はいっ!」



少しだけ微笑んでくれた成美ちゃんは、

里沙と百花に連れられながら女子寮へと向かって行った。



…あっ!


…そう言えば、熱は大丈夫なのかな?



少し不安を感じるけれど。


里沙がいるから心配はいらないかな?



回復系の魔術が使えなくなったとは言え、

知識や経験がなくなるわけじゃないからね。



里沙なら成美ちゃんの体調を把握するくらいは出来るはず。



…とりあえず、成美ちゃんのことは二人に任せよう。



そうして今度は米倉さんへと歩みを進めることにしたんだ。



「米倉さん。」


「ああ、御堂君か。」



呼び掛ける僕に米倉さんは振り返ってくれた。



「色々と話したいことはあるが、今は時間がないからな。まずは出発の準備を整えて港で集合しよう。話はそれからだ。」


「はい。分かりました。それでは準備が整い次第。港に向かいます。」


「うむ。すまないな。俺も色々とやるべきことが多くてな。詳しい話はあとにして、まずは出港の準備を整えよう。」


「はい!」



米倉さんに返事をした僕は、

一礼してから男子寮に向かって走ることにした。



…荷物を回収して校門へ急ごう。



栗原さんと別れてから、

すでにある程度の時間が過ぎているからね。


あまり栗原さんを待たせるわけにはいかないとも思う。



そういう事情もあって、

急いで寮に戻ることにしたんだ。



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