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THE WORLD  作者: SEASONS
4月20日
1450/1599

翔子似

「私は…どうすれば良いですか?」



どうすれば想いを失わずに済むのかを尋ねてみると。


御堂さんは優しく微笑んでくれました。



「栗原さんと一緒に僕と来てくれると嬉しいかな。成美ちゃんを一人には出来ないからね。だから僕と一緒に行かないかい?」



何もできない私を誘ってくれたんです。


そのことが凄く嬉しく思えました。



「私には何も出来ませんけれど…それでも良いんですか?」


「ああ、良いんだよ。成美ちゃんは無理をしなくて良いんだ。僕がきみを守る。僕が成美ちゃんの全てを守るからね。きみが望む限り、僕がきみを守り続ける。」



席を立った御堂さんは、

私に歩み寄ってくれました。



「僕は沙織を守れなかった。だけどね。今度は間違えない。僕が成美ちゃんを守り抜く。」



私を守ると言ってからそっと手を差し延べてくれたんです。



「本当なら成美ちゃんを戦争になんて巻き込みたくないし、出来ることならこの町で平和に過ごしてほしいと思ってる。だけど成美ちゃんに力が在る限り、戦争からは逃れられそうにないんだ。だからね。僕が成美ちゃんを守るよ。」



私のことを考えて、

私のために協力してくれるそうです。



「僕は戦争に行かなければいけない。みんなの想いを受け継いで共和国を守らなければいけないんだ。だから…だから一緒に行こう。成美ちゃんには僕の傍にいてほしい。僕の手の届くところにいてほしいんだ。」


「あ…ありがとう、ございます。」



微笑んでくれた御堂さんの笑顔を見た私は、

差し出された御堂さんの手をぎゅっと握り返しました。



「でも…本当に良いんですか?」



私はきっと足手まといだと思います。


戦力どころか邪魔になるだけだと思います。



それなのに。



「良いんだよ。」



御堂さんは私を受け入れてくれました。



「成美ちゃんの未来を守れるのなら、僕はどれだけ傷付いても構わない。成美ちゃんの幸せを守り抜くことが、沙織に出来るたった一つの恩返しだと思っているからね。」



亡くなってしまったお姉ちゃんのために。


私を守ってくれるそうです。



「一緒に来てくれるかい?」



…ぁ、ぁぅ~。



私の手を引く御堂さんに抱きしめられてしまいました。



「沙織が守りたかったモノが僕の守るべきモノなんだ。だから僕は成美ちゃんを守り抜くことを約束する。」



恥ずかしさで顔を赤く染めてしまう私に、

御堂さんが優しく語りかけてくれました。



「僕を信じてほしい。」



…あぅぅぅ。



御堂さん抱きしめられながら、

ゆっくりと小さく頷きました。



「…信じます。御堂さんはお姉ちゃんが愛した人ですから。」



お姉ちゃんの代わりに、

御堂さんを信じたいと思います。



「信じています。お姉ちゃんの分まで…。」


「…ははっ。ありがとう。」



私の頭を撫でてから、

御堂さんは私を放してくれました。



「ごめんね、驚かせたね。」



恥ずかしそうに微笑む御堂さんがとても可愛く思えます。



…でも。



私の隣に座っている栗原さんは面白そうに私達を見ていました。



「熱々ね~。羨ましいわ~。」



…あぅ~。


…ぅぅ~。



栗原さんの言葉で真っ赤になる私を見て、

栗原さんはさらに楽しそうに微笑んでいます。



「熱い♪熱い♪」



「「………。」」



楽しそうな薫さんを見て言葉を失う私と御堂さん。



こうなるともう何を言っても無駄な気がして。


ひたすら恥ずかしくて。


俯いてしまった私を、

今度は薫さんが抱きしめてくれました。



「はぅぅ…。」


「成美ちゃん、可愛い~!」



恥ずかしさに戸惑う私を抱きしめる栗原さんは凄く楽しそうです。



「良い子ね~。」


「ぁぅぅ~。」



戸惑うだけの私を力一杯抱きしめて放してくれません。


これはこれでちょっぴり恥ずかしいんですけど。


だけど栗原さんに抱きしめられていると。


なんとなく翔子さんのことを思い出せて、

懐かしい気持ちを感じてしまいました。



「栗原さんの身体…温かいです。」


「そう?」



呟く私の頭を優しく撫でてくれました。



「いい子♪いい子♪」


「あう~。でもちょっぴり恥ずかしいです…。」


「気にしない、気にしない。」



私の言葉を軽く流して抱きしめ続ける栗原さんの行動は、

なんとなく翔子さんに似ているような気がします。



「満足♪満足♪」



しばらくして満足したのか、

ようやく放してくれました。



「まあまあ、じゃれるのはここまでにして、とりあえず今後の相談を…。」



話し合いを再開しようとしたその途中で。



『ブォォォォォーーーーーン!!!』


『ブォォォォォーーーーーン!!!』


『ブォォォォォーーーーーン!!!』



突然、大きな音が鳴り響きました。



「何の音っ!?」


「…何でしょうか?」



戸惑ってしまう栗原さんと私でしたけれど。



「ああ、慌てなくていいよ。」



御堂さんは冷静に教えてくれました。



「集合の合図だよ。そろそろ港に向かおうか。」


「それは良いけど、私はどうすれば良いの?」


「まずは出港の準備かな。それから港に集合だね。」


「おっけ~!それじゃあ、私は荷物を取りに行ってから向かうわ。」



真っ先に部屋を飛び出そうとする栗原さんでしたけれど。


その前に御堂さんが声をかけていました。



「校門で合流しよう!」


「ええ、分かったわ!」



返事をした栗原さんは大急ぎで部屋を出て行ってしまいました。


そして部屋の中は私と御堂さんだけになってしまったんです。



「僕達も行こう。多分、成美ちゃんのご両親はまだ学園内にいるはずだからね。」



…はぅぅ。



そう言えば、お父さんとお母さんも学園にいるはずです。



…はぐれちゃったけど、大丈夫かな?



すごく心配になってしまったのですが、

御堂さんは落ち着いた雰囲気で微笑んでくれました。



「大丈夫。すぐに会えるよ。」


「あ…はいっ♪」



御堂さんの優しさを感じつつ。


ひとまず校舎の外に向かうことになりました。




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