命よりも大事なもの
《サイド:常磐成美》
…戦争。
…命。
…心。
…想い。
…幸せってなんでしょうか?
何となくそんなことを考えました。
ずっと家に引きこもって外の世界を知らなかった私は、
きっと弱虫で情けない存在だと思います。
魔術がどうこうという以前に、
常識という言葉さえ欠落していると思うからです。
…だから。
実力がどうとか、
戦争がどうとか、
難しい話は分かりません。
…だけど。
私の瞳にはお姉ちゃんと翔子さんの心が宿っているのが事実で、
その想いのおかげで私は生きていられるんです。
それが真実で、
それが現実で、
それが私の全てです。
他には何も望みません。
これからも二人の想いを感じていられるのなら。
それだけで私は幸せなんです。
だからこれから何が起こるとしても。
この先の未来に何が待っているとしても。
全てを受け入れられると思っています。
私には二人の想いを消し去ることは出来ません。
それだけは絶対に出来ないんです。
もしもそれをしてしまったら、
私はきっと…心を閉ざしてしまうと思います。
翔子さんと出会う以前のように。
現実から目を背けて、
暗闇の中で自分の不幸を呪い続けると思います。
絶対にそうなると思うんです。
お姉ちゃんも翔子さんもいない世界。
そんな孤独な世界で私は生きていけません。
今の私があるのは二人のおかげなんです。
…それなのに。
二人の想いを消し去るなんて、
私には考えられません。
それはもう…私が死ぬことと同じだからです。
お姉ちゃんと翔子さんが私という存在の全てなんです。
二人がいない世界に私の居場所なんてありません。
二人がいない世界に生きていたくなんてありません。
この瞳に宿る想いだけは、
絶対に失うことが出来ないんです。
それだけは…絶対に選べないんです。
…お姉ちゃん。
…翔子さん。
…私には選べないよ。
それだけは出来ません。
二人の優しさに依存することでしか生きられない私には絶対に選べません。
…だから。
何も出来ないけれど。
それでも失いたくないから。
精一杯の勇気を出して御堂さんと向き合いました。




