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THE WORLD  作者: SEASONS
4月20日
1446/1574

僕はまだ

《サイド:御堂龍馬》



…秘宝の力か。



正直に言えばね。


興味がないとは言わないよ。



成美ちゃんには断ったけれど。


正直な気持ちを言うと今すぐにでも確認したいと思えるほどには興味があったんだ。



秘宝の力は僕にどんな世界を見せてくれるのかな?



それを確認してみたいとは思う。


そして出来ることなら、

一目でいいから沙織を見たいと思うんだ。



…だけどね。



僕には出来なかった。



今はまだ沙織と向き合えないと思うから。



本当に沙織が見えるかどうかなんて分からないけれど。


僕はまだ沙織とは向き合えないと思っている。



僕はまだ沙織との約束を果たしていないから。


沙織の最後の願いを僕はまだ叶えていないから。



…僕はまだ。


…約束を果たしていないんだ。



沙織は全てを知る為に。


真実と向き合う為に砦に残った。



そして僕に願ったんだ。



戦争を終わらせて欲しい…と。


沢山の人々を守って欲しい…と願ったんだ。



だけど戦争はまだ終わっていない。


争いはまだ続いているんだ。



アストリア王国の消滅という最悪の結末を迎えてもまだ戦争は終わらなかった。



沙織や総魔が命懸けで守り抜いた共和国は、

今もまだ危機にさらされているんだ。



…そして。



守るべき成美ちゃんまでも戦争に巻き込もうとしている。



…だから。



だから僕はまだ沙織とは向き合えなかった。



『さよなら…龍馬。そしてもしも…もう一度出逢うことが出来たなら…。その時は、あなたの返事を聞かせて下さい。』



最後に話してくれた沙織の願いを僕は受け入れた。



そして次に出逢う時に沙織に返事をすると。


この想いを伝えると決めたんだ。



だからこそ今はまだその時じゃない。



もしも今ここで沙織に出逢ってしまったら、

僕はきっとこの先も沙織に頼ってしまうと思う。



だけどね。


それではダメなんだ。



…僕と離れることで。


…自分自身と向き合うことで。



僕と向き合おうとしてくれた沙織に、

今度は僕が頼ってしまうことになる。



…それは出来ない!



僕はまだくじけるわけにはいかない。



沙織はきっと…そんな甘えを望まないはずだから。



…きっとね。



望まないはずなんだ。



自分に言い聞かせることで迷いを振り払う。



そして今はまだ沙織には逢わないと決めた。



そうすることで、僕は僕であることを選んだんだ。



沙織が自分の意志で自分の人生を選んだように、

僕も僕の意志を貫き通したいと願う。



そして全てが終わった時に…沙織と向き合おうと思っている。



その時に沙織と再会出来るかどうかなんて分からないけどね。



…だけどもしも。



一目だけでも沙織の姿を見ることが出来るのなら。


そしてもしもこの想いを伝えることが出来るのなら。


僕は笑顔で沙織と向き合いたいと思うんだ。



そして『愛している』と伝えたい。



例え沙織の返事はなくても。


例え沙織に聞こえていないとしても。



僕はこの想いを伝えたいと思うんだ。



沙織との約束を果たしてから笑顔で向き合う。



そして想いを届ける。



世界でただ一人愛した沙織に、

僕の想いを届けたいんだ。



だからその時が来るまで。


僕が僕として沙織と向き合える日が来るまでは、

沙織と逢うわけにはいかないと思っている。



涙ではなくて笑顔で向き合う為に。


僕は僕の道を選ぶんだ。



…今はまだ早い。



だけど全てが終わったら。


僕が僕の役目を果たし終えたら。



…その時は沙織に想いを届けよう。



たった一言の言葉を別れの為に告げるんじゃなくて…幸せの為に伝えたいんだ。



悲しい想い出にするんじゃなくて。


幸せな想い出にする為に。


その為に今は秘宝を拒絶し続けようと思う。



…いつか必ず。


…この『想い』をきみに届けるよ。



そしていつか必ず伝えるんだ。



…愛していると。



その言葉を伝える日の為に、

今は顔を上げて現実と向き合う。



目の前にいる成美ちゃんと栗原さんと向き合って、

僕は僕の進むべき未来に想いをはせるんだ。



…もう二度と仲間を失わせはしない。



もしも僕のこの手で守れるのなら。


僕は全てを守り抜いて見せる。



二度と大切な人を失わない為に。


そして大切な人に悲しい想いをさせない為に。



例えどれほど傷付いたとしても。


例えどれほどの罪を犯すことになったとしても。



僕は歩み続けるつもりでいる。



…全ては沙織が望んだ未来の為に。



そのために。



改めて二人に話しかけることにした。



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