それは違う
《サイド:御堂龍馬》
「それってもう天城君しかいないんじゃない?」
………。
栗原さんの指摘を受けた僕は、
抑えきれない寂しさを感じてしまっていた。
…確かにね。
それが一番可能性が高いとは思うんだ。
だけど…僕は気付いてる。
それは違う…ってね。
きっと僕の中に総魔はいない。
理由なんてないけど、そう思ってる。
僕に託された想いはきっと総魔の心じゃないはず。
もっと別の何かだと思うんだよ。
それが何かは分からないけれど。
残る可能性で考えられるのは武藤君…くらいかな?
僕を師匠と呼んでいた武藤君なら可能性としては考慮出来る。
だけどそこにも疑問を感じてしまう自分がいるんだ。
感覚とかそういう話じゃなくて、
純粋な気持ちの問題だけどね。
…それはつまり。
武藤君は悠理から離れないという理由だ。
おそらく命懸けで悠理を守り抜いたと思う武藤君の心が悠理から離れるとは思えない。
もしも残された思いがあるとすれば、
常に悠理と共にあるはずだ。
…そう考えると。
もしも存在しているとするのなら、
武藤君の心は悠理と共にあるはず。
そして悠理の心がたった一人残された兄妹へと届いたのなら、
武藤君の心もそこにあるはずだ。
…だとしたら、武藤君でもないだろうね。
だけどそうなるとね。
考えられる可能性がなくなってしまうんだ。
米倉美由紀代表やその他の人達?
そういう可能性が0とは思わないけれど。
良く分からない。
少なくとも沙織ではないことは明らかだ。
それだけは確定している。
成美ちゃんの瞳に心が宿る限り、
僕の中に沙織はいない。
僕に託された想いは総魔でも沙織でもないはずだ。
それだけは分かる。
…今は予測すら出来ないね。
そういう意味では、
栗原さんより難しい問題なのかもしれない。
そのせいで悩んでしまうわけだけど。
ここで時間をかけているわけにはいかないんだ。
僕にはまだやらなければいけないことがあるから。
ひとまず今は話を進めようと思う。
…これからどうするのか?
二人の気持ちを確認して、
考えなければいけないんだ。
これから始まる戦争の前に、
二人の意志を確認しなければいけない。
「総魔の遺した希望に関してはあとで考えるとして…ひとまず本題に入ろう。」
話題を変えて話を進める。
二人の想いを確かめる為に。
そして僕が進むべき道を決める為に。
二人に問いかけることにしたんだ。




