二人とは関係がない?
「私が襲われそうになった時に、何かが私を守ろうとしていることには気付いていたけどね…。それが何かまでは分からないわ。」
「だけどそれが栗原徹君と琴平愛里さんの想いなんじゃないかな?二人の心がきみに宿ってるんじゃないかと考えているんだけど…。どう思う?」
…う~ん。
…可能性としては十分にあると思うけどね。
「私もその可能性は考えているけど。そこを実証する方法がないのよね~?」
兄貴にしかできないこと。
あるいは愛里にしかできないこと。
そんな何かがあればいいんだけど。
二人共、治療特化の魔術医師だしね〜。
これと言って思い当たるようなことなんて何もないのよ。
「そうであれば良いとは思っているけど…今はまだ何も分からない感じ?」
「…そうか。」
残念そうに俯く御堂君だけど。
こればっかりはどうしようもないわ。
期待に応えられないのは申し訳ないけれど。
その真実は私が知りたいくらいなのよ。
…天城君が遺した希望。
託されたモノが何なのか?
…そんなの私が知りたいわ。
ウィッチクイーンは全てを知っているような口ぶりだったけれど。
話を聞きたくてもどこにいるのか分からないのよね~。
…だけど。
自分の存在意義を知ることと、
自分の気持ちを考えること。
そうして決断を下すことによって私の価値が変わるってウィッチクイーンは言っていたわ。
彼女が何を望んでいて、
誰と交渉をしようとしてるのかも知らないけれど。
私に何かを期待しているのは間違いないはず。
だからこそ。
交渉の為の鍵として私を必要としているはずなのよ。
でもね~?
それが何なのかも分からないままなのよ。
…それでもね。
全ての答えを知った時に、
私は選ぶことになるんでしょうね。
ウィッチクイーンと一緒に行くのか?
それとも別の道を歩むのか?
今はまだ分からないとしても、
クイーンは待っているはずなのよ。
私が鍵としての価値を持つ日を待ち続けているはず。
…御堂君とも成美ちゃんとも違う結末。
…そこに私が辿り着けるかどうか?
それこそが私の価値だってウィッチクイーンは言っていたわ。
…と言うことは、よ?
もしかして?
私って実は二人とは関係がないんじゃない?
何となくだけど。
御堂君達とは別の問題に関連しているような…そんな気がするのよね。
…私は何の鍵なの?
考えても分からないけど考えてしまうわ。
…私がいることで交渉できる人?
もちろん心当たりなんてないけれど。
私と関わりがある相手としか考えられないわよね?
…だとしても。
何も思い付かないのよ。
御堂君と成美ちゃんを除いて、
他にウィッチクイーンが求める誰かなんて想像もつかないわ。
…私の考え方が間違ってるのかな?
もしもそうだとすると余計に何も分からない。
…ダメね〜。
…分からないことが多すぎるわ。
情報が少なすぎて考えが止まってしまうのよ。
今はまだ考えても答えが出ないから諦めるしかなかったの。
「ごめんね。私には何も分からないわ。」
「まあ、そうだね。分からないものは仕方がないよ。それに…僕も自分のことが分からない立場だからね。」
…御堂君の立場?
「それって誰の心なのか?っていうこと?」
「ああ…僕には心当たりがないからね。」
…う~ん。
…確かに御堂君の場合は特定が難しいわね。
候補が少ないというか、多すぎるというか?
誰でもありえそうだし、
誰でもないような気がするのよ。
「沙織の心は成美ちゃんに届いたらしい。そしておそらく真哉の心は別の場所にある。そう考えると…僕に残された心が誰なのかが分からないんだ。」
…ん?
「北条君の心?」
「あー、うん。ごめん。説明がまだ足りてなかったね。」
疑問を感じて首を傾げる私に、
御堂君は苦笑しながら説明してくれたわ。
「真哉の…北条真哉の心はね。もう一人の後継者であるフェイ・ウォルカに届いてると思うんだ。」
…もう一人の後継者?
それって私達じゃない4人目ってことよね?
そういえばウィッチクイーンは、
5人に希望が托されたとか何とか言ってたような?
…だとすると?
4人目がデルベスタ多国籍学園のフェイ・ウォルカってこと?
「どうしてそう思うの?」
「真哉に関しては予想というか仮説だけどね。ウィッチクイーンは4人目の名前としてフェイの名前を口に出していたんだ。そしてもしもそれが事実だとすると、フェイに考えられる可能性は一つしか思い付かない。」
「それが北条君っていうこと?」
「ああ、他には考えられない。あの戦場においてフェイと関わりがあるのは真哉くらいだと思う。他に可能性がないとは言わないけれど、おそらくそれが正解じゃないかな?だから僕の中に真哉はいないはずなんだ。」
…ふ~ん。
もしも御堂君の仮説が真実だとすると。
残る可能性は限られてくるわよね?
御堂君と親しい関係で、
御堂君に想いを届けたい人でしょ?
「それってもう天城君しかいないんじゃない?」
他に候補がいないと思うんだけどね。
「………。」
何故か御堂君は寂しそうに微笑んでいたのよ。




