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THE WORLD  作者: SEASONS
4月20日
1439/1579

反則級

「えっと。質問の続きだけど、トールハンマーとダイアモンド・ダスト以外の魔術も使えるのかな?」


「………?」



他の魔術も使えるのかどうかを確認してみたんだけどね。



成美ちゃんは首を傾げたままで、

悩んでいる様子に見えた。



…たぶん。



どう答えれば良いのかが分からないのかもしれない。



だとしたら、質問を変えたほうが良いかな?



もう少し具体的に質問するために、

幾つかの魔術名を言葉にしてみることにしよう。



「例えば…アルテマとかはどうだい?」



最も危険な魔術を尋ねてみた瞬間に、

成美ちゃんの左の瞳が僅かに輝いたような気がした。



「…あ、あれ?」



どうやら成美ちゃんも何かに気付いたようだ。



「えっと、良く分かりませんけど…。でも何となく…出来そうな気がします?」



自分でも疑問を感じているような発言だった。



…とは言え。



アルテマを実践されてしまうと大変な事になるからね。



実際に見せてもらうわけにはいかない。


だから別の名前を問い掛けることにする。



「それじゃあ、ジェノサイドはどうかな?」



アルテマの縮小版とも言える魔術なら、

僕の力で掻き消せるはずだ。



密かに迎撃の準備を進めながら尋ねてみると。


成美ちゃんは左の瞳を微かに輝かせながら手の平に魔力を集め始めた。



『パアアアアアッ!!!!』と、

光り輝く右手の光が見覚えのある姿へと変わっていく。



…うわっ!?



これは間違いない!!


間違いなくジェノサイドだっ!



真哉のボルガノンやソニックブームを相殺出来る高威力の翔子の魔術が成美ちゃんの手の平に現れていた。



「…解除は出来るかい?」


「………?」



成美ちゃんは首を傾げて戸惑っている。


どうやら中断は出来ないらしい。



…解除が出来ないのかな?


…それともやり方を知らないだけなのかな?



判断が難しいところだけど。


そこまで自在とはいかないようだ。



…仕方がないね。



今はジェノサイドの消去が優先になる。



「魔術を消滅させるよ。」



宣言してから力を開放する。



その直後に。


成美ちゃんの右手に輝く光が僕の力によって消失した。



「………。」



ジェノサイドは跡形もなく消え去った。


そして気が付けば成美ちゃんの左の瞳からも輝きが消えている。



…ということは?



瞳が魔術を発動させる為の『媒体』の役目を果たしているのかな?



今の消去で翔子の心までが消えたわけではないと思う。


もしもそうなら成美ちゃんの左目が見えなくなっているはずだからね。



だけど成美ちゃんに変化はない。



…だからおそらく。



成美ちゃんは魔術を使えないけれど。


成美ちゃんの瞳が魔術を使えるんじゃないかな?



…だとすれば。



もちろん右目にも意味があるはずだ。



「それならマスター・オブ・エレメントはどうだい?」



問いかけた直後に成美ちゃんの右目が光りだした。



…まさかっ!?



本当に使えるのか!?



予想は的中してしまうらしい。



「マスター…オブ…エレメント…?」



成美ちゃんが名前を呟いた直後に、

成美ちゃんの目前に5色の光が現れたんだ。



白、黒、赤、青、黄。



見覚えのある輝きを目にして、

僕は驚き戸惑ってしまっていた。



だけどそれは僕だけじゃない。


成美ちゃんの隣に座る栗原さんでさえも、

驚いた表情を見せていたんだ。



「やっぱり沙織の魔術も使えるのか…。」


「何となくそんな気はしてたけど…これはもう反則級よね~。」



…ああ、そうだね。



栗原さんが言いたいことは僕も同意見だよ。



翔子の魔術が使えるだけでも凄いことなのに。


沙織の魔術まで使えるとなると。


攻撃も補助も回復も、

何もかもが超一流ということになるからだ。



翔子の攻撃力と沙織の治癒能力。


さらには援護や結界まで、

あらゆる魔術が使えてしまう可能性がある。



…そうなると。



本当に成美ちゃんは最強の魔術師の一角になってしまうんじゃないだろうか?



「その魔術も解除させてもらうよ。」



声をかけてから成美ちゃんの魔術を打ち消すことにした。



解呪は出来ないけれど。


破壊は出来るからね。



消え去る5色の光と同時に、

成美ちゃんの右目の輝きも消え去ったようだ。



「…ふう。」



ここまでの実験で、おおよその能力が理解できた。



おそらく成美ちゃんは沙織と翔子の魔術が使える。



もしかすると二人が使えた魔術なら全て使えるのかもしれない。



翔子の魔術は独特の魔術が多いけれど。


もしも沙織の魔術も使えるとしたら?



大賢者と呼ばれた沙織の力を受け継いでいるとしたら?



成美ちゃんは現状ですでにあらゆる魔術を使えることになってしまうはずだ。



…千を超える魔術。



沙織が求め続けて覚え続けた数々の魔術が成美ちゃんの右目に宿っているということになる。



もしも本当に二人の魔術が全て使えるとしたら?


そしてもしも総魔の力まで使えるとしたら?



『最強の魔術師』という称号は成美ちゃんのモノになるはずだ。



僕でさえ遠く及ばない高みに、

成美ちゃんは辿り着けるのかもしれない。



僕もいつかは…と願っていた遥かな高み。



総魔に追いつくことを目指していた僕を、

成美ちゃんはあっさりと越えつつあるようだ。



…だとしたら、これが?



この力がウィッチクイーンの求める力なのだろうか?



女性最強の魔術師として考えられるのは成美ちゃんしかいない。


少なくとも翔子の力を受け継いでいる時点で僕と同格かそれ以上だ。



それなのに。



沙織の力まで加わっていると考えれば、

魔術師としてはすでに僕を越えている可能性が高い。



もちろん戦闘の技術においてはまだまだ駆け出しだけど。


今後の成長次第ではどこまで強くなれるのか想像すら出来ないんだ。



…これが?



これが総魔の遺した希望の力なのだろうか?



どういう方法で実現したのかなんて分からない。


だけど現実として成美ちゃんは魔術を使えるようになっている。



一切の知識を持たずに。


全く何も知らないはずの成美ちゃんが僕を越える力を持っているんだ。



その事実こそが総魔の遺した希望の価値なのかもしれない。



…だとすれば?



もう一度、栗原さんに視線を向けてみることにした。



まだ予想でしかない仮説だけど。


成美ちゃんの瞳を考えれば、

決して間違ってはいないはず。



成美ちゃんに残された心が、

本当に沙織と翔子だとしたら?



栗原さんに残された心は?



「栗原さんはどうなのかな?」


「………。」



確認してみたことで、

栗原さんは戸惑いながら答えてくれた。




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