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THE WORLD  作者: SEASONS
4月20日
1438/1574

失敗談

《サイド:御堂龍馬》



…さて、と。


…どこから話をするべきかな?



僕の向かい側に座る成美ちゃんと栗原さんは、

二人で仲良く並んで席についている。



僕も席についてみたものの。


話し始めるきっかけがなくて、

どうしようか迷ってしまっていた。



…うーん。


…言い出しにくい話だけど。



このまま悩んでいても仕方がないよね?



いつかは言わなければいけないことなんだ。



だから二人に話しかけてみることにした。



「とりあえず幾つか話したいことがあるんだけど、その前に僕から質問をしても良いかな?」


「は、はいっ。」


「良いわよ~。」



二人は快く頷いてくれている。


そんな二人の仕種を確認してから、

まずは栗原さんに問い掛けてみることにしたんだ。



「えっと、先に確認しておきたいんだけど…。栗原さんは竜の牙という名前は知っているかな?」


「ん…?あ~、竜の牙ね。知ってるわよ…って言っても名前くらいだけどね。」



…なるほど。


…名前は知ってるのか。



それでも名前を知ってるということは、

どういう組織なのかも大まかには理解してるんじゃないかな?



「それじゃあ、ウィッチクイーンという名称は?」


「それも知ってるわよ。一応…と言うか、何度も出会ってるしね。」



…へー。


…栗原さんもすでに会っているのか。



『何度も』という部分に関して疑問が増えてしまったけれど。


まずは質問を終えてしまったほうがいいかな?



「あと一つ。秘宝に関してはどうだい?」


「ん~?さあ?知らない…って言うか、聞いたこともないわ。あ…でも、竜の牙の連中が米倉元代表にそんなことを言ってたっけ?」



葬儀の式場で里沙が竜の牙に捕らえられていた時の会話だね。



…だとしたら?



栗原さんもその場にいたわけだから、

秘宝という言葉を聞いているのは当然になる。



だけど秘宝の意味までは知らないようだ。



…ということは?



米倉さんが隠した秘宝に関してはともかく。


成美ちゃんが受けとった秘宝に関しても何も知らないのかもしれないね。



それでもウィッチクイーンとは何度も関わっていると栗原さんは答えていた。


そして一応、竜の牙という名前も知っているらしい。



だけど秘宝に関しては何も知らないという状況のようだ。




「なるほどね。これで大体分かったよ。」



僕が話すべきことと伝えるべきことが分かった気がする。


だから次に成美ちゃんにも問い掛けることにしたんだ。



「成美ちゃんにも聞いておきたいんだけど。成美ちゃんは魔術に関しては何も知らないのかい?使い方とか理論とかだけど…。」


「あ、はい…。すみません。何も知らないです。回復系?とか、身体強化?とか、身を守る魔術を聞いたことはあるんですけど…。」



前もって確認してみたことで、

成美ちゃんは申し訳なさそうな表情で答えてくれた。



「お姉ちゃんも翔子さんも『目が見えない私は、成功しても失敗しても危ないから無理に覚えないほうがいい』と言っていましたので…。」



…ああ、確かにね。



目が見えていても失敗の危険性があるのに、

目が見えない状況で魔術を使うのは無謀かもしれない。



だからこそ沙織も翔子も、

成美ちゃんには魔術を教えなかったようだ。



あるいは教えても覚えられなかったという可能性もあるけれど。


目が見えない状況では発動した魔術も見えないからね。


無理に覚えないほうが賢明かもしれない。



「あっ、でも…。魔術を使うのに失敗して怪我をしたりとか騒ぎになったりとかの話は聞いてます♪」



…あはははっ。



「まあ、ありがちな話よね~」



笑顔で答えた成美ちゃんの言葉を聞いて、

僕と栗原さんは揃って苦笑してしまった。



「まあ、そういうこともあるからね。」


「それは誰にでもあることよ。私だって失敗の十や二十…って言うか、もっとあるけど。みんなが経験することだから、そこはさらっと忘れてあげたほうが良いわよ。」



…ああ、そうだね。



僕にも追及されたくない恥ずかしい思い出があるから失敗談はあまり思い出したくないかな。


だけど僕達の言葉を聞いていた成美ちゃんは首を傾げている。



「…?」



何も知らない成美ちゃんには分からないようだ。



でもね。


誰にでも失敗はあるんじゃないかな。



些細なことから大きな問題まで。


あるいは笑えることから笑えないことまで。


色々経験して成長していくものだから。



それが普通だし。


僕も例外じゃない。



数えきれないほど多くの失敗を繰り返して、

何度も試行錯誤を繰り返したことで今の僕があるんだ。



…まあ、総魔はどうか分からないけどね。



だけどたぶん。


総魔にもそういう時期はあったと思うよ。



学園内においてはそんな隙は見せなかったけれど。


おそらくはきっと。


総魔でさえも苦労した時期があると思うんだ。



…多分、だけどね。


…ある、はず?



何となく、ないような気もしてくるけれど。



…あると思う。



………。



…どうなんだろうか?



今となってはもう分からないことだけどね。



総魔がいない今では分からないけれど。


みんな失敗を繰り返して成長していくものだと思うんだ。



その失敗が笑い話になることが多いから、

あまり触れないでおいてあげたほうが良いとも思う。



特に翔子の場合は失敗談が多すぎて、

本人としては忘れたい出来事も数多くあるだろうからね。




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