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THE WORLD  作者: SEASONS
4月20日
1433/1587

どんどん深みに

「泊まれるのなら…そうしたいです。」



それでも荷物を取りに、

一度は家に帰る必要があるんだけどね。



「一度家に帰るつもりならそれでも良いけれど…食事は私が用意してあげるから心配しなくても良いわよ。」


「あ、いえ…。そこまでして頂かなくても…?」



丁重に断ろうとしたんだけどね。


やっぱり断る権利はないみたい。



「私と食事は…嫌かしら?」



…いやいや。


…そういう意味じゃないんだけどね。



「遠慮というか、何て言うか…?」



言葉に悩む私を眺めている美咲さんの瞳に再び涙が浮かび始める。



「やっぱり…私のことが嫌いなのね…っ!」



わざとらしく泣き出す美咲さんのせいで、

再び周囲から冷たい視線が突き刺さってきたのよ。



…うぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!



…タチが悪すぎ。


…嘘泣きはもうやめて〜〜〜〜。



本気でも嘘でもどっちでもいいんだけど。



本当に泣いているようにしか見えない美咲さんを見た周囲の人達から、

美咲さんへの同情の視線と私への冷ややかな視線が集まってしまうのが問題なのよ。



…この人はやっぱり怖いわね。



こうなるともうこの状況を解決する為には私が折れるしかないのはもう十分に理解しているわ。



…はあ。


…もしかして。



私って自分で思う以上にお人よしなのかも?



自分自身に対して激しくため息を吐いたあとで、

美咲さんの申し出を全て受けることにしたのよ。



「分かりました!もう良いです!美咲さんの好きにしてくださいっ!!」


「ええ。それじゃあ、好きにするわねっ♪」



諦めの心境で告げた言葉を聞いて、

美咲さんは一瞬にして表情を変えてしまったの。



幸せの絶頂にいるかのような楽しそうな笑顔を浮かべてるのよ。


もしかしたら私はまた余計なことを言ったのかもしれないわ。



…どんどん深みにはまってる気がするかも?



着実に危険な方向に話が進んでるような気がするのよ。



…でもまだ大丈夫、よね?



不安を感じて震える体。


そんな私を美咲さんは嬉しそうに眺めてる。



…逃げるべき?



再び迷ってしまうけれど。


迷いを気力で押さえ込んでみる。



…信じるって決めたから迷わないわっ!



自分に言い聞かせて美咲さんと向き合う。



「とりあえず美咲さんに任せます。許せる範囲内で…ですけど…?」



一応、念を押す私を見ていた美咲さんは苦笑してた。



「心配しなくても大丈夫よ。安心して任せてね♪乃絵瑠ちゃん♪」



…全く。


…何一つとして。



安心出来ないです。



油断した瞬間にどんな条件を押し付けられるか分からないからよ。



…まあ、それはそれとしてね。



「結局、私は何をすれば良いんですか?」


「そうね~。それじゃあ、ちょっとだけ真面目に話をするわね。」



美咲さんに何を指導してもらえるのかを尋ねてみたことで、

再び真剣な表情を見せてくれたのよ。



…でもね。



出来ればちょっとじゃなくて、

ずっと真面目にしてほしいかな。



なんて…心から願ってみるけれど。


そんなささやかな願いさえも叶わないみたい。



…と言うよりも。



きっと美咲さんは一生変わらないと思うの。



「さてさて。私が指導する訓練に関しては、とりあえず明日から始めることにして…。今日はまず乃絵瑠ちゃんの実力を見せてもらおうかしら?」


「私の実力ですか?」


「ええ、そうよ。光属性の魔術が得意なのは知ってるけれど、それがどの程度なのか…という部分と、実際に闇属性はどれくらい不得意なのか…という確認ね。そこから始めるのが一番手っ取り早いと思うから、じっくりと乃絵瑠ちゃんを『観察』させてもらうわ♪」



…え〜〜〜〜〜〜〜〜っと?



なぜか観察という言葉に、

すごく違和感を感じたんだけど?



これって気のせいじゃないわよね?



何故かね。


ものすごい寒気を感じたのよ。



直感的に感じる危機感って言うのかな?



観察という言葉に異様な恐怖を感じてしまったの。



…ごく普通の言葉のはずなのに。



美咲さんが口に出すともの凄く怖いのよ。



美咲さんと向き合ってるだけでも、

知らず知らずの内に手の平が汗ばんでくるの。



絶対に油断出来ない緊張感のせいで、

恐怖を感じて精神的に追い込まれていく。



「でもまあ…先に結論だけ言っておくとね。」



色々な意味で危機感を感じる私に美咲さんが話し続けてる。



「光を極めれば必然的に闇も極めることが出来るという話になるわ♪」



…えっ!?



「そうなんですか!?」



予想外に真面目な言葉だったから即座に聞き返してしまったのよ。



「どちらも極められるんですか!?」


「ええ、そうよ。そこに関してはあとで説明するとして、とりあえず今は乃絵瑠ちゃんの実力を見せてほしいわね〜。」


「あ、はい…。」



美咲さんに促されたことで、

訓練施設の中にある魔術の実験場に視線を向けることにしたのよ。



…まあ。



実験場と言っても研究所の施設とは違って、

ただ単に魔術を使えるだけの場所で特別な機材とかは特に何もないみたいだけどね。



ギルドの地下に広がっている訓練施設の中でちょっと広めの空間を確保した程度の実験場には各所に目標となる『的』が用意されているだけで、

それ以外に目立つものは本当に何もないのよ。



今も何人かの人達が的に狙いを定めて魔術の練習をしているけれど。


本当にただそれだけの場所みたい。



その練習場の一つに、

美咲さんと二人で移動したのよ。



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