後回し
《サイド:矢野桃花》
………。
御堂君が帰ってきたけれど。
常盤成美さんと栗原薫さんの二人を引き連れて、
すぐに医務室を出て行ってしまったわ。
これからどこに向かうつもりなのかは知らないけどね。
呼び出しを受けなかったから、
追いかけることはしなかったわ。
その理由は簡単。
御堂君が同行を望まなかったからよ。
本当なら一緒に行って話を聞きたい気はするけれど。
もしもその必要があれば私と里沙も呼んでいたはずよ。
だけど御堂君はそうはしなかったわ。
だから私と里沙は医務室に留まったの。
無理に追い掛けようとはせずに待つことを選んだのよ。
…とは言え。
どんな話をするつもりなのかしら?
正直に言えば興味はあるわ。
だけど召集を受けなかったということは、
私達は知らなくても良いという判断でしょうね。
「結局、あの宝石って何だったのかな~?」
疑問を感じて首を傾げる里沙も気になっている様子見える。
常盤成美が預かり受けたというネックレス。
そこに繋がっていた『宝石』
その宝石を見た米倉元理事長は顔色を変えていたわ。
あれが何かを知っているような…そんな反応だったのよ。
「大事な物なのかな〜?」
…でしょうね。
「だからこそ、その話をする為に医務室を出て行ったんじゃないかしら?」
「ああ~!…ってことは、あそこに行くのかな?」
「ええ、そうでしょうね。」
そしてあの場所は私達には立入禁止区域になるわ。
話を聞きに行くことは出来ないということよ。
「う~ん。待つしかないっていう感じ?」
「そうなるでしょうね。」
それでも必要があれば御堂君が話を聞かせてくれるはずよ。
伝えなくてもいい情報なら一切話さないでしょうけどね。
「それよりも…。」
短い会話を終えて、
里沙に作業を促すことにしたのよ。
「考えていても分からないことは後回しにして、先に治療を終わらせるわよ。」
「あ~、うん。そうね。」
小さく呟いた里沙は素直に作業を再開してくれたわ。
…まだまだ気になってしょうがないという雰囲気はあるけれど。
それでも私達は医務室の作業を終わらせることに専念したのよ。




