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THE WORLD  作者: SEASONS
4月20日
1423/1579

初めてのお友達

「遅くなってごめんね。お水を持ってきたけど、飲める?」


「はいっ♪」



…うっわぁ。



笑顔でコップを受けとって水を飲む成美ちゃんの何気ない仕種さえも可愛くて仕方がないわ。



…こういうのも一目惚れって言うのかな?



別に女の子が好きとかそういうことじゃなくてね。


人が人を好きになるってこういうことだと思うのよ。



…愛里に逢いたいな~。



なんて、いまだに考えてしまう自分がいるわ。



…兄貴はまあ、微妙だけどね。



会いたくないことはないけれど。


会いたいとも言いにくい感じ?



…う~ん。


…なんだろ~?



馬鹿兄貴に関しては何とも言えないわね。



それでもね。



もう二度と会えないと考えるだけで寂しいのは事実だと思う。



あんな兄貴でもね。


兄貴は兄貴だから、

他の誰にも変わりは務まらないのよ。



…そう思うと逢いたいかな?



素直にそう思えたんだけど。


もう会うことは出来ないのよね。



だからこそ逢いたいと思う気持ちが消えなかったの。



そして…これからも一生消えないと思う。



…寂しいよ。


…兄貴。



…逢いたいよ。


…愛里。



多分この気持ちは永遠になくならないと思うわ。



私が生きてる限り、

ずっと抱えたままだと思うのよ。



だけどそれでも良いと思ってる。


無理に忘れる必要なんてないから。



大切な人だから。


大切な想い出だから。


だからこのままで良いと思っているの。



…忘れないよ。


…この気持ちは忘れたくない。



…大切な、とても大切な想い出だから。


…だから忘れないわ。



そんなふうに考えながらね。


成美ちゃんと向き合うことにしたのよ。



「ねえ、成美ちゃん。」


「はい?」



成美ちゃんはコップを両手で抱えながら私を見上げてくれてる。



…うんうん。


…こういう表情もすっごく可愛いわね。



出来ることならずっと眺めていたいと思うわ。



だからそのために。


聞いてみようと思うのよ。



「一つだけ、お願いしても良い?」


「あ、はい…。なんですか?」


「もし良かったら…なんだけどね。」



少し戸惑いながらも私と向き合ってくれる成美ちゃんに、

そっと右手を差し出してみたの。



この状況で断られると恥ずかしいんだけどね〜。


だけどこういうのって握手から…って思うのよ。



「私と友達になってほしいんだけど、ダメかな?」


「え…?あっ!?は、はいっ!!」



ちょっぴり照れくさくて控え目に尋ねてみたんだけど。


成美ちゃんは嬉しそうな表情で大きく頷いてから、

飛びつくように私の手を握り返してくれたのよ。



「すごく嬉しいですっ♪」


「そうなの?」


「はいっ!!」



心の底から喜んでくれているみたい。


すごく嬉しそうな笑顔に見えたわ。



「初めてのお友達ですから♪」



…ん~?


…あれ?



「確か、美袋さんと仲が良かったんじゃなかったっけ?」



沙織からはそんなふうに聞いてたんだけど違うのかな?



「えっと。翔子さんもお友達ですけど。どちらかと言うとお姉ちゃんっていう感じですから。」



…ああ、なるほどね。



友達というより、家族っていう立ち位置なのね。



つまり、元々が沙織の友達だから、

友達の友達っていう感じなのかもしれないわ。



それに年齢的にも立場的にも違いがあるから、

仲の良いお姉さんっていう判断になるのかも?



「まあまあ、何にしても改めてよろしくね。」


「はいっ!何も出来ませんけど、よろしくお願いしますっ♪」



…うわぁ~。


…可愛いわね~。



まっすぐに私を見つめながら幸せそうに微笑んでくれるのよ。



瞳をキラキラと輝かせながら微笑んでる笑顔を見るだけで、

何故か心臓のドキドキが止まらなくなってしまうわ。



…う~ん。


…不思議な感じがするわね。



…何て言うのかな?


…まるで告白されてるみたいな感じなのよ。



友達になろうって言っただけなのに、

何故か心臓の鼓動が速くなってしまうの。



…ふぅ。


…成美ちゃんって存在そのものが反則よね?



可愛さの固まりのような存在なのよ。



一つ一つの仕種を見ているだけで、

温かい気持ちになってしまうわ。



…これはもう本気で妹にしたいかも?



もしも成美ちゃんがお姉ちゃんって呼んでくれたら、

きっとそれだけで幸せな気持ちになれると思うのよね~。



たぶん、美袋さんも同じ気持ちだったんじゃないかな?



そんなふうにね。


自信を持って断言できるくらい、

成美ちゃんは私のお気に入りになっていたのよ。



「よろしくね、成美ちゃん。」


「はいっ♪」



力一杯、私の手を握り締めてくれる仕種さえも愛おしく感じてしまう。



…はあ。


…沙織が羨ましいわね。



素直にそう思えるのよ。



だからこそ。


これからは私が成美ちゃんを守りたいと思えたの。




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