魔女との契約
「ふふっ。魔女との契約はね。裏の裏まで読み切らないと簡単に騙されてしまうものなのよ。」
…あぅぅ。
「まあ、そこが乃絵瑠ちゃんの可愛いところでもあるんだけどね♪」
…うぅ〜。
「さあ、どうする?」
…えっと〜。
どう…って聞かれてもね?
「私の手を借りる気があるのなら、私が乃絵瑠ちゃんを全力で守ってあげるわよ。」
…美咲さんの全力って何?
ちょっと聞くのが怖いかも?
「乃絵瑠ちゃんは何が欲しいの?」
…私が欲しいもの?
「戦う力?それとも理想?あるいは幻想かしら?」
…うぅ〜ん?
「他人を信じるのって難しいわよね?」
…まあ、確かに?
「だけどね。もしも私を信じる気があるのなら…乃絵瑠ちゃんの夢を…理想を…希望を…全て現実に変えてあげるわ。」
…全てを現実に?
その根拠というか、
自信の理由が気になるんだけど。
…でもまあ、それ以前にね。
「まるで詐欺師のような言葉ですね。」
「ええ、そうよ。」
…いやいや。
そこは否定するべきじゃない?
「自分で認めちゃうんですね。」
「嘘で塗り固められた言葉で満足するのならそうしてあげるわよ?」
…いやいやいやいや。
「それはそれで困りますけど…?」
「でしょうね。だから私はまだ乃絵瑠ちゃんに対して一度も『嘘』を吐いていないのよ。」
…あ〜、まあ、確かに?
言わなくて良いことまで言っちゃってるし?
嘘じゃないからこそ、
本気で私が狙われてるっていう恐怖もあるんだけどね。
…だからこそ。
ここまでの流れの中で、
美咲さんが嘘を吐いたことは一度もなかったと思うの。
…まあ、誤魔化しは多いけどね〜。
すっっっっっっっごく、多いけどね!!
だけどね?
騙されていることに気づけない私にも問題があって、
美咲さんはちゃんと事実を教えてくれているのよ。
…騙されたくないのなら。
ちゃんと考えないといけないって、
教えてくれているの。
だから美咲さんを嘘つきなんて言えないし。
ズルいとも言えないのかもしれないわ。
「ふふっ。私は『優しい』でしょう?」
…かもしれないわね。
でもね?
「自分で自分を優しいっていう人は信用できませんけど?」
…そう思うんだけどね。
だけどもう分かってる。
美咲さんがずっと私に何かを伝えようとしてくれていることに。
その『優しさ』に気付いているから。
「だから…信じてみます。」
信用出来ないなんていう言葉で関係を断ってしまったら、
きっともう二度と誰も信じられなくなってしまうから。
「私は美咲さんを信じます。」
「ふふっ♪」
はっきりと宣言した私を見て、
美咲さんが微笑んでくれてる。
その笑顔も本心であって、
嘘じゃないのは間違いないはずなのよ。
「これからもよろしくね♪乃・絵・瑠・ちゃん♪」
…うぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!?
い、今でもまだね。
名前を呼ばれるたびに、
悪寒を感じてしまうんだけどね。
それでも美咲さんは私に救いの手を差し延べてくれたのよ。
「さあ、行きましょう。」
「…は、はい。」
私の手を引く美咲さんに誘われるまま、
控室を出ることになったの。




