正式な契約条件
「…あらあら?」
残念そうにため息を吐く美咲さんだけど。
…歎きたいのはこっちですよね!?
「約束が違いますっ!!キスだけって言ったじゃないですかっ!」
全力で抗議してみたけれど。
「ええ、そうよ♪」
美咲さんの笑顔は崩れなかったわ。
「契約は『乃絵瑠ちゃんとのキス』よ。嘘はついてないでしょ?」
…え?
「ディープ・キスもキスの一つよ♪」
…な!?
「そ・れ・に♪キスに関して一切の条件をつけないことも契約に含まれていたはずよ?」
…へ?
言葉もまともに返せないほど混乱してしまった私にさらりと答えた美咲さんは、
一方的に恐ろしい発言を告げてきたのよ。
「そんなっ!?そんな覚えは有りませんっ!!」
全力で否定してみるけれど。
「契約はキスだけ。だけど、それ以外に『条件をつけない』って約束したはずよ♪」
美咲さんは勝ち誇ったように宣言してくる。
「それとこれと、どういう関係が…?」
「つ・ま・り♪キスに関してだけで言えば、乃絵瑠ちゃんも私に『条件をつけられない』って言うことになるの♪素敵な契約でしょ♪」
「んな…っ!?」
…そんな馬鹿げた条件がありえるの!?
あまりにも理不尽な条件に愕然とするしかなかったわ。
「ああ、そうそう。も・ち・ろ・ん♪キスは1回だけなんて言った覚えもないわよ♪」
…ちょっ!?
「そんなのズルすぎですっ!!」
「いいえ、私はちゃんと条件を提示したわ。そしてその条件を受け入れたのは乃絵瑠ちゃんよ。だから私は何も悪くないわ。そうでしょう?」
…いや、でも?
こんなことになるなんて思ってなかったし?
そんな無茶苦茶な条件だと思ってなかったのよ!
「どう思うとしても、契約は契約よ。まあ、嫌なら私も手を引くけれど…。これからどうするかは乃絵瑠ちゃんが一人で考えなさい♪」
…うぁ。
必死に反論を考えてみるけれど。
………。
結局、何一つ言い返せなかったの。




