『が』、『も』
「さあ、ゆっくりと話を聞いてあげるわね。乃・絵・瑠・ちゃん♪」
…うぁぁぁぁっ。
無邪気に微笑む美咲さんの瞳が、
まるで獲物を捕らえるかのような危険な雰囲気を放っているように見えるわ。
…これって、もしかして?
…やっぱり、そういう意味なの?
「あ、あの…。美咲さん?」
「ん?どうかしたの?」
極々普通に返事をしてくれる美咲さんだけど。
勇気を出して問い掛けてみることにしたわ。
「えっと。もしかして、美咲さんって…?」
すごく聞き難い質問なんだけど。
「…私ね。可愛いモノが大好きなの。」
質問を言い終えるよりも先に内容を察してくれたみたいで、
美咲さんは笑顔を浮かべたまま楽しそうに笑っていたわ。
「奈々香のそっけない態度も好きだけど、乃絵瑠ちゃんみたいに周りに振り回されて苦労するような子もすっごく可愛いと思うわ♪」
…うあっ。
美咲さんの言葉を聞いた瞬間に『ゾゾゾッ………!!!!』って、
尋常じゃないほどの鳥肌が立ってしまったのよ。
「そ、その…美咲さんって、女の子が好きなんですか?」
「いいえ、違うわよ。」
…あれ?
…違うの?
「女の子『が』じゃなくて、女の子『も』好きなのよ。性別よりも『可愛さ』重視って言えば良いかしら?」
………。
………。
………。
…はぁぁぁぁぁぁ?
…それって男女問わずってこと!?
全く隠すこともないまま堂々と答えてしまう美咲さんはある意味ですごいと思ったわ。
その言葉の意味を理解してしまって、
恐怖を感じてしまうほどにね。
「わ、私は、そんな趣味は…っ。」
「ふふふっ♪」
戸惑い慌てる私を美咲さんは楽しそうに眺めてる。
「本当に乃絵瑠ちゃんは、からかいがいがありそうで…とっっっっても可愛いわね♪」
…うあああああああああああああああああああああああああああっ!?
…完全に狙われてるっ!?
…に、逃げないとっ!
あまりの恐怖に自然と視線が扉へと向いてしまったわ。
…だけど。
「鍵がかかってるわよ。」
…そう言えばぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!
逃げる前に断言されてしまったのよ。




