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THE WORLD  作者: SEASONS
4月20日
1399/1602

地上で起きた大津波

《サイド:竜崎雪りゅうざきゆき



セルビナとの国境に降り注ぐ激しい雨。



ついさきほどまで戦場に響き渡っていた悲鳴さえも掻き消すほどの豪雨によって大地はぬかるみ始め、

大きな水溜まりが幾つも出来上がろうとしていました。



勢いよく降り注ぐ粒の大きな雨によって視界は狭くなり、

数分前までなら見渡せていたはずの景色も今は見えにくくなっています。



…これは思っていた以上の雨ですね。



降り出した雨の勢いは予想以上で、

降り始めたと感じてから僅か数分で景色が一変してしまうほどでした。



『ザアアアアアアアッ!!!!!!』と激しく降り注ぐ雨のおかげで服がずぶ濡れなのですが、

今のこの状況では文句なんて言えません。



もしもこの雨がなければ生きて脱出することさえ難しいのですから、

雨に濡れるくらいの苦労は我慢したいと思います。



「…とりあえず。」



周囲を見渡してみました。



北条さんが率いる国境警備隊の方々と私が率いている反乱軍のみんなは、

現在、セルビナの軍隊に取り囲まれて身動きの取れない状況になっています。



なにより全包囲を取り囲まれて脱出さえも出来ない状況なのですが、

それでもまだ全滅したわけではありません。



私達は生きています。


ちゃんと判断して動くことが出来るんです。



「まだ、大丈夫」



今はただじっと反撃の時を待ち続けます。


重要なのは反撃の瞬間を見定めることです。



そのためにいつでもダイダルウェーブを発動出来るように魔術を維持しながら、

エンジェルフェザーによって仲間の援護を続けていたのですが。


雨が降り始めた以上はもう堪え凌ぐ必要がありません。


もうこれ以上の時間を稼ぐ必要はないんです。



「あとは敵の攻撃が緩んだ瞬間を狙えれば…」



雨によって出来た足元のぬかるみがセルビナ軍の行動を妨げてくれた瞬間を狙いすまして反撃に出れば、

一気に形勢を逆転させることが出来るはずです。



まずはセルビナの動きを封じて退路を切り開くこと。


そしてここから離脱してランベリアに接近出来れば、

共和国軍の援軍が期待出来るはずです。



すでに国境警備隊の連絡員が援軍の要請を行っているはずですので。


他の町の部隊が到着するまでには時間がかかるとしても、

ランベリアの部隊はすぐに駆け付けてくれるはず。



例え数が少なくても今よりも勢力が増せばセルビナの侵攻を食い止める時間は稼げますので、

その間に他の町からの援軍が到着すればセルビナ軍と対抗出来るようになると思います。


そこまで耐え切れれば、

共和国はなんとかなるかもしれません。



セルビナが増援を送って来なければ…ですけどね。



その辺りの不安はあるのですが、

今は考えてもどうしようもない部分です。



「…そこまでは対応出来ませんから。」



私の魔力は無限ではないですし。


みんなの魔力にも限りがあります。



そもそもここまで堪えられただけでも十分な成果だと思うんです。



それに。



仮に増援があるとしても、

この雨によってセルビナからの到着は遅れるかもしれません。


あくまでも期待でしかありませんが、

今は願うしかありません。



…今は脱出が最優先です。



そのために反撃を行うことにしました。



「攻撃を開始します!」



出来るだけ大きな声で宣言した私の言葉を聞いて、

周りにいるみんなが一斉に各方角へと構えてくれました。



その直後に。



「極大魔術が発動するぞ!!東に向けて突撃の構えをとれっ!!」



私達の動きを見て即座に陣形を変えてくれる北条さんの判断力と統率力を尊敬したいと思います。



…さすがに国境警備隊の方々は動きが迅速ですね。



僅か数分で東側に戦力を集中させて突撃の陣形を形作る北条さんの指揮はさすがです。



そんな国境警備隊の布陣を眺めながら私も東側に狙いを定めました。



このあとの判断は国境警備隊に任せることになりますが、

ひとまず突破口は開いて見せます。



「遠慮はしません!!」



全力で魔術を発動させます。



「ダイダルウェーブ!!!」



掲げた右手から生まれるのは水流です。



それも単なる攻撃ではなくて洪水と化した濁流です。



周囲の雨を吸収しながら活発化した濁流は、

国境警備隊の目前で巨大な津波へと姿を変えました。



「全てを洗い流します!」



宣言した直後に高さ20メートルに及ぶ巨大な大津波が生まれて、

東側を取り囲むセルビナ軍の部隊をまるごと飲み込みました。



「ぐああああああっ!!!!」


「逃げろーーーーっ!!」


「うわぁぁぁぁぁっ!!!!」


「助け…っ!?」


「…づ…っ…ぁぁっ!!!」



次々と響き渡る悲鳴さえも津波が飲み込んでしまいます。



地上で起きた大津波。



凶暴な濁流に飲み込まれたセルビナの軍は散り散りに流されているようです。



そうして陣形を崩されて包囲網の弱まった東側の突破口を確認した北条さんが大きな声で叫びます。



「全速力で離脱するぞ!!」



北条さんの指示によって国境警備隊の方々が突破口へと走り出すのと同時に、

私の周囲に待機していたみんなの魔術も発動しました。



「「「「「ダイダルウェーブ!!!」」」」」



一斉に発動した第2波は牽制です。



各方面のセルビナ軍に向けて放たれた津波の大きさは私の津波ほどではありませんが、

100に及ぶ数の多重攻撃によって周囲を取り囲んでいるセルビナの部隊も押し流されて行きました。



…ここが唯一の突破口ですね。



セルビナ軍の僅かな隙を突いて私達も撤退したいと思います。



「ここから離脱します!!」



生きてここから離脱することが最優先です。



そのために私達も撤退を開始しました。



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