表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
THE WORLD  作者: SEASONS
4月20日
1397/1617

再出発

………。



立ち去る彩花の後ろ姿を私は黙って眺めていたわ。



声をかける勇気がなくて、

何を言えば良いのかが分からなくて、

ただじっと彩花の背中を眺めていたのよ。



たぶん彩花は私が追い掛けるのを待っているんでしょうね。



それが分かっていても、

彩花を追い掛ける勇気が持てなかったの。



今の私にはまだ早いと思ったのよ。


みんなと一緒にいるのはまだ早い…ってね。



そんなふうに思ってしまったことで、

無意識のうちに彩花に背中を向けていたわ。



…ごめんね、彩花。



きっと彩花は私を心配してくれてるんだと思う。



だけど私は一緒には行けない。



彩花の側にいたら、

きっと彩花に頼ってしまうから。



そしてきっと…彩花に甘えてしまうから。



だから今は一緒には行けないの。



…あとで追い掛けるから。


…だから今は、私は私の道を行くわ。



彩花に救いを求めてしまう今の私を変えるために。


学園を出る決意をしたのよ。



「もしもまだ出来ることがあるのなら…今はまだ諦めないわ。少しでも可能性があるのなら…私も頑張ってみる。」



そのための目的地を決めたの。



『魔術師ギルド』



あそこなら私にも出来ることがきっとあるはず。



今はまだ暗黒迷宮には挑めない。


もう一度挑戦しても失敗するのは目に見えているから。



だったら今は別の方法を考えるしかないわよね?



…学園を離れて。


…みんなと離れて。



私は私の道を行くって決めたの。



限られた可能性を信じて、

魔術師ギルドを目指すことにしたのよ。



例え今以上には強くなれないとしても、

みんなの足手まといにだけはなりたくないから。



…出来ないことを繰り返すんじゃなくて。



出来ることから始めるべきなのよ。


そんなことも考えながら歩き続けていると、

すぐに校門に辿り着いてしまったわ。



「雨…ね。」



学園の外では激しい雨が降っているわ。



…この雨と一緒に悲しみも流れれば良いのに。



そんなふうに思ってしまうけれど。


それさえも弱音でしかないのかもしれないわ。



だからもう考えるのは終わり。


次に帰ってくる時が私の再出発する時なのよ。



「ばいばい…みんな…。」



誰もいない校門でみんなに別れを告げてから学園を出る。



そしてそのまま傘もささずに、

雨の降る町を歩き続けてく。



「今の私にはちょうど良いわね。」



悔し涙を隠してくれる雨に感謝しながら学園を離れたのよ。



そうして。



背後にいる人物にも気付かないまま。


学園から逃げ出したの。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ