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雨の中
《サイド:黒柳大悟》
………。
………。
…ふう。
「そう言えば今日は雨だったな。」
校舎の外に降り注ぐ雨を確認した瞬間に、
深くため息を吐いてしまった。
「これでは町の状態がよくわからないな。」
学園内で暴れる竜の牙はほぼ壊滅しただろう。
だが町の状況は分からない。
なによりもこの雨では視界も遮られて音も聞き取りにくいために、
安全を確保するのは難しいように思える。
「だがまあ、愚痴を言っても仕方がないか。」
諦めて校門から出るしかない。
ひとまず魔術によって雨を遮断しながら港へと急ぐことにする。
「素直に辿り着ければ良いんだがな。」
…どうだろうか?
不安を感じるが、
悩んでいてもどうにもならないことだとも思う。
これから何が起こるとしても戦い抜くしかないからだ。
「とにかく今は急ぐのみだ。」
全力で港を目指して走り続ける。
竜の牙の襲撃。
セルビナの侵攻。
それらの情報が事実かどうか分からないが、
出来る限りのことはしておくべきだろう。
そのために港へと急ぐことにする。
「急いで出航の準備を…。」
目的を呟きながら全力で走り続けた。
…とは言え。
目指すべき港は遥か先だ。
ジェノス最北の学園から最南の港までの距離になるからな。
目的地はまだまだ遠い。




