手詰まり
重なり合う声と共に結界が発生した。
その直後に竜の牙達が一斉にうずくまる。
「うぅぅぁぁっ!!!」
「がぁぁぁっっっっっ!!!」
「頭が…ぁぁっっ!!!」
感覚を揺さ振られた竜の牙達が混乱状態に陥ってくれたようだ。
…とは言え。
広範囲に広がる竜の牙達の全員を結界の内部に閉じ込めることは出来ていなかった。
そのせいで過半数の竜の牙は結界から逃れて攻撃を開始してしまう。
「炎を放てっ!!」
男の指示に従って準備を終えていた炎の魔術が展開されてしまったのだ。
「ダンシング・フレア!!!!」
激しく燃え上がる炎。
十数名の魔術師が生み出す炎が一斉に放たれてしまう。
…だが。
攻撃目標は俺達ではなくて検定会場だった。
「燃やし尽くせっ!!!」
叫ぶ男の声を聞いた瞬間に、
俺達の表情に焦りが浮かんでしまう。
「会場を守れっ!!」
内部に避難している民間人を守り抜くことが最優先だ。
「これ以上、好きにはさせません!シールド!!」
琴平重郎が魔術を展開してくれた。
発動したのは魔術に対する防御結界だ。
だがそれは一定の範囲内を守る結界でしかない。
検定会場全域を守れるほど大きな結界は生み出せないからな。
そのため。
結界で守りきれない場所に着弾した炎が勢いよく燃え上がり、
検定会場を炎上させようとしていた。
…ちっ!
学園において最も強固な建物といえども、
やはり炎には勝てないかっ!
試合による崩壊を防ぐ為に強固に作られている各検定会場だが、
建物である以上は炎に勝てない。
会場内部においては魔術を防ぐ結界が有効的となるが、
会場そのものに結界の効果は存在しないからな。
さすがに会場への直接攻撃は防げないということになってしまう。
…こればかりはどうしようもないのだっ。
次々と放たれる炎に対して、
琴平重郎はシールドの展開で手一杯のようだ。
俺と西園寺君は結界の維持の為に動けない。
こうなると戦力は限られている。
「藤沢君!桜井さん!!」
呼び掛ける俺に頷いてくれた二人が、
即座に魔術を展開してくれた。
「テンプテーション!!!」
「バイオ・ハザード!!」
藤沢君が第3の結界を発動させて敵の動きを封じ。
桜井由美の放つ猛毒が竜の牙達へと襲い掛かる。
「ぐああああああっ!!!!」
「がはっ!!!!!」
「息が…苦しい…っ!!!」
拘束結界によって動きを止めた直後に襲い掛かる猛毒だ。
回避は不可能のはず。
このまま時間を稼げれば竜の牙達を殲滅出来るかもしれないが、
その前に検定会場が焼け落ちる可能性が否定出来ない。
…ちっ!
…手詰まりかっ!
必死に打開策を考えてみるものの。
どう考えても人手が足りなかった。
だからだろうか。
「…ふむ…。」
焦る俺の表情を眺めていた宗一郎さんが不意に動き出したんだ。




