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THE WORLD  作者: SEASONS
4月20日
1359/1402

最小の布陣

《サイド:黒柳大悟くろやなぎだいご



「西園寺君!藤沢君!きみ達は後方に下がれ!」



敵の襲撃を受けて火災にあった催事場から最も近い検定会場。


第12検定試験会場に俺達は布陣している。



「琴平さんは入口の防衛を頼みます!桜井さんは敵の迎撃を!宗一郎さんは後方で待機していて下さい!」



それぞれに指示を出して、

全員が配置につくのを確認してから俺もルーンを構えることにした。



形状は巨大なハンマーだ。



名は『アレクサンダー』



光と土の属性を持ち。


攻撃に特化したこのルーンは、

あらゆるモノを『粉砕』する能力がある。



「敵の接近を許すなっ!!」



巨大なハンマーを片手で握り締めて前線に立つ。


迫り来る竜の牙の魔術師はおよそ30人だ。



対するこちらの戦力は俺と西園寺君と藤沢君。


そして宗一郎さんと琴平さんと桜井さんを含めた6名のみ。



神崎を含む研究所の職員達は、

万が一の可能性を考慮して研究所の防衛の為に向こうにとどまっているからな。


今ここには俺達しかいない。



頭数では負けているが、

戦いに負けるわけにはいかない状況だ。



俺達が守る検定会場には、

催事場から脱出した民間人がいるからな。



各家庭の家族や友人達など、

町から来ていた民間人がこの会場の中へ避難しているのだ。



決して負けるわけにはいかない!



「絶対に守り抜くぞ!!」



大声で宣言する俺の発言をきっかけとして、

竜の牙の一人が宗一郎さんに話し掛けてきた。



「一応、言っておく。これ以上の犠牲者を増やしたくなければ秘宝をこちらに渡して貰おう。」



警告してきた男の背後では、

竜の牙の魔術師達が一斉に魔術の詠唱を始めている。



交渉役を除く29人の魔術だ。



並の魔術師を遥かに凌ぐ竜の牙の連中の実力は決して甘く見ることが出来ない。



特に真正面から襲撃を仕掛けてくるような連中だ。



相当な訓練を受けた熟練の魔術師なのは間違いないだろう。



そのため。


いつ魔術戦となるか分からない緊迫した状況なのだが、

それでも宗一郎さんの返答は一貫していた。



「一体、何度言えば分かる?ここにはそんなモノはないと言ったはずだっ!!」



はっきりと断言する宗一郎さんだが。


そもそも竜の牙が求める秘宝とは何なのだろうか?



俺も知らないのだ。


そしておそらくは誰も知らないだろう。



宗一郎さんは存在を否定し続けているからな。


誰一人として秘宝というモノを見たことがない。



だからこそ。


有るか無いかさえ、誰も知らないのだ。



詳細も不明。


全てを知っているのは宗一郎さんだけになる。



だがその宗一郎さんが頑なに存在を否定していることで、

誰も何も知らないという状況にある。



竜の牙が求める秘宝とは一体、何なのだろうか?



そこに疑問を感じるものの。


竜の牙は宗一郎さんの言葉を信じようとはしなかった。



「いいや、お前が持っているはずだ。」


「無いものは無いと言っているだろう!!」



自信を持って宣言する男だが、

宗一郎さんははっきりと断言している。



かみ合わない会話だ。


繰り返される問答に苛立ちを感じたのか、

男が背後の仲間達に指示を出そうとしていた。



「犠牲がでなければ分からないか…。ならば仕方がない。全員、攻撃開始っ!!」



指示を受けて一斉に動き出す竜の牙達。


その様子を眺めながら俺も西園寺君に指示を出すことにした。



「結界を発動させるぞ!!」


「はい!」



密かに準備を進めていた魔術は拘束結界だ。


この魔術なら竜の牙にも通用することはすでに実証済みだからな。



「「テンプテーション!!!」」



俺と西園寺君は同時に結界を展開した。




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