わらわの野望が…
グレモリーは非常にご機嫌であった♪。
最初400円から始めた投資が、次々とレースが消化されていくうちに、400円が1,200円、1,200円が4,350円に、そして午前中のレースが終了した時点で433,350円にまで資金が膨れ上がっていたからである♪。
「おーーっ、ほっ、ほっ、ほ♪やはりわらわは優秀な悪魔であるな!このように簡単な錬金術を思い付くとは♪」
機嫌がいいと腹は減るものである、次のレースまで約1時間の休憩タイムの間に、グレモリーはクリームパンを口に頬張りながら、今宵の祝勝会の店と自分に相応しい優雅なひと時を満喫できる一流ホテルを検索することにした。
「おぉ、夜はこのステーキの店にするかの♪何々、ディナーコースお一人様16,700円じゃと、こんな安い値段で高級肉が食べられるのか❤うむ、ここに決まりじゃな!で、先程見つけたホテルは……ほう、スイートルームで本日は特別価格の一泊200,000円か…こんなお手頃価格で最上階の部屋に宿泊が出来るのじゃな♪よし、早速予約じゃ!」
意気揚々と今夜から始まるセレブ生活の準備を終らせたグレモリーは、改めて第6レースから投資を再開した。
こうして第9レースが終了した時点で、グレモリーの口座には第7、第8レースが大荒れだった事もあり、なんと1億4千525万3450円まで資産が膨れ上がり、すでにグレモリーの頭には高級タワマンの引越しが現実となって見えていた!。
「良いぞ!良いぞ!このペースで行けば、この人間界をわらわの支配下にするのはそう遠くは無い♪ま、今朝から慣れぬパソコン投資に少々疲れたからの、今日は次のレースで終るとしよう♪おっほっほ、今宵は豪華な時間を楽しむとするかの❤」
グレモリーは次のG1レースの出馬表に目を通すと、どの馬が1着になるのかすでに見抜いていた、それも悪魔にとって縁起のいい13番人気で13番枠、馬名もデビルズヒーローと完全にグレモリー好みであり、現在のオッズは156.5倍の超人気薄であった!。
「ひゃ、156倍じゃと!…い、いや…きっとわらわが全財産この馬に賭ければ人気が上がり単勝人気は50倍くらいまで下がるじゃろ…でもじゃ、わらわは一日で50億円儲ける事になる❤これはタワマンどころか、わらわの城を建てれるではないか♪」
まだキーボードの扱いに慣れていないグレモリーは、細かい数字を打つのが面倒なのでこのレースに1億4千500万円だけを投資する事にした。
これで後はゆっくりとレースの結果を鑑賞し、口座に50億円(大体の予測)が振り込まれるのを待つだけである♪。
そして…この世をグレモリーが支配する足がかりとなる重要なレースが始まり、すでに各馬第4コーナーを回った所まで来ていた!。
<さぁ4コーナーを抜け、各馬最後の400メートルの直線に入りました!現在1番人気の3番ポーラスターは今4番手のいい位置!このまま人気通りに突き抜けるか!おぉっと、直線に入るなり突如人気が上がった13番デビルズヒーローが大外からもの凄い足で突っ込んでくる!>
「あ~~っはっはっは♪もうわらわには勝敗が見えておる♪さぁデビルズヒーローよ、このわらわの預金口座をお主の脚で潤すのじゃ!」
<ここで6番ポーラスターが徐々に前を伺い始めた!しかしそれに合わせ13番デビルズヒーローも先頭を狙う勢いでやって来てるぞ!これは波乱の兆しか!>
「おっほっほっ!もうわらわには見えておるのじゃ!13番が鼻差で1着になるのを♪」
<残り200メートル!なんと!1番人気のポーラスターに13番デビルズヒーローが並びかける!ここからは騎手の腕と馬の気合いのぶつかり合いだ!このまま逃げ切るかポーラスター、それを差しにいくデビルズヒーロー!これはもの凄いレースになった!>
「うぅっ!結果が分かっておっても、何故か手に汗を握ってしまう!行け、行くのじゃ!わらわのデビルズヒーロー!お前はやれば出来る子じゃ!」
<あぁっと!ここでデビルズヒーローがポーラスターに並んだ!それでもポーラスターの脚色は落ちない!このまま大金星を手にするのかデビルズヒーロー、それともG1馬の意地を見せるかポーラスター、残り50メートル、凄い、凄いレースとなった!ポーラスターかデビルズヒーローか、双方並んで今ゴール、イン!………これはどちらか分からない、やはり掲示板にも写真と表示された~!>
「ほっ、ほっ、ほ♪それはデビルズヒーローが勝っておるのじゃよ♪…それにしても中々面白いレースじゃったの、さぁこれで50億円が手に入り、わらわの大いなる野望の礎が出来たわ!今宵は豪華な宴を楽しんでやろうぞ❤」
掲示板に[確]の文字が光るまで、グレモリーは何度も更新コマンドに向けてマウスをクリックしながら、自分の口座に50億円振り込まれるのを心待ちにしている、彼女にとってこの時間が今日一番長く感じていた…そして、待つ事5分!。
<あっ、電光掲示板に確定の文字が光りました!1着はこの大接戦を制し最後までG1馬の意地を見せた3番ポーラスター!2着には大健闘の13番デビルズヒーロー!3着はここも人気薄の5番アップルパイ!>
「へ?…」
<いやぁ~、いいレースでしたね、解説の田所さん!>
<えぇ、ポーラスターはやはりG1馬の実力がありましたね、それでも2着に入った13番デビルズヒーローの健闘は、陣営にとっても嬉しい結果でしょうね!今後が楽しみな一頭になりましたよ♪>
「な、何が嬉しい結果じゃ!わ、わらわの予知の能力に間違いはないはずじゃ!これまで一度たりとも外したことは無いのじゃ!きっと写真を撮ったカメラが故障しておるのじゃ!おい、運営!もう一度写真を確認し直すのじゃ!」
競馬素人のグレモリーでも、確定のランプが点灯すればもうどうにもならない事は承知している、それでも1億4千500万円を失った事もさることながら、何故自分の魔力が間違ったのか、それがどうにも腑に落ちずにいた。
「い、いったい…わらわに何が起こったのじゃ……」
その瞬間、パソコンの画面が大きくシェイクすると同時に、画面の中にあのサリエルが笑顔でVサインを出しながら現れた!。
「や、やはり貴様の仕業かーーー!!」
(う、うかつ…馬券投票をする際に、わらわの魔力をあやつは通信電波から感じ取っていたのか!)
サリエルは左手でVサインを出しながら右手をゆっくりと挙げていくと、その手には大きなスケッチブックが掴まれており、彼の掲げたスケッチブックの用紙にはこう書かれていた!。
<イカサマギャンブルは犯罪です♪>と!。
「やかましわーーー!!」




