いよいよわらわの野望が始まるのじゃ!
<午後の東京競馬場>
グレモリーの財布が1万円札で膨れ始めているが、当の本人はかなり困惑していた…。
それは次々とレースを的中させるグレモリーに、あの若い女性達がずっと粘着していたからである!。
「わ、私…競馬でこんな大金手にしたの初めてだよ…」
「わ、私も…どうしよう~、車の頭金にしようかな…」
「わ、私は…ダ、ダメだ…怖くて何も思いつかない…」
すでに彼女達のバッグには100万円の札束2つと財布の中に数十万円のお金が納まっていた、無論グレモリーのバッグと財布には彼女達より倍の金額が御休憩中である♪。
「わ、私さ、初めて高額配当の窓口に行ったよ♪」
「私も、周りの人の視線が熱かったな❤」
「これも全部お姉さんのお陰だね♪もう一生着いて行きたいな❤」
夢心地の彼女達に比べ、グレモリーは僅かな不安を感じていた。
それは各レースごとに魔力を使い未来を見ていた事で、またしてもグレモリーの魔力を察知したサリエルが現れるかも知れないと考えていたからだ。
(もし、サリエルがわらわの金策を嗅ぎつけたら全てが台無しになるやも知れぬ…十分軍資金は手にした…やはりここで引くのが賢明じゃろ…)
「では、そろそろわらわは帰るといたす!お主らは、その金を使い切って今日の事は忘れるのじゃ!それがお主らの為じゃ!」
「え?せっかくお姉さんとお友達になれたのに、もっと競馬の必勝法を教えて欲しいですぅ~!」
いきなりの厳しい言葉に、女性達は悲しい表情に変わる…それもそのはず(この先お姉さんと交友関係を続けていれば贅沢三昧の日々が待っている♪)という欲望が生まれていたからだ、悪魔を利用し自分の欲を満足させる、当然彼女らが寿命を全うすれば地獄行き!それも一番過酷な最下層エリアである!。
「ならぬ!それが主らの為じゃ…今回勝たせてやったのは、競馬新聞とやらを教えてくれた礼じゃ、ではな…」
「な、ならば…せめて今日のお礼に…夕飯を私達でご馳走させてください…それで私達はお姉さんの事を忘れますので…」
「何!夕飯じゃと♪」
「そ、それもダメ…ですか?」
まだ今宵の晩餐を何処にするか迷っていたグレモリーの心はかなり揺らいだ、間違いなくグレモリーよりもこの若い女性達の方がいい店を知っているに違いない、ここは一つ彼女らに持て成してもらう方向でグレモリーの心は決まった。
「ま、そこまでわらわを持て成したいというなら、邪険には出来ぬ!よかろう、存分にわらわを持て成してもらおうか♪いい店を期待しておるぞ♪」
この世界に参上し、いつも淋しく一人で食事をしていたグレモリーにとって、初めて複数の者達とテーブルを囲い食事と酒を嗜んだグレモリーは御満悦だった♪いつもならこの後、あの黄色頭の男のように記憶を消し彼女らの有り金全部を頂くのだが、今回は充実した楽しい一日を送れた事で免除する事にした。
<次の週の土曜日9:00>
先週東京競馬場でのヴィクトリー資金を通帳に入金し、昨日に届いたキャッシュカードもすでに手に入れたグレモリーは、全身から沸き立つ富豪の野望に打ち震えていた♪このボロアパートとは間もなくサヨナラし、いつもパソコンの画面でしか眺める事が出来なかった<高級億ション>とやらに引っ越す夢が目の前に訪れようとしていたからだ❤。
「お~っ、ほっ、ほっ、ほ♪いよいよわらわが富豪になる日が来たわ!この日の為に競馬専門チャンネルの契約と、PAT投票のメンバー登録も済ました♪これでわらわの覇業を拒む者などもはや居らぬ♪あのサリエルのアホ以外は!」
卓袱台の上にはノートパソコン、各種のドリンク、ポテチにチョコレート、クリームパンを並べグレモリーはすでに戦闘態勢を整えていた。
今回のグレモリーの馬券錬金術はこうである、先週のヴィクトリー資金はキープしつつ、端数の小金から始め、その的中させた払戻金を次のレースに全額ぶち込み、それを何度も繰り返し巨万の富を得る!所謂<ころがし>という購入法である。
「昨夜は今日の競馬が楽しみすぎてあまり眠れなかったの!…思い起こせば、日々袋ラーメンの生活…それも今日でお別れじゃ♪ま、わらわの人間界での原点として、袋ラーメンは未来永劫称えるとしよう❤」
第1レースまで後30分、自宅で馬券を購入している者にとっては長い待ち時間かも知れないが、今のグレモリーはその時間も楽しかった、何処の<億ション>に引っ越そうか、家具類は何を選ぼうか、服はどのブランドに決めようか、それをパソコンのサイトで眺めるだけでも時間が早く経過するからだ♪。
「さて、もうすぐ最初のレースが始まるの♪ふふ、わらわ以外の者は必死で競馬新聞を見て予想しておるのだろうが、もうわらわの目にはどの馬が勝つのか見えておる♪」
パソコンの通信状態、預金残高の確認、端末からの投票方法も完璧にマスターしている!。
そしてグレモリーはこの第1レースに手始めである400円を投資した!。
初めて競馬場に赴いた時は、まだ1着を当てる<単勝馬券>しか知らなかったが、今は配当金が一番高い馬券<3連単>もお勉強はしていたのだが、何やらチマチマとマウスを操作するのが面倒なので、今日も<単勝馬券>狙いでいく事にした。
「さぁ、このわらわの頭上に金の雨を降らせてもらおうか❤」




