初めての東京競馬場で大儲けするのじゃ❤
<次の週の土曜日>
競馬についてしっかりとお勉強したグレモリーは、初めて東京競馬場のスタンド席に居た。
その理由とは、競馬のサイトでも<勝馬投票券>はパソコンからでも購入出来ると記載されていたので、平日に銀行とやらで専用口座の開設手続きをしたものの、キャッシュカードが送られてくるのが10日~2週間かかるといわれ、今週中に必ずお金が手に入るチャンスがある事を知っているグレモリーは、我慢出来ずに残りの財産全額2,225円(交通費980円+入場料200円込み)を持ち出し、今ここに彼女の黄金郷である<東京競馬場>に立っていた!。
(おーーーほっ、ほっ、ほ❤ここがわらわの金の鉱脈となる競馬場とやらか♪なかなか広くて良いではないか!ま、大魔王サタン様の居城に比べれば狭いがの♪)
大きなテレビに色鮮やかな緑の芝、城壁のように雄大な観客席、この広くて開放感のある競馬場はこれまで落ち込んでいたグレモリーの心を久しぶりに弾ませてくれている(お金儲けが出来るからが大!)。
(それにしても、ここに居る観客らは何やらペンを持って白い紙をずっと睨んでおるの…あれは何じゃ?)
グレモリーが辺りを見渡していると、楽しそうにあの白い紙を眺めながら、何やら色々と意見を交わしている若い女性のグループを見付け、まるで彼女達が自分の友人でもあるかのようにグレモリーは平然と声をかける。
「のぅお主ら、その手にしている紙は何じゃ?何故、そこに赤い印を入れておるのじゃ?」
「は?…ここ競馬場ですよ……!!…ぇ…(ポッ❤)」
一瞬、見ず知らずの女の声に警戒心を露にした彼女達は、グレモリーの立つ方向へ睨みに近い表情を向けたが、同性でもうっとりとしてしまうグレモリーの美貌に言葉を失った。
「のう?お主らは何故その白き紙に落書きをしておるのじゃ?」
「え…あ…あの…これは競馬新聞といいまして…この情報を参考に…次のレース…どの馬が勝つのか予想しているのです…」
「ほう、どれどれ…」
右手で長い髪を抑えながらグレモリーは、上品な仕草で一人の女性が手にしている競馬新聞を覗き込む、その美しいグレモリーの様子に、女性達は自分達の新聞よりもグレモリーの姿に注目している。
光沢のあるストレートな髪から甘いリンスの香りが風に乗り、若い彼女達の鼻腔へ安らぎを与えていく、競馬新聞を眺める黒くて切れ長の瞳と長いまつ毛は、彼女らにしてみれば憧れ以外何ものでもなかった。
「この赤く大きな○を囲っている名前の馬が、お主は勝つと判断しておるのじゃな?」
「ぇ…ぁ…はい…い、一番人気でたいして配当は高くないですが…このレース条件ならこの馬が有利だと思うので…」
「ふっ、違うの…次のレースに勝つのはこの6番の馬じゃ♪わらわにはもうこの馬が勝つところが目に浮かんでおる❤」
「え?…6番…」
競馬新聞すら持っていない人が何を言ってるの?と言わんばかりに女性達は互いの顔を見合わせる、それもそのはず、グレモリーが指さした6番の馬は現在7番人気、単勝<23・5倍>の人気薄だったからだ!。
それでもグレモリーは余裕綽々の笑みを浮かべ、アウターのポケットから千円札1枚を取り出し、彼女達にその千円札を広げこう宣言する!。
「よく見よ!このわらわの全財産である1、000円をこの6番に賭ける♪」
「ぜ、全財産…ですか?…」
最初に比べ、グレモリーに対する憧れの色が次第に哀れみの表情へと変わっていく女性達だが、グレモリーは全くそんな彼女達に気が付いていない、何故なら今夜の夕飯は確実に豪華になると決まっているからである!。
「ま、お主らもわらわの助言を忘れず、次のレースはガッツリと儲けるのじゃぞ♪ではの、参考になった、礼を言うぞ!よいか、忘れるでないぞ、6番じゃ!6番じゃぞ!おーっ、ほっ、ほっ、ほ♪」
完全に呆れ顔で見送られているとも知らず、グレモリーは全財産を使い初めて馬券を購入した!。
過去と未来を見抜く力があるグレモリーである!当たり前のように購入した馬券は的中し、久しぶりにお財布の中には1万円札が訪問してくれた♪。
(ほっ、ほっ、ほ❤悪魔公爵のわらわにかかれば、この様なギャンブルで勝つなど雑作も無いわ♪)
お昼タイムになり、グレモリーはいつもの侘しい袋ラーメンではなく、フードコードにて牛丼並を食しながら、今日の晩餐会場を何処にするか思案している。
どうせ午後からは更に大金がこの手に入るのだ!いつもの居酒屋ではなく、気品のある高級店にしようとグレモリーは口元に米粒を付けながら心に決めていた♪。
「あ、居た♪居た♪あのぉ~すみません!」
最後の一口をモグモグしているグレモリーの背後から若い女性が声をかけてきた、箸と器を持ったまま振り向いたグレモリーの視界には、先程助言を与えた女性達が笑顔でグレモリーを見詰めている。
「何じゃ、お主らか…わらわに何か用か?」
「いえ、どうしても先程のレースのお礼を言いたくて…」
「おぉ、わらわの助言どおり6番を買ったのじゃな♪」
「はい、でも…あの時は半信半疑だったので、みんな300円しか投票していなくて…そ、その…よろしければ…次のレースのご指南もしていただければ…」
「何じゃ、そんな事か…よいぞ、次は5番じゃ!」
「へ?」
ここはオッズも馬の状態も確認出来るパドックではなくフードコート、今も競馬新聞を持たずに牛丼を食べているグレモリーを呆然と見詰める女性達、その中の一人が慌てて競馬新聞から次のレースに出走する5番枠の馬を調べる。
「え?…たった一つしか△が無いんだけど…この馬、前走も前々走も5着すら入着してないよ…」
「わらわの助言にケチを付けるつもりか?」
「い、いえ…でも、私はお姉さんの言葉を信じます!」
「わ、私も!」
「私も!お姉さんに便乗します!」
3人の若い女性はグレモリーの言葉を信じた、そして次の第6レース…グレモリーの予言通りこのレースは大荒れとなり、真っ先にゴール版を駆け抜けたのは5番の馬だった!。




