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第36話 王女〔葛城信司側〕

明けましておめでとうございます。相も変わらず投稿が遅れております。

すいやせん……。今回は魔帝国の王女様視点となっています。

でわ、第36話をどぞ!


 妾はグランディスト帝国第一王女のリザという。


 我が国は実力主義で強い者こそ至高といった思想を掲げた魔族で成り立っておる。


 そんな我が国の近場に迷宮が出現し大層被害が出ておるという知らせが入った。


 魔王である父上はこれに対し約五万の軍を差し向けたらしい。


 しかし結果は惨敗。誰一人として帰ってこなかったのだ。


 軍人はランク分けされており、今回の軍は貴族どもで構成されておった。


 金やコネのみで入った者、成し上がった者達のみで進軍したのだ。


 剣術が使えるといっても冒険者たちと比べればCランクといった一人前以下であろう者たちだ。


 笑える話だ。


 迷宮は甘く見てはいけない。中には神から転送された者たちが迷宮主をやっていると聞く。


 今回もそうかもしれないのだ。


 故に妾は今回の迷宮に挑むことにした。


 妾はこの魔帝国でも五本の指に入る実力者なのだ。驕るつもりはないが迷宮なら何個も潰してきた。


 今回も同じだろうと思い父上に進言しに行く。


 妾には甘いからな今回も許可を出してくれるだろう。














 妾は長い廊下を歩き王の間を目指した。そこに父上がいるはずだ。




「父上」


「おお、どうしたのだ。リザよ」


「父上、迷宮の出現に加えて軍が壊滅したとか」


「むぅ。そうなのだ。しかし魔王としてこれほどの脅威のある迷宮を野放しにしてはならぬ。何か対策を考えねば……」


「それについてご相談があります。この妾を迷宮に挑ませていただけませんか。妾ならば攻略できるかと」


「ぬっ…しかし……。もしリザに何かあっては……」


「命の覚悟は出来ております。魔族の誇りをかけて攻略して見せましょう」


「わ、分かった。攻略以外は許さぬぞ」


「承知しています」




 こうして王女は迷宮攻略に向けて旅立ったのだ。




















 リザが退出した王の間では……。




「相変わらず我が娘には甘いですね。魔王よ」


「き、来ておったのか?ラド、どこから聞いておった?」


「ええ。『父上』位のところから…」


「最初からいたのではないか!声でも掛けてくれればよいものを……」


「ふふっ」


「心臓に悪い……」




 そこには頭から二本の角を生やし金眼の魔族の姿がいる。この者は魔帝国宰相であるラド・エルバスという。


 魔王の友達であり親友であり家族のようなものだ。


 魔王と親しく話す様子も心から気を許しているためだ。




■■■




 はぁ…はぁ……。


 妾が迷宮に入り何時間が経過しただろうか。


 この迷宮は今までのものとは何もかもが違う。


 妾は今までの迷宮と同様に考え、甘く見ていたのだ。


 お供として連れてきていた部下は七人。大量にいても動きづらいだけであり、何個も攻略した経験から導き出した人数だ。


 前衛が三人、魔術師が三人、回復兼結界士が一人、そして妾だ。


 妾は剣闘士ゆえに前衛だが、前衛が嵩張るということはない。


 しかしその陣形でやれていたのは今までの迷宮が簡単だったのだろう。


 ここは今までのとは似て非なるものだ。


 部下はいない。


 食い殺された。


 妾は今運良く落とし穴の中にいる。


 ここは精神的にダメージを負い尚且つ回復を常時発動していないと攻略は出来ないだろう。


 当初は簡単だった。


 無限沸きであろうと思い、根源を無視しひたすら突き進んでいったのだ。


 階層は全部で二十でモンスターもそれほど脅威とも言えなかった。


 しかし問題が発生する。ボス部屋が開かないのだ。これまでにそんなことはなかった。


 門には階層数と同じ杯の絵が描かれていた。


 その時瞬時に察したら良かった。一階層でもあの泉を発見していれば……。


 まあ今となっては後の祭りなのだが……。




 妾はここで死ぬのだろうか……。




 どんどん意識が薄れてゆく……。




 妾は……。











 …………。









 カシャカシャと音がする。


 敵が来たのだろうか………。










「あれ?こんなとこに女の子?何でこんなとこにいんの?」




 ……。………?




「うーん…。見ちゃったものは見過ごせないしなー。どうしよっか?」




 ……誰…だ…………?




「まあ一応檻の中に入れつつ………。………」




 妾を助けてくれるのか……?




 起きたら礼をせねばなるまい……。













 まさかあんなことになろうとは妾もこの時は思いもよらなかったというものよ。

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