第1話 砂浜で倒れた少女(ニーナside)
【次元管理局】
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心地よい波の音が砂浜に響き渡る。
紺色で、金色のラインが入った軍服を着た1人の少女が辺りを見渡しながら砂浜を歩いていた。
肩まで伸びた杏色の内側に巻かれたボブ。
そして歩くたびに小さく揺れている、チャームポイントの小さな縦ロールが、左のサイドにくるくると巻かれていた。
ここ数日で突如現れ始めた、原色のように明るい赤とオレンジが斑らに混ざり合うような色をした、ひし形の異空間。
そこから見たこともないような悍ましい形をした化け物が這い出てくる。
ヴァリアント王国はそれらの異変に対処すべく『次元管理局』を設立し、異空間を『異獣空間』そして化け物を『異獣』と名付けた。
「うん……異常はなしっと!」
浜辺の端から端まで1人で歩き続ける、そんな途方もない調査に目眩がしてくる。
とある市民の報告によると、現在調査に来た浜辺に見たこともない色をしたひし形の異空間が現れたと。それは禍々しい青と紫が斑らに混ざり合ったような色らしい。
私たち次元管理局が知る異獣空間とは似て非なるものだった。
誤情報である可能性を考慮し、王国は少ない人数で派遣する予定だったらしいが、仮に異獣空間が現れていたとしたら無意味な犠牲を生み出してしまう。
そこで実力、判断力の両方を持ち合わせる次元管理局局長であるこの私、ニーナが調査に派遣された。
浜辺を歩き続けていると、微かに奥で何かが見えてくる。
――あれは……人!? まずい、急がないと!
「開け! 次元よ!」
両手を前に突き出し自身の『特化能力』『次元』を自身と被害者の近くに作り出す。
次元と次元の中に繋がれた空間を圧縮し、被害者との距離を限りなくゼロにする
圧縮した次元を通り抜け、被害者の元へ近寄り安否確認を始める。
「大丈夫ですか! 聞こえますか!」
被害者の手首を握り、脈を確認する。
ドク、ドクと握る手から確かな拍動が感じられた。
次に呼吸の確認を始める。被害者の胸に耳を当て呼吸の音を聞く。スゥ、スゥと息を吸って吐くと同時に胸が大きく動く。
――よかった……無事だ……
「開いて、次元!」
再び左手を横に突き出し次元を作り出す。そこからゆっくりと翡翠色をした結晶が出てくる。
その名も『転移結晶』事前に指定した場所に即座に転移する代物。
まるで砂糖菓子のように脆い結晶を強く握りしめ転移結晶を砕く。
砕けると同時に2人と結晶は静寂のみを残し消え去る。
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転移結晶により次元管理局へ戻ったニーナは、被害者を床に寝かせ、隊員たちの指揮を取り始める。
「被害者1名、推定15歳ほどの少女! すぐに医局長を呼んで! そして第2部隊を白銀の砂浜に派遣を!」
――外傷はないけど……念のため応急処置をしよう。
「ピュリファイ・ヒール」
被害者にかざした両手から純白の光が浮かび、体を優しく包み込む。
「ニーナさーん! 」
ドタドタと走りながら、白衣を着た小太りの青年が駆け寄ってくる。
「ドンファ!」
「話は後です! 状態は!?」
「約15歳ほどの少女、異獣による被害者の可能性が高い、応急処置はしといた。一応浜辺で倒れていたから溺れていた可能性も考慮しといて。」
最低限の被害者の状態を確認したドンファは少女を優しく抱き抱え、早足で医局へと向かう。
――何もなければいいんだけど……
ニーナはただ、その少女の無事を祈るばかりだった。
挿絵の絵師様@ _u0_01




