表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1魔貨の聖騎士 ― 価値ゼロCEOと悪魔の強制執行監査契約  作者: 暮夜すと
【シーズン2:オスカル最終承認編】Q1

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

84/166

第79話:『絶縁 ー 01/23 11:00 執行開始』

第5部:絶縁


 社内魔導チャット『レトス』:【広報部:緊急事態スレッド】

11:02:広報課長

@グリッチ 今すぐその黄金エフェクトを止めてください! 蓬莱との協定どころか、国際金融当局から「薬物使用の疑い」で照会が来てます!


11:02:グリッチ・ピクセル

課長、固いな〜。見てよこのインプレ。全世界の視線がレオン様に釘付けだよ。

最高の「食事データ」だ……。


11:03:広報A

株価が……。持ち株会の資産(アメリア株)が紙屑になる……。


11:03:システム:通知

【警告:3階広報フロアのストレス指数が規定値を突破しました。2階ウェルネスセンターへ自動通報します】


11:04:広報B

誰か2階のウェルネスセンターから「強い安定剤」持ってきて! 課長が泡吹いて倒れた!


11:04:システム:管理者メッセージ

【CEO承認済:現在のヴィジュアル演出は「戦略的プロトコル」です。広報部は修正を行わず、拡散状況の観測を継続してください】



--



#LEON_KAWAII

 

 創星連邦ジェネシスの超高速取引AIたちが、この映像を「致命的なバグ(経営権の喪失)」と一斉に判定した。

 アルジャン・ブルー市場を皮切りに、世界中の投資家が「CEO発狂」と判断し、パニック売りを開始する。


『アルジャン・ブルー主要指標、垂直落下。

 ……「道化ジョーカー」への市場不信が止まりません』

 

 A.I.D.A.の悲鳴のような警告音と同時に、ホログラムのグラフが血のレッドゾーンを突き抜ける。それは床の透過ガラスを越えて十一階の戦略演算室まで赤く染め上げた。



--



 事務所の外壁を叩く怒号と、一秒間に数万件の殺意のような着信音。

 その物理的な「圧」を、地下第一メンテナンス・ラボ一データの深淵にて、マルヴェイが翡翠の瞳で見据えた。


「……耳障りだねぇ。

 外界ノイズとの接続を物理層(レイヤー1)で『抹消』」


 マルヴェイの指が虚空でスワイプされると同時に、ビル中の通信ランプが死んだ魚の目のように一斉に消灯した。

 瞬間、耳をつんざくような喧騒が嘘のように消え、執務フロアには「死の静寂」が訪れる。

 一秒間に数万件届いていた殺意(着信音)が、刃物で喉を掻き切られたように途絶えた。残ったのは、サーバーの低い唸りと、マルヴェイの心拍音だけだ。


「……物理遮断完了。

 これで彼らは、この世界に『記されていない者』と同じになった」


 直後、執務室で待機していたレオンの耳元で澄んだ電子音が鳴る。外部回線を殺したマルヴェイが、内部専用の暗号化ホットラインを強制起動させたのだ。


『レオン。外部ノイズのパージを完了。

 ……外は静かにしておいたから。

 ……だから、安心して。……私の『記述』の中に、閉じこもっていて……』


『わかった』


 レオンは小さく応答した。その声の無機質さにマルヴェイはほんのすこし照れたように笑ってから、宙に赤い火花を滑らせて別回線に切り替える。


『……メイ先生、ヴァルプスさん。……回線、開きました。こちらは物理遮断完了です。

 ……報告を』


 マルヴェイの冷徹な声が、繋がったばかりの回線に響いた。

 翡翠の瞳は、暗いラボのモニターに映る「黄金に発光したレオン」を、標本を見るように眺めていた。




社内魔導チャット『レトス』:ログ抜粋


【11:07:阿鼻叫喚と遮断】

財務: 株価やばい。

魔導エンジニア(運用): サーバー止めます?

秘書室: 余計疑われます。

CISOマルヴェイ: 外線切りました。

財務: え?

CISOマルヴェイ: 騒いでも株価は上がりません。祈る暇があるなら、地下のサーバー冷却水でも扇いでなさい。

CISOマルヴェイ: 静かになります。





評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ