表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1魔貨の聖騎士 ― 価値ゼロCEOと悪魔の強制執行監査契約  作者: 暮夜すと
【シーズン1:バルナザール決算編】Q1

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

7/166

第5話:『聖域の収穫、あるいは無垢な署名』— 起源(共謀)

※主人公450歳時代の評価損(罪悪感)と、不良在庫(収集癖)が招いた結果の話なので、ふんわり読んであげてください。

第1部:管理官の指先



深夜。月光すら届かぬ重厚な寝室で、微かな衣擦れの音だけが響いている。


寝台の上、レオンは、浅い呼吸を繰り返しながら眠りの淵を漂っていた。その眉間には、消えることのない微かな皺——数世紀にわたる罪悪感の残滓が刻まれている。


その横で、青年の姿となったヴァルプスが、音もなく身を起こした。


かつての愛らしい少年の面影は、今や完成された悪魔の造形へと脱皮している。彼は、レオンの乱れた前髪を、驚くほど正確で、事務的なまでに洗練された手つきで整えた。


「……第3条、魔力調律(介抱行為)。……第8条、夜間管理措置」


ヴァルプスが低く呟くと、彼の指先から淡い魔力の糸が伸び、レオンの肌に吸い込まれていく。それは「愛」という名の執着を、神経系に直接流し込むドミナント・ケア。 レオンの表情が、魔法にかけられたように弛緩し、彼はヴァルプスの胸の中へと自分から顔を埋めた。


その光景を、現世ではないどこか——悪魔界の執務室から、水晶体越しに見つめる眼差しがあった。


「……ほう。見事なものだ」


バルナザール専務は、上質なヴィンテージの酒を揺らしながら、独り言ちた。 机の上には、レオンの筆跡で署名された「上書き契約書」の原本が置かれている。


「今でこそ、あのように完璧な管理官として振る舞っているが……。


五年前のあの日。あのアホほど律儀な騎士の『孤独』に当てられ、ボロボロに泣きじゃくりながら私に電話してきたのは、どこのどいつだったかな?」


バルナザールは、懐かしむようにアーカイブの頁をめくる。 それは、レオンだけが知らず、世界中が共謀して彼を陥れた、「五載の空白」という名の教育期間の記録。


「さて……。あの清廉な騎士が、いかにして自ら檻の鍵を閉めるに至ったか。その『種明かし』を始めるとしようか」


バルナザールの指が、五年前のあの日——セリオンの宿を出てすぐの、湿った夜の記録に触れた。




--




第2部:悪魔のゆりかご、管理の萌芽



それは石の男の宿を発って数日後のことだった。

レオンが疲れ果て、薪の爆ぜる音さえ聞こえないほど深い眠りに落ちた深夜。


キャンプ地の隅、枯れ木に隠れるようにして、少年姿のヴァルプスは魔導通信機を震える手で握りしめていた。


「父上……お願い、助けて……っ」


通信機から漏れる少年の声は、鼻声で、あまりにも無力だった。


「主さまが……壊れちゃう。

ボクが抱きしめても、あの方は『ありがとう』って笑うだけで、ちっとも安らいでくれないんだ。

ボクの腕が細すぎるから?

ボクが悪魔として未熟だから?

……もう、どうしたらいいか分からないよ!」



青白い通信光が、ヴァルプスの涙で濡れた頬を照らす。


数秒の沈黙の後、ノイズ混じりの吐息と共に、バルナザールの低く、地響きのような声が返ってきた。


「……嘆かわしい。

ヴァルプス、お前はまだ『愛』を、抱きしめ合うことだと思っているのか?」


「……え?」


「いいか、よく聞け。

あの男は、騎士だ。高潔で、潔癖で、自己犠牲を餌に生きる絶滅危惧種だ。

そんな男に、対等な『安らぎ』など与えようとするから、お前は拒絶されるのだよ」


バルナザールの声は冷酷だったが、そこには確かな「教導」の響きがあった。


「彼が望んでいるのは安らぎではない。


『自分が犠牲になることで、誰かが幸せでいる』という免罪符だ。

お前が『ボクは幸せだよ、主さま』という顔をすればするほど、彼は自分の孤独という地獄に、より深く潜っていくことになる」


「じゃあ……ボクはどうすればいいの?

主さまを放っておけなんて言わないでよ!」


「逆だ、ヴァルプス。……『管理』しろ」


バルナザールは、通信機の向こうで優雅に書類をめくる音をさせた。


「あの方の孤独を癒そうとするな。

あの男が『俺がいないと、この子はダメなんだ』と確信できるほど、お前は弱く、そしてあの男に『介抱される義務』を押し付けろ……お前の魔力が不安定になれば、彼は君を救うために、喜んでその腕を差し出すだろう。

あの男を救いたいなら、まずお前が、あの方に救われる『負債』になれ」


ヴァルプスは息を呑んだ。 それは、彼が今まで信じてきた「献身」を真っ向から否定する、悪魔のロジック。


「それは……主さまを騙すってこと?」


「いいや、『役割』を与えるのだ。

 聖者という生き物は、役割を失った時に死ぬ。

……ヴァルプス、私がお前に『上級悪魔』への進化を許可しよう。

だが、それには対価がいる。


例えば……そう、希少種の生命エネルギーのような。

そして、あの方を一生飼い慣らすという覚悟も必要だ」


バルナザールは、獲物を狙う蛇のように、言葉の牙を研ぎ澄ませる。


「泣くのをやめろ。経営を学べ。法律を学べ。

そして、あの方の理性を『契約』という名の檻で包み込め。

……お前が完璧な『管理者』になった時、あの方は初めて、自ら進んで檻の中で眠る、幸福な家畜になれるのだよ」


ヴァルプスは、震える手で涙を拭った。 その瞳から子供の光が消え、父上と同じ、計略的な「管理官」の萌芽が宿る。


「……わかった。ボク、やるよ。

主さまに、ボクなしでは生きられない『呪い』をかけてあげる」


その言葉が落ちた瞬間、茂みの影から宝石姫が姿を現すのは、それから数分後のことである——。



--



第3部:聖女の覚醒、あるいは共犯者の夜



「……ヴァルプスくん。それは、誰とお話しているの?」


静寂を裂いたのは、月光のように涼やかな声だった。


ヴァルプスは心臓が口から飛び出しそうなほど跳ね、通信機を抱え込むようにして振り向いた。そこには、全てを見透かしたような瞳をした宝石姫が、幽霊のように立っていた。

希少種の生命エネルギー、という言葉に反応し、彼女の耳元に僅かに紫電が走る。


「……あ……宝石姫ちゃん……ボク、これは……」


「レオンさんに関係することだよね?ヴァルプスくん」


宝石姫の言葉は短く、けれど拒絶を許さない重みがあった。


彼女がここにいるのは、好奇心からではない。

いつからか感じた違和感。瓦解しそうな二人の男を、自らの手で繋ぎ止めるための「義務感」が、彼女を動かしていた。


通信機から低く、愉悦を孕んだ笑い声が響いた。


「……ふむ。希少種の娘、か。なるほど……愛らしい」


バルナザールの声は、物理的な質量を持って夜の空気を震わせた。

宝石姫はその見えざる「王」の気配に息を呑む。

南の交易都市で出会ったことのある大悪魔だと察した彼女は小さく挨拶を述べた。


「父上、やめて! 彼女は関係ないんだ」


ヴァルプスの叫びは、夜の森に虚しく消えた。

彼は通信機を抱きしめ、宝石姫から視線を逸らす。その胸を焼いているのは、規律違反への恐怖ではない。


クライアントであるレオンを契約以上に愛してしまったこと。そして、目の前の「聖域」であるはずの彼女に対し、敬意よりも先に、「この人を出し抜いてでも、主さまの隣を譲りたくない」という醜い独占欲を抱いていること。その「悪魔の私情」を暴かれるのが、何よりも恐ろしかった。


しかし、バルナザールの声は残酷にその核心を突く。


「……娘よ。ヴァルプスが恐れているのは、自分の『私情』だ。

彼は悪魔でありながら契約者レオンを愛し、君をそのライバルとして憎むことさえ厭わない

……ヴァルプス。お前は譲る気がないのだろう? あのエルフの腕の中を」


ヴァルプスは震え、膝をついた。

宝石姫はその姿を、ただ静かに見つめている。


「……ヴァルプスくん。あなたは、レオンさんを」


その声に、責める色はなかった。

宝石姫は一歩近づき、少年の細い肩に手を置く。


「なんとなくわかっていました。時々、私と同じ目をしていたから。

……でも、私も手放すつもりはないわ」


ヴァルプスを掴む白い手に、僅かに力がこもる。冷ややかな紫の瞳と、揺らぐ赤の瞳が交差した。


「ヴァルプスくん、私はあなたを責めない。

だって、私もあの人を、この旅を、終わらせたくないもの。

……それで、バルナザール様。希少種の生命エネルギーとは何のことですか?」


宝石姫が通信機の中の黒い影を見据えると、バルナザールは愉悦に満ちた合いの手を入れた。


「ふふ……まだその手を差し出せるのかい? 二人が君の髪や爪の欠片を愛でていたことは知っているかな?」


その瞬間、ヴァルプスが必死に守り抜こうとした「宝石姫の無垢」という最後の防壁が、暴力的に引き剥がされた。


「こういうのって、守秘義務に反しませんか!

それに、三人で旅をするようになってから、レオンはその夜の収集を止めたんだ。言い訳かもしれないけど、レオンは本当に宝石姫のことが大事すぎて……魂が削れるくらい自制しちゃったんだ。全部、全部だよ!」


通信機を握りしめ、主の「献身的な自制」を叫びながら涙を浮かべるヴァルプス。しかし、宝石姫は数秒の沈黙の後、震えるヴァルプスの頭をそっと抱き寄せた。


(ああ……やはり私は、あの方に愛されていた。

どんな形であれ、求められていた!)


宝石姫の中で、自尊心が膨れ上がる。


自分という「モノ」に心をくれた救世主。


彼が自らの渇きに震え、同時にそれを「愛」という名の自制で封じ込めようと苦悶している。その浅ましさと高潔さの混濁さえ、今の彼女には愛おしかった。たとえそれが、高潔な騎士道とは対極にある抗えない「性癖」であったとしても。


「バルナザール様。教えてくれてありがとうございます。

……ヴァルプスくん、もういいわ。大丈夫よ」


宝石姫は通信機を見据え、毅然と言い放つ。


「あの方は変態なのではなく、私の最も忠実な『信徒』なの。

たとえそれが理性を欠いた『癖』だとしても、私を思うがゆえにそれを封じ、病んでいるのなら……それは信仰と何ら変わりないわ。


私は美の女神を飾るために生まれた民の末裔。

ならば、あの方が私を求め、同時に損なうまいと絶望するのは、私を『神の美』として扱っている証拠だわ」


彼女は、モノとして狩られるだけの存在から、自らの価値を主体的に使う「共犯者の神」へと変貌した。


「バルナザール様。ヴァルプスくんが進化するために私の身体が必要なら、それは『あの方を救う道具』として私を使ってくださるということですよね?

略奪ではなく、私の意志による寄付として」


「くくく……そうだ。

お前の髪はヴァルプスの魔力の燃料となり、あのアホな騎士を一生飼い慣らすための『管理術』を維持する力となる」


宝石姫は美しく微笑んだ。


「ヴァルプスくん、顔を上げて。

あなた一人に汚れ役はさせないわ。

あの方が一生、私に嘘をつき通せるように……私たちが、あの方を守る最強の『嘘』になりましょう。

私が燃料(髪)を出すから、あなたは火(管理)を灯して」


ヴァルプスの耳元で、甘く、けれど釘を刺すように付け加えた。


「ただし、忘れないで。

あの方の前では、絶対に『可哀想な私』を演じさせないで。

私はあの方の『北極星』。あなたはあの方の『泥』

……役割を違えないこと。それが、私たちが三人で地獄へ行くための、たった一つの条件よ」


ヴァルプスは肩に食い込む宝石姫の指の痛みを、熱い塊のように飲み込んだ。

恐れに喋れなくなっていた赤の瞳に、不意に暗い、けれど鋭い光が宿る。


彼は宝石姫の白い手を、あえて乱暴に振り払った。


「……言われなくても、わかってるよ」


ヴァルプスは立ち上がり、自分より背の高い宝石姫を、地獄の底から見上げるような視線で見据えた。そこにはもう「可愛い使い魔」の仮面はない。


「ボクは、主さまを独り占めしたかった。

君にバレないように、君を『何も知らないお姫様』のまま隅っこに追いやって、ボクだけがあの方の汚い部分を全部食べてあげたかったんだ。

……でも、君がそのツラ(聖域)をかなぐり捨てて、ボクと同じ汚泥に足をつっこむって言うなら……いいよ、認めてあげる」


ヴァルプスは一歩踏み出し、今度は自分の手が宝石姫の細い肩を、壊さんばかりに強く掴み返した。


「約束してよ、宝石姫。

……あの方の前では、絶対に『完璧な光』でいて。

あの方が、自分の醜さに耐えきれなくなってボクの胸で泣く時、あの方の背中を、君のその綺麗な光で焼き続けて。

……そうすれば、あの方はボクの腕の中から二度と逃げ出せなくなる」


ヴァルプスの口角が、バルナザールそっくりの形に歪む。


「『聖女』が自分たちのために嘘をついてるなんて知ったら、主さまは今度こそ死んじゃう。

……だから、最後までボクたちを騙しきってよ。

あの方を愛する『共犯』の責任、君も半分背負うんだからね」


宝石姫は一瞬、目を丸くしたが、やがて満足そうに、より深く微笑んだ。


「ええ……いいわ、ヴァルプスくん。望むところよ」


「まあまた打ち合わせの場を設けよう。二人でしっかり話し合いたまえ」


「はい……ありがとうございます」


バルナザールの短い応答と共に魔導通信が切れた後、野営地には再び、薪の爆ぜる音だけが戻ってくる。

ヴァルプスはまだ、宝石姫の指が食い込んだ肩を抱えて震えていた。


隣り合うライバル、共有される「素材」、そして自分たちの主。

悪魔としての仕事は完璧にこなしてみせる。けれど、この宝石姫という「共犯者」を前にして、自分は二度と「ただの純粋な使い魔」ではいられない。


「……ヴァルプスくん、戻りましょう。あの方が目を覚ましてしまうわ」


宝石姫は、何事もなかったかのように、いつもの穏やかで美しい「宝石姫」の微笑みを浮かべて歩き出す。 その足取りは、もはや略奪を恐れる者のそれではない。

自らの身体を切り売りしてでも、愛する男を永遠に自分たちの領域に繋ぎ止めようとする、管理者の足取りだった。



--



二人が天幕に戻ると、そこには何も知らないレオンが、穏やかな寝息を立てている。


彼は目が覚めた時、宝石姫に「今日も君は綺麗だ」と言い、ヴァルプスに「今日も頼むぞ」と笑いかけるだろう。


自分が、光(宝石姫)とヴァルプスに挟み込まれ、逃げ場のない「愛のインフラ」の中に収容されたことなど、露ほども疑わずに。


「明日あなたが私の手を取って『今日も君は綺麗だ』と微笑んでくれるなら、私はいくらでも、あなたの知らないところで欠けていきましょう……ね、ヴァルプスくん」


それは、聖女による最も気高い殉教であり、男を一生逃がさない、優雅な宣告だった。


その隣で、460歳の騎士レオンは、自分の孤独が「誰にも理解されていない」と信じたまま、幸せそうに微笑んで眠っている。


一番無垢なのは、戦場帰りの男。 一番潔白なのは、血に塗れた騎士。


彼が信じる「俺が二人を守らなくては」という尊い義務感さえ、今や二人の管理者がシステムを円滑に回すための「心地よい歯車」に過ぎなかった。


その残酷で、あまりにも献身的な共謀の事実を。 ただ、窓の外で降り積もる雪だけが、静かに見つめ続けていた。



--



第4部:システムの構築



バルナザールがめくるアーカイブは、五年にわたる「育成と略奪」の記録を映し出す。



【供給:美しき神の切り売り】


「あの方が愛してやまないこの身体を、私自身で切り刻む……。

これ以上の贅沢な『捧げもの』があるかしら?」


彼女は恍惚とした表情で、自らの紫髪を抜き、爪をヤスリで削り、時にはその白磁の肌に針を立てて、綿に紫色の魔力が混じる唾液を吸わせた。


それはレオンが一生をかけて守ろうとした「聖域」の、自発的な損壊だった。



【加工:小悪魔の変貌と酩酊】


ヴァルプスは、差し出されたそれらを、丁寧に魔力変換し、解し、吸収していった。


「……っ、う、あぁ……!」


純度の高すぎる希少種のエネルギーは、小悪魔の体内で快楽の劇薬となって暴れる。

骨が軋んで伸び、筋肉が脈打ち、少年から青年へと無理やり引き剥がされるような進化の激痛。

耐えるヴァルプスの耳元で、魔導通信機からバルナザールの事務的な声が響く。


『五分休憩後、続けるぞヴァルプス。

次は「対象の思考停止を促す交渉術」の講義だ。

……いいか、レオンに「君のせいだ」と思わせる言い回しを徹底的に叩き込め』


ヴァルプスは酩酊しながら、バルナザールが送ってくる経営学と心理操作の課題をこなした。



【運用:共犯者の事務連絡】


五年の月日の中、二人のやり取りは血の通った対話から、精密な「事務連絡」へと変質していった。


「……宝石姫ちゃん、爪を削りすぎじゃない?」


「心配しなくていいですよ。調理するときにかえって楽でした。

……そういえばヴァルプスくん、今日は綿の在庫が切れているの。

唾液でいいなら、今すぐ渡せますけれど」


「え……いや……。主さまに見つかるといけない。瓶を、瓶を取ってくるよ」


「そうしてください。……効率的にいきましょう、共犯者さん」





第5部:檻の完成



こうして、五年間の血と嘘によって塗り固められた土台の上に、あの夜の「契約の握手」が成立した。

バルナザールは、アーカイブの最後に残された、月明かりの下の二人を眺める。


「……明日、あの方が目覚めたら……」


宝石姫が、今はレオンさえ追い越す背丈まで成長した青年姿のヴァルプスを見上げ、その大きな手をしっかりと握りながら囁く。その瞳には、レオンへの純粋な愛と、彼を完全に支配下に置いたという支配者の愉悦が、分かちがたく混ざり合っていた。


「……今日も『おはよう、俺の希望(宝石姫)』と、私を拝んでいただきましょう。

……そして、あなたの腕の中で『お前がいないと私はダメなんだ』と、甘えさせてあげましょうね」



レオンが「独りで戦っている」と信じ込んでいる五年間。


その正体は、宝石姫が「燃料」を出し、バルナザールが「戦略」を立て、ヴァルプスが「管理」を実行する、巨大なレオン・ド・ラ・ノワール専用の『飼育プラント』の稼働期間に過ぎなかったのだ。

※本作は、noteにて先行公開していた記録ログのアーカイブ版です。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ