表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
『1魔貨の聖騎士 ― 自分を1魔貨と定めたCEOを、悪魔は契約で管理する』  作者: 暮夜すと
Q4

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

61/315

『氷闇の経営者』①



第1部:完璧な設計者たち



 十月初めの朝は冷たい霧雨が街路を濡らしていた。


 枯葉は濡れた舗道に貼り付いて、足音を吸い込み、外は静かすぎるほどの沈黙に包まれている。

だが、ド・ラ・ノワール事務所の中は、外気の冷たさをものともしない熱気と緊張に満ちていた。


「……レオン、右肩をあと2ミリだけ下げてください。

 ……はい、これで新調された芯地と『角』のラインが完全に同期します」


 ヴァルプスは膝をつき、レオンの足元から襟元まで、狂気的な精度でチェックを繰り返していた。

 手に握るのはいつものバインダーではなく、高級馬毛のブラシと、レオンの変異をミリ単位で記録した「仕様マニュアル」。


 全身鏡の中の自分を、レオンは冷徹な検収者の目で見つめる。

 漆黒の勝負スーツは、現世のテーラーに無理を言わせて作らせた戦闘用装甲だ。

 ハイネックの立ち襟は、側頭部から突き出す角を異形ではなく「デザインの完成」として昇華させている。


「いい手際だ、ヴァルプス。

 ……私の体温がエルフの平熱より5度上回っていることも、このスーツの遮熱材は計算済みだろうな?」


「もちろんです。今のあなたの『魔力出力』なら、普通のウールでは燃えてしまいますから」


 立ち上がったヴァルプスの指先が、レオンの喉元に触れる。

 かつて主が同種族になったと恐れに震えていたその指は、いまは遠慮なくその肌に触れていた。


「……合格だ。お前の保守運用には、いつも助けられる」


 黒いマニキュアが施された爪でヴァルプスの顎を軽く持ち上げる。

 金を散らす青の瞳と、深く依存の色に染まった悪魔の赤い瞳が、鏡越しに交差した。

 いま、二人の瞳は完全に同じデザインを描いている。



※2026/05/20 大幅修正をしました。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ