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『1魔貨の聖騎士 ― 自分を1魔貨と定めたCEOを、悪魔は契約で管理する』  作者: 暮夜すと
【シーズン1:バルナザール決算編】Q1

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『案件重複拒否:専務バルナザールの鉄血承認』①

第1部:管理官の密やかな夜の「成果報告」


 深夜の静かな宿。北国の冷気が窓を叩く音さえ止まった一室で、ヴァルプスは意識の同期を「現世」へ戻した。


「……レオン……眠っていますか」


 隣に横たわる男の深く規則正しい寝息を確認し、ヴァルプスは安堵の溜息を漏らす。

 月の光に照らされたレオンの横顔は、長年の旅路で磨り減った形跡を感じさせないほど穏やかだ。


(……よし、バイタル安定。同調率、良好)


 ヴァルプスは寝台脇に置いていた魔導通信機を、音を立てないよう手繰り寄せた。

 真っ暗な室内で、通信機の青白いバックライトがヴァルプスの赤い瞳と、黒い巻角を無機質に浮かび上がらせる。

 レンズを向け、眠るレオンの顔のすぐ横で、満面の笑顔を作った。



 カシャリ



 影の魔法で減音されたはずの魔導音が、ヴァルプスの耳にはひどく傲慢に響く。

 画面の中のレオンは、かつての峻厳な「聖者」の面影を脱ぎ捨て、ヴァルプスの腕の中で無防備な「ただの男」に成り下がっている。 もし彼が目を覚まし、自分の寝顔が悪魔界の専務室へ『エビデンス』として送信されていると知れば——。


 ヴァルプスは背筋に走るリスクに目を細めつつ、指先を滑らせた。




【件名:最重要資産・レオンの検収および現況報告】



 バルナザール閣下。 

 対象レオンは本日も当方のホールドを拒絶することなく入眠。

 心拍・呼吸ともに当方の魔力波長への完全な同調ペアリングを確認しました。 

 閣下、ボクはこの極上のインフラを、一生誰にも渡さず保守し続けます。



 送信ボタンを押す。

 満足げに頷いたヴァルプスは、温かなレオンの体温に顔を埋め、背徳的な幸福感の中で眠りに落ちた。




※2026/05/21 大幅修正をしました。

※レオンとヴァルプスはほぼ添い寝と手繋ぎしかできていません。



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