表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1魔貨の聖騎士 ― 価値ゼロCEOと悪魔の強制執行監査契約  作者: 暮夜すと
【シーズン2:オスカル最終承認編】Q1

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

119/166

第114話:『不純な熱の再構成 ー 01/27 2:50 執行開始』

第4部:不純な熱の再構成リビルド


「……飼い犬、だと……?」


 レオンは、マルヴェイの靴を掴んだまま、低く、濁った声で繰り返した。

 指先に力が入らない。立とうとしても、膝が言うことを聞かない。

 視界の端で、マルヴェイが迷わず膝をつくのが分かった。

 彼の手が、レオンの震える指先を、骨が軋むほどの強さで包み込む。


 ――熱。


 マルヴェイから流れ込んでくる、執着という名の「不純な熱」。

 レオンはそれを拒絶せず、むしろ飢えた獣のように吸い上げた。

 ヒュームという聖域を暴かれ、空っぽになった自分の「初期セクタ」を、マルヴェイの熱で無理やり焼き固める。


 ほんの一瞬だけ、焼き固めたはずの内側が、軋んだ。


「……いいだろう。見ていろ」


 レオンは、マルヴェイに支えられながら、ゆっくりと、しかし確実に立ち上がった。

 先ほどまで床に額を擦り付けていた男とは、もう別人の顔だった。

 瞳から涙の痕跡を消し、表情筋を「事務的な仮面」として再構成する。


 彼はマルヴェイの手を握ったまま、バルトロメを見据えた。

 今度は、震えさえもない。


「……私は、死にたかったんだ」


 声は、高解像度の合成音声のように平坦だった。

 感情はすべて、「過去の故障履歴エラーログ」として出力される。


「マルヴェイが隣にいて、ヴァルプスが管理し、叔父上が私を愛でて、顧問が私を支配する。

 ……外側を塗り固められるほど、私は私の死から遠ざかっていく」


 一拍。


 マルヴェイの手を握る力が、一瞬だけ、機械的な正確さで強まる。


「……もう、戻れない」


 わずかに、間が空いた。


「……ヒューム。この名前は、記録だ。

 花に囲まれただけの、乾ききった記録」


 静寂。

 バルトロメが、満足げに喉を鳴らした。


「……合格だ。レオン・ド・ラ・ノワール」




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ