表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
67/70

血まみれのエレベーター(フィクション)

夜勤の深夜三時。


病棟は静まり返り、ナースステーションの時計の音だけが響いていた。


A看護師はカルテを整理しながら、ふと背伸びをする。

「もう少しで夜明け……」


B看護師はうつらうつらしながら記録を書き込んでいた。

「眠気が限界だよ。あと数時間が長いんだよね」


そこに、D看護師が仮眠から戻ってきた。

「……静かな夜ほど、変なことが起きやすいよ」


霊感の強い彼女の言葉に、AとBは一瞬顔を見合わせた。



午前四時。


薬剤を取りに地下の薬品庫へ行こうと、Aはひとりエレベーターに乗った。

扉が閉まり、下へと動き出したときだった。


――ぽたり。


天井から赤黒い液体が一滴、足元に落ちた。


Aは思わず息を呑む。

「……水漏れ?」


だが、光沢を帯びたそれはどう見ても“血”だった。


目を凝らすと、壁の隙間からもじわじわと赤い液体がにじみ出ている。

エレベーターは何事もないように下へと動き続けていた。


「止まって……!」

Aが操作盤のボタンを押すと、ようやくエレベーターは揺れながら止まった。


扉が開くと、目の前はただの地下廊下。

慌ててナースステーションに戻ったAは、蒼白な顔で二人に訴えた。


「エレベーターの中……血が、血がいっぱい……」

Bは笑おうとしたが、Aの表情の真剣さに声を失った。


Dは静かに頷く。

「……見ちゃったんだね」


「見たって……何を?」

「“ここに留まっているもの”。時々、血の跡や水のように見えるものを通して現れる」


朝、施設担当者に報告し、確認が行われた。


だがエレベーターの中も周囲も、何も異常はなかった。


床も壁も乾いたまま、赤い痕跡すらない。


「夜勤明けの疲れで幻覚を見ただけかもしれない……」

Aはそう思おうとした。


しかし帰宅前、もう一度エレベーターの前を通りかかったとき。


扉が閉まる直前、床にわずかに広がった赤黒い染みが、確かに目に入った。


瞬きした次の瞬間には、もう何もなかった。


背筋に冷たいものを感じながら、Aは小走りに病院を後にした。


エレベーターのランプが、まるで血の色のように赤々と灯っていた。

本当は笑い話になったんですけど。本人が見つかるまでは結構大変でしたが・・・(汗

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ