連鎖(フィクション)
一人が亡くなると、次々と。
それは偶然ではなく、何かに“連れて行かれている”かのようだった。
夜勤中のナースステーション。
A看護師は記録を書きながら、ふとため息をついた。
「ねえ、ここのところ……立て続けに患者さんが亡くなってるよね」
B看護師が顔を上げる。
「そうなんだよ。この一週間で三人。しかもみんな急に調子が悪くなって……」
「病状が重い方ばかりだったのは確かだけど……なんか続くと怖いよね」
Aの声はひそひそ声になっていた。
ちょうどその時、仮眠から戻ったD看護師が加わった。
「……連れて行かれてるんだよ」
2人は顔を見合わせた。
「またそういうこと言うんだから」
Bが苦笑したが、Dは真顔のままだった。
「誰かが亡くなるとね、同じ病棟の人が“ついていっちゃう”ことがある。まるで手を引かれるみたいに」
「……やめてよ」
Aはペンを置き、腕を組んで身震いした。
「本当にそう思ってるの?」
Dは小さく頷いた。
「ここは病院だから。見えない何かが人を連れていくのは、珍しいことじゃない」
その言葉が残響のように心に引っかかっている中、午前三時。
ナースコールが鳴った。
AとBが駆けつけると、昨日まで元気そうに話していた患者が急変していた。
必死の処置も虚しく、そのまま静かに息を引き取った。
ナースステーションに戻ると、Bが力なく呟いた。
「……まただ」
Dは窓の外を見つめながら静かに言った。
「これで終わりじゃないかもしれない」
夜明け前。
記録を整理しようと、Aはホワイトボードを眺めた。
そこに並ぶ病名――「再生不良性貧血」「発作性夜間血色素尿症」「血栓性血小板減少性紫斑病」「急性前骨髄球性白血病」。
その中の一つに、ふと線を引きたくなるような奇妙な感覚に襲われた。
「……次は、誰?」
小声でつぶやいたAの耳に、かすかに複数の足音が廊下の奥から近づいてくるように響いた。
振り返るとそこには誰もいなかったが、背中に冷たい汗が伝っていった。
2つ話を作ってくれたのですが、とりあえずこちらをアップします。




