お盆(A大学病院・血液内科 無雑医師の記録)
お盆の時期でも、病院は休まない。
入院も外来も、普段と同じように回っている――はずなのだが、やはりこの時期は外来患者が減る。医師の夏休みも重なり、病棟の入院患者数も少し少なめになる。
もう15年以上前のこと。
その日の午後、無雑医師は病棟詰所でカルテをみながら、A看護師に声をかけた。
「今日、病棟の患者数、いつもより減ってるね」
「そうですね。お盆だから大きな入院もあまりないですし」
B看護師もモニターから目を離して笑う。
「こういう静かな日って、いいですよね。大きな動きがないっていうのは平和な証拠ですし」
無雑も同意して、コーヒーをひと口。
「たまにはこういう日もいいな」
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そこへ、霊感が強いことで有名なD看護師が詰所に入ってきた。
「何の話ですか?」
「いや、病棟が静かで平和だねって」
D看護師は少し首をかしげ、窓の外に目をやった。
「……そうですか?」
彼女の声のトーンが、急に低くなった。
「お盆だから、結構……来てますけどね」
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無雑が思わず眉をひそめる。
「来てるって?」
D看護師は詰所の奥、廊下の突き当たりを指差した。
「さっき通ってきたとき、あそこに……たくさん立ってましたよ」
A看護師が半笑いで聞き返す。
「患者さん?」
「……いえ。名札も、服も、何もない人たち」
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廊下の突き当たりは、普段あまり人が通らない場所だ。
そこからゆるやかに漂ってくるような気配を、無雑は――感じたような、感じなかったような。
思わず視線をそらし、カルテに目を戻した。
その時、非常口の表示灯が一瞬、ぱちっと明滅した。
D看護師が小さくつぶやく。
「……ほら、また増えてる」
本当に霊感の強い看護師さんだけが、そういう話をしていたな〜と思いながら・・・。
僕はほとんど見ることはないので、よくわからないので、そういうことを言われても「おいおい」としか思いません。ちなみにこの会話は看護師Dさんに当たる方は笑いながら話をしていたので、あまり緊迫感はなかったです。
わからないけど、見える人には見えるのかもしれませんね。




