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7/12

来年の体育祭はボイコットしよ。

美少年の女装ってとても萌える。




 体育祭のプログラムがスタートし、どんどん競技が行われていく。

それを雛斗と眺めながら話していた。

 そして、いよいよやってきた地獄こと仮装リレー。

 アナウンスでゲート前に集まるように言われたため渋々立ち上がる。



『行ってくる…』

「行ってらっしゃい」



 嫌だなぁ、とぼやきながら憂鬱な気持ちで雛斗に見送られゲートに向かった。

 ゲートには割かし顔の整った人やゴリラみたいにムキムキな人と両極端な厳選を受けた人達がいた。

 僕は周りから視線を受けながらも仮装リレーの列に並ぶ。



「李生様じゃん!勝ち目なくない?」

「李生様も参加するなんて聞いてない!」



なんか、ヒソヒソ聞こえてくるんだけど。

僕についてなんかあるのかな。

仮装リレーやだなぁ。

誰が喜んで恥晒すんだか。

よほどのドMしかいないだろう。

 クラスメイト達は女装まであるとか言ってたし最悪なんですけど。

 リレーが始まり、自分の番が来るのを死刑を待つ囚人の気分で待っていた。

 リレーの選手たちは次々に衣装を着替えるボックスの中に入っていく。

そして、暫くしたら出てきた。

 うえ、ゴリラがメイド服とかふざけてんの?似合わねぇよ。

 ゴリゴリの筋肉マッチョの女装なんて面白いけど見てられない。

 顔が整ってる人達はかろうじて成り立ってるけど。

生徒達は盛り上がって歓声を上げている。

あ、次だ…嫌すぎる。

とうとう順番が回ってきてしまった。

ピストルが鳴り、憂鬱ながらも走り出す。

 ボックスの中に入ると机の上に衣装が置かれていた。

 それを手に取りばさっと広げると、『は?』と声をもらす。



『なにこれ…』



それから5分後。



「ここで!注目されている天使李生選手!

 果たしてどのような衣装で登場されるのでしょうか!?」



 ノリノリで囃し立てるアナウンス係の放送に表情が抜け落ちて死んだ目になる。

めちゃくちゃ出たくねぇ。

注目されてるとか嘘でしょ。

この格好で出るとか恥でしかないんだけど。

 何とか着替え終わったのはいいものの、出るのが嫌だった。

 しかし、このままではビリのゴールになってチームに迷惑がかかってしまう。

それは避けたい。

くそ、出るしかないのか…。

数分後、覚悟を決めてボックスを飛び出した。



「きゃあああ!李生様可愛いー!」

「天使ぃいい!!」

「最高すぎる!!!」

「ブロマイドにして売りまくってやるぜ!!」



 沸き起こる歓声を無表情で聞き流しながら全力ダッシュを決めた。

てか、最後のやつ絶対瀬尾だよね?

あとで校舎裏に呼び出そ。

って、とにかく!

こんな服、レースが終わったら速攻脱いでやる!



「天使李生選手、金髪巻き髪に天使の輪に羽付きで白のフリフリロリータ服で現れました!

名前に違わずまさに天使のような美しさです!」



喧しいわ!

 ただでさえ恥ずかしい恰好なのに実況しないでくれないかな!?

てかこの服?ドレス?走りづらいんだけど。

 内心文句を言いながらも周りを引き離して無事1位でゴールすると、早く脱ぎたい…と虚無な顔をして1位の旗のところに並ぶ。

 10分後にレースが終わり、そろそろ脱いで良いかなとソワソワしていたらアナウンスがなった。



「仮装レースに出た人は今日体育祭が終わるまでそのままの恰好でいてください」

『は…?』



そのまま?終わるまで??

てことは、夕方まで着替えられない??

思考が停止して、その場に固まる。

そして、漸く理解した。

…嘘でしょ!?この馬鹿みたいな恰好ずっとしとけって言うの!?

とことん見世物にしようってか!

罰ゲームも良いところだわ!立案者◯すぞ!

 トボトボと席に戻ると、雛斗に笑顔で「おかえり」と声をかけられる。



「おつかれさま!

 1位おめでとう。

 凄い人気だったね」

『ありがとう、でも全く嬉しくないよ…』


 

座りづらい衣装のまま椅子に座る。

 レース終わってからも何故か周りの視線僕にずっと釘付けだしたまにパシャパシャカメラのシャッター音聞こえるし怖いんだよね。

今だけ無性に透明人間になりたい。

誰も僕なんか見ないでくれ。

 こんな恰好恥ずかしすぎて見られたくないんだよ。



「名前にちなんで天使の仮装だったのかな?」



僕の恰好をじっと見つめては首を傾げる雛斗。

それに対して僕は死んだ表情で返す。



『だとしたら相当の悪意を感じる…』



 やめてよ、天使の格好なんて厨二みたいじゃんか。

それにもう僕高校生だよ、天使なんて子どもっぽいし。

 斯くして今年の体育祭は僕の中で史上最悪の黒歴史として刻まれることになった。

(ブロマイドばらまく宣言した瀬尾はこってり絞めた)

よし。

来年の体育祭はボイコットしよ。



瀬尾「これでブロマイドを…!」

『瀬尾?何してるのかな?(目にハイライト無し)』

瀬尾「李生!?まっ、あっ、ぎゃあああ!」

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