地獄の始まり。
体育祭編。さらっといきます(*`・ω・)ゞ
体育祭が近づき、種目決めをしているため教室内はザワザワしていた。
楽しそうなクラスメイト達の中、僕は退屈で頬杖をつきながら欠伸を一つ溢す。
「李生は仮装リレー強制参加な」
『…はっ?』
仮装リレー??
隣の席である瀬尾の唐突な一言に頬杖がズレる。
意味が分からない。
瀬尾の方を見て首を傾げた。
僕が仮装して何が楽しいのさ。
そこはガチムキな生徒が参加してこそ盛り上がる競技でしょ。
嫌だよ、と反射的に返そうとしたが、その前に周りが反応する。
「えっ、李生様の仮装絶対見たい!」
「今年女装あるらしいぜ」
「尚更見たい!」
何故か僕の仮装を見たい見たいと言い出したクラスメイトに困惑する。
これ、やる流れになってないか?
やりたくねー。
…でもなんかやるしかなさそう。
既に黒板に名前書かれちゃってるしね、おい。
僕の人権どこ行ったんかな?え?存在しない?
強制参加とかマジ無理なんだけど…。
「楽しみにしてるぜ☆」
『ムリヤメロシネタマキ』
抗議の声は届かず終わったチッ。
そして時は流れ、体育祭当日。
『あー、帰りたい』
「だーめ」
帰りたくてぼやいていると瀬尾が無駄にキラキラスマイルを浮かべて肩を掴んできた。
人の嫌がることするの大好きだもんなコイツ。
このド腐れ性悪サドめ。
「あっ、李生」
『あ、雛斗』
瀬尾と並んでグラウンドへ歩いていたらたまたま雛斗と会った。
こんな暑い中よくそんな顔髪で隠せるね。
暑くないのかな。
と思いつつも触れはしない。
「今日凄く良い天気だね」
『うん』
ほのぼの喋っていると隣から痛いくらいの視線が刺さってくる。
十中八九、瀬尾だ。
ぜってー今は余計なこと喋んなよ?と圧を出した。
「僕係だから先行くね」
『いってらー』
手を振り合って雛斗と別れる。
すると瀬尾が怒涛の勢いで話し始めた。
「李生、いつから王道転校生と仲良くなったんだ?
それも名前まで呼び合う中に!
王道転校生✕親衛隊副隊長も悪くないな!
ぐへへへへ」
ジュルリと流れるよだれを拭いて興奮する瀬尾に白い目を向ける。
良かった雛斗と居るときに割り込んでこなくて。
空気読まずに薔薇トークをぶちかましてきたらどうしてやろうかと思ってたよ。
とりあえず僕で薔薇色の想像をするな。
『カクカクシカジカで』
「それで通じるかアホ」
『別にいいじゃん、なんだって』
リンチされかけてるのを助けました、なんて言ったらまた騒ぐに違いない。
これ以上の被害を生まないようにしたいからね。
[体育祭を始めるのでクラスごとに並んで下さい]
『よし、行くか』
「は?あっ、おい!」
タタタッと走って瀬尾から離れてクラスメイトのところへ向かう。
やったぜ、体育祭の係によるアナウンスのおかげで瀬尾からの追及から逃れられた。
背後から瀬尾のじっとりとした視線を感じつつ、スルーして列に並んだ。
[では、第〇〇回、白鷺学園体育祭を始めます]
こうして、体育祭が幕を開けた。
開会式が始まり、校長を聞いたり選手宣誓を聞いたりして過ぎた。
開会式後は、各チームごとに別れてテントにつく。
僕は水色だ。
体育祭の競技は、仮装リレーと学年対抗リレーに参加するんだっけ。
あー、仮装リレーやだなぁ。
絶対恥かく予感しかしないよ…。
憂鬱な気分のままテントに入り、セットされていた椅子に座る。
「李生!」
『雛斗』
瀬尾とは別のチームになったため話す人いないなと思っていたら雛斗がこちらに駆け寄ってきた。
「チーム水色?」
『水色』
「同じだ!」
嬉しそうな雛斗に僕も微笑む。
良かった、話す人がいてと少しほっとする。
雛斗は僕の隣に座った。
「李生は何に出るの?」
『…仮装リレーと学年対抗リレー』
仮装リレーが嫌すぎて低いテンションで答えると雛斗は「そっか」と零す。
「仮装リレーって毎年盛り上がるらしいね!」
『……そうなんだ』
友達に聞いた!という雛斗の言葉にまたテンションが下がる。
ますます嫌なんだけど。
盛り上がるなんて論外だ。
僕は目立ちたくなんかないのに。
「あ…、もしかして仮装リレー出るの嫌な感じ?」
『やだよ、なんか見世物みたいだし』
誰がパンダみたいになりたいと願ったか。
僕は穏やかに目立たず生きてたいの!
「李生なら何でも似合うと思うけどな」
『え?』
「可愛いし」
口元に笑みを浮かべて言う雛斗に僕は頬を膨らませながら『そこはカッコいいって言ってよ』と返した。
さてさて、ここから先は。
地獄のはじまり。
雛斗「あれ、でも李生ってたしか学園の姫って呼ばれ…」
『シャラップ!!』




