弱者を放ってはおけないから。
今文化祭編書いてるんですけどとても長くなりそうな予感…(´ω`)
ある日、廊下を歩いていたらとある場面に通りかかってしまった。
「お前ブスのくせに生徒会長様に反抗するなんてふざけてるの??」
「そうだそうだ!クソダサいその格好で生徒会長様に楯突くなんて正気??」
そう、所謂リンチというやつ。
それも被害者は恐らくあのまっくろくろすけみたいな転校生。
空き教室で行われていた。
転校生を一方的に罵倒する声に僕は思わず足を止めてしまった。
どうやら親衛隊のメンバーでもなさそう。
親衛隊以外の制裁って大丈夫じゃないよね。
でもまぁ親衛隊も過激派みたいだからそう変わんないか?
「僕が生徒会長に楯突いたことと、あなた達が僕を誹謗中傷することに何か関係ありますか」
転校生やっぱりメンタルダイヤモンドだわ。
リンチされながらも正論叩きつけるとは流石。
当然リンチ集団はぶちギレていた。
「生意気なっ!僕達は生徒会長様達を想っていってるの!!」
「ムカつく!!コイツちゃっちゃとやっちゃってよ!」
おっと、なんかヤバイ展開になってる??
「や、やめて下さい!!」
転校生襲われてるぅう!
どうしよう、中に入るべき?助けを呼ぶべき?誰かぁあ!!
でも風紀呼んでたら絶対転校生やられちゃう。
考えてる間にも転校生の悲痛な叫びが聞こえてくる。
あー、もー!こうなったらやるしかない!
『何してるの?』
ガラッとドアを開けて教室に入った。
「えっ、親衛隊副隊長様!?」
「李生様っ、なんで!?」
…頼むから副隊長呼びやめてくれないかなぁ。
なんて思いながら中を見渡すと、そこにいたのは瀬尾がよくいうチワワとかいう男子生徒達とゴツい格好をした男子生徒達だった。
どうやら未遂ではあるようだが、転校生はシャツを脱がされそうになっていた。
空き教室の中の面々は僕が現れたことに驚いている様子。
僕は冷めた声でもう一度尋ねた。
『何してるのって聞いてるんだけど』
「…っ、制裁です!
コイツが生徒会長様に楯突くから!!」
『君達にそんな権限ないよね?』
冷たく返せばグッと言葉を詰まらせるチワワ達。
親衛隊にだって独断で制裁なんてできるのか定かじゃないのに関係ない人間が許されるのかって話だ。
さてここからどうしようと思っていたら。
「なんなら李生様も混ざっちゃえばいいのでは?」
チワワの一人がそう言った。
すると、それに賛成しだす他のチワワ達。
なるほど、証人ごとやっちまおうって?
それは…まぁ、悪手だと思うけどね。
リーダー格っぽいチワワに指示されたゴツい男の一人が僕に迫ってきた。
それを僕は真顔で蹴り飛ばす。
骨とか折らないように加減するの大変なんだよなぁ。
「グハッ」
「え…っ?」
男はうめき声を上げて床に転がった。
その光景にチワワ達が固まる。
ごめんね、僕、喧嘩では負け無しだから。
残りのゴツい男達も全部一瞬で伸した。
『君達もこうなりたい?』
ドターンと最後の一人に背負投げを決めるとチワワ達に話しかける。
チワワ達は顔を真っ青にして震えていた。
僕見かけによらず喧嘩強いからね。
想定外だったはずだ。
「ごっ、ごめんなさい!!」
チワワ達は口々に謝罪の言葉を言って蜘蛛の子散らすように逃げていった。
逃がしたらまずかったかなぁ。
まぁこれで懲りてくれるといいんだけど。
ふーと息を吐いて、呆然として座り込んでいる転校生に声を掛ける。
『…大丈夫?』
僕の声に我に返ったのか転校生は慌てて返してきた。
「…っ、あ、ありがとう」
『別にいいよ、気にしないで』
冷静に乱れたシャツを指摘すると転校生はわたわたとボタンを閉めた。
はぁ…、面倒事に口突っ込むの苦手な癖に何してんだろう。
でも、転校生がヤラれてるの放っとくのも問題だし寝覚め悪くなりそうだし。
「俺は2年の淡路雛斗、助けてくれてありがとう」
『天使李生だよ、同じく2年生』
自己紹介した後、僕は桜庭君にリンチのことを風紀に報告するように伝えた。
風紀は学園内のイジメには厳しいからね。
「李生って…呼んでもいいかな?」
おずおずと言う淡路君に頷いた。
一瞬瀬尾の“王道転校生”という文字が頭を過ったけど。
…悪い子じゃなさそうだし、別にいいでしょ。
『いいよ、僕も雛斗って呼ぶ』
フワリと微笑めば、雛斗は「…っ!」と顔を赤らめて言葉を失っていた。
そんなこんなで友達になった僕達。
この後、瀬尾にこのことがバレてあれこれ叫ばれる未来があることを僕はまだ知らない。
この出会いがもしも僕にとって良くないものだったとしても。
それでも。
弱者を放ってはおけないから。
瀬尾「( ゜д゜)ハッ!BLの気配…!」




