番外編1 学長の行く末
「雅史教授、前学長が教授の邸宅に今すぐ来るようにと…………!!」
「…………分かった」
咲翔は交渉を終えたのだろうか。誰からも連絡がない。もしかすると…………。
急いで、車に乗った。ここから、10分ちょっと。
今は、20分ぐらいに感じた。
「お久しぶりでございます。一城学長」
「…………もうその呼び方はよせと言っているだろう」
「…………申し訳ありません。それで、咲翔のことでしょうか?」
「…………ああ、咲翔くんは本当に優秀だな。さすが、雅史くんのお孫さんだ」
…………どっちだ?
「もったいないお言葉でございます。それで、咲翔は…………」
「雅史くん一家は、この邸宅に住んでもらう。しかし、他の条件については不問だ」
咲翔、成功したのか…………!!
「ありがとうございます…………!!」
「いや、お礼を言われる立場じゃない。咲翔くんに伝えてくれ」
長い沈黙だった。その間に、一城学長はどこか、親の顔になっていた。
――大事なことを教えてくれてありがとう
「とな」
「承知致しました。では、失礼いたします」
居ても立ってもいられず、すぐに客間を飛び出した。
――ガチャン
「…………康俊様、心は落ち着かれましたでしょうか?」
残された2人の間には、どこか懐かしい雰囲気が流れていた。
「…………落ち着いてはない。だが、咲翔くんのおかげで、心のモヤが取れた気がするよ」
「左様でございますか…………」
「三明、咲翔くんと葵音ちゃんを支えてやれ。三明も、2人のことを気にかけていただろう」
「…………そのご命令、しかと承りました」
三明は、目元を緩めながら深々とお辞儀をした。




