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第61話 前日
…………最近、咲翔と目を合わせられない。
合わせるのが、恥ずかしい。
腕枕をしてくれた時も、公園で手を握ってくれた時も、変な感じだった。幼馴染なのに。
…………でも、なんでだろ。
「――で、どうやろ」
「え、あ、うん。それでいいと思う」
「……ちゃんと聞いてた?」
「う、うん。聞いてた」
やばい。ぼーっとしてて、聞いてなかった。集中しなきゃ。
「じゃあ、後はいつ会えるかやな」
「見当は付いてるの?」
「一応、明日、訪問予定らしい」
「じゃあ、その時かな?」
「そうやな。というか、そうするしかない」
「分かった。空けとく」
とうとう、交渉するのか。どんな人か分からないから怖い。けど、咲翔のために、全力を尽くす。
「また明日、咲翔」
「また明日、葵音」
咲翔と帰れるのは、この道まで。…………寂しい。
「ただいま」
「……おかえり。葵音」
「お母さん、明日交渉に行ってくる」
「…………そう。気を付けるのよ」
「うん…………。でも、咲翔が居るから大丈夫」
「…………そう」




