第57話 寒い風
「…………ありがと。お母さんを交渉してくれて」
「…………おばさんの気持ちもよく分かる」
葵音に打ち明けた公園。風はもう完全に冬だった。
あの時よりも、寒い。木々の葉はない。
「絶対に、成功させようね」
「うん」
寒い風が吹く。この地域では、寒すぎるぐらいの風。
けど、そこまで厚着しなくても良かった。
「…………寒いね」
「部屋着のままやん」
葵音に風邪を引かれては困る。
着ていたカーディガンを上から被せた。
「…………あったかい。でも、まだ寒いかも」
――ギュッ
「咲翔…………」
手を握った。小学生の時はよく握っていた手。外は乾燥しているはずなのに、そんなことを感じさせない手だった。
「咲翔の手、安心する」
「…………良かった」
言葉にされると、恥ずかしい。ただの幼馴染なはずなのに。
「……そもそも、一城さんに会えるのかな」
「……確かに」
まずはそこからだ。必死に策を練っても、会えなかったら意味がない。
「…………いや、どんな手を使ってでも無理やり会う」
「……分かった。じゃあ、どうやって説得する?」
「感情論ではあの人は動かなそうやから、論理的に説明するしか…………ないな」
「咲翔の話を聞く限り、相当な準備しないと一蹴されそう…………」
条件に、抜け道は無いか…………?
「…………また、明日から考えよ」
「……うん」




