第55話 心配
「…………頑張ろうね」
「…………ありがとう」
咲翔、夏休みの時みたいに、かっこいい。
ちょっとは、心が軽くなってくれたのかな。
「そういえば、学校はどうしたん?」
「休んだ」
「…………そっか」
――プルル
「あっ、何件も不在着信来てる…………」
「え?おばさん、知らんの?」
「うん…………咲翔のおじいちゃんが学長ってことと、ケンカしたことしか知らない」
それしか、言えない。
「…………全部、言ってええで」
「え?」
「おばさんも心配する。だから、全部言ってる方が安心やろ?」
「でも、止められるかもしれないよ?」
もし、止められたら、さっきのが意味なくなっちゃう…………。
「大丈夫や。うちの母さんを説得したんやから、な?俺からも説得するから」
「…………分かった。じゃあ、明日私の家に来て。そこで、説得する」
「分かった」
…………怖い。多分、おばさんのように拒否される。けど、説得しなきゃ。
◇ ◇ ◇ ◇
「葵音、こんな時間まで何してるの?学校に電話しても、今日は休んだって言ってるし」
「ごめんなさい…………お母さん」
電話越しでも分かった。私のこと、探してた。
きっと、怒られる。けど、今日は言えない。
適当にごまかすしかない。
「…………帰ったら、お話があります」
電話はそこで切れた。
いつもよりも、短い通話時間。
きっと、電話では済ませられない内容なんだろう。
分かってる。分かってるけど…………。




